【元消防職員・防災士が解説】大型ショッピングモールで“迷いやすい人のための避難ガイド”——人混み・パニック・情報不足をどう乗り越えるか

大型ショッピングモールは、災害時に「迷いやすい・動きにくい・判断しづらい」場所の代表格。
普段は安全でも、ひとたび地震・火災・停電が起きると、人が一気に混乱し“動けない人”が危険にさらされる。

ここでは、モール内で迷いやすい人のために、災害時に“とにかく命を守るための行動”をまとめる。


■① 人混みが苦手な人は「少し早く動く」だけで安全度が激増する

災害で最も怖いのは、後ろから押される“群衆事故”。

● 揺れが収まったらすぐ出口方向へ移動
● 立ち止まる人が多いほど危険は増える
● 店員の指示が遅い時も自主的に動いてよい
● 一度人混みに巻き込まれると抜け出せない

“早く動く人”ほど安全エリアで待機できる。


■② パニックになりやすい人は「手すり・壁」を使う

広い施設ほど方向感覚を失いやすい。

● 通路の壁沿いを歩く
● 手すりを触りながら進む
● 中央広場(アトリウム)は避ける
● 人が密集する場所に入らない

壁沿いは動線が安定し、落ち着いて避難できる。


■③ 方向オンチでも迷わない“避難の最短ルート”

ショッピングモールは非常口が“必ず”複数ある。

● 緑の非常口マークを最優先で探す
● 通路の天井にある矢印ライトに従う
● 迷ったら「奥へ進まず、横へ逃げる」
● 入口ではなく“非常口から”外へ出る

方向が分からない人ほど、“横移動”が安全。


■④ 子ども連れ・高齢者と一緒の時は“役割分担”を決める

混乱時に最も危険なのが「家族とはぐれること」。

● 1人は誘導役、もう1人は子ども・高齢者の補助
● 抱きかかえる時は体の前
● 連絡が取れない前提で移動する
● 「はぐれたら〇〇出口で待つ」と事前に決める

事前の一言だけで行動の迷いが激減する。


■⑤ 逃げる時は“8割の速さ”がちょうどいい

全力ダッシュは転倒・将棋倒しの原因になる。
災害時は“走らず速く歩く”が最も安全。

● 歩幅を大きく
● 手を空ける(荷物は手で持たない)
● 人を追い抜かず、流れに沿う
● 立ち止まらない

安全に逃げ切るには、速い歩行=ベストスピード


■⑥ モールの構造は“迷いやすい罠”だらけ

ショッピングモールならではの危険がある。

● フードコート周辺は煙がこもりやすい
● エスカレーター付近は人が集中する
● アパレル・雑貨店は落下物が多い
● トイレ近くは行き止まり構造が多い

非常口は“必ず裏側にある”。
バックヤードは最短ルートになりやすい。


■⑦ 判断が遅れる人は“ひとつの基準”だけ覚えればよい

迷いやすい人ほど、判断をシンプルにすべき。

基準はひとつだけ。

→「上に危険があれば離れる。煙があれば逆へ」

● 揺れた→棚・照明の下から離れる
● ガラスが割れそう→通路へ
● 煙が来た→逆方向へ
● 暗い→光のある方向へ

これだけでも生存率は大きく変わる。


■⑧ 屋外へ出た後は“建物から10~20m離れる”

モールの外壁・ガラス・看板は落下しやすい。
屋外に出ても油断は禁物。

● 建物から離れる
● 駐車場は危険(落下物・混雑)
● 車には戻らない
● 人の密集エリアを避ける

モール外の安全地帯は“遠ざかること”で作れる。


■⑨ 災害後はスマホで“家族の安否”を最優先で確認

避難後、必ず行うべき行動。

● LINEの安否スタンプ
● 災害用伝言ダイヤル
● モール公式アプリの情報
● SNSでの道路・交通情報

避難後は、情報の確保が落ち着きにつながる。


■まとめ|迷いやすい人でも“助かる方法”はある

大型ショッピングモールは複雑で危険も多いが、
次のポイントさえ押さえれば十分に助かる。

● 早めに動く
● 壁沿いに移動する
● 非常口マークを最優先
● 走らず速く歩く
● 車に戻らない

行動を迷わないための“シンプルな防災”が、あなたと家族を守る力になる。

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