2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震から21年が過ぎました。
時間が経つと、どうしても「あの地震は終わった話」と感じやすくなります。
ただ、結論からいうと、福岡の地震リスクは“過去の出来事”として片付けない方が安全です。
今回あらためて注目されているのが、福岡都市部を通る警固断層と、県内にある複数の活断層です。
特に警固断層南東部については、調査に関わる専門家から「地震を起こす周期の満期に近い状態かもしれない」との指摘も出ています。
元消防職員として被災地や災害対応の現場を見てきた感覚でも、
本当に危ないのは「地震が来るかどうか分からないこと」ではなく、
分からないまま、何も変えずに日常を続けてしまうことです。
■① 今回の話で一番大事なこと
最初に押さえたいのは、今回の話は「明日必ず地震が起きる」という予言ではないということです。
ただし同時に、福岡の活断層リスクを軽く見てよいという話でもありません。
活断層は、繰り返し活動すると考えられています。
しかも都市部の近くを通る断層は、ひとたび動けば住宅、道路、ライフライン、避難行動に大きな影響を与えます。
つまり大事なのは、
不安をあおることではなく、今のうちに備えを現実化すること
です。
■② 警固断層南東部をどう受け止めるか
福岡県西方沖地震では、警固断層の海域側が動きました。
一方で、福岡都市部を通る南東部は、その時に大きくずれていないとされています。
ここが重要です。
「前に動いたから、しばらく安心」と単純には言えないということです。
今回の報道では、警固断層南東部のトレンチ調査の結果から、
約4000年に1回ぐらい地震を起こしていた可能性があり、
満期に近い状態かもしれないという専門家の見方が示されています。
もちろん地震は年表どおりに起きるものではありません。
ただ、防災の判断としては、
“まだ大丈夫だろう”と考えるより、“起きても困らない側に寄せる”方が安全です。
■③ 活断層の怖さは「近い場所ほど被害が集中しやすい」こと
活断層地震の怖さは、揺れの大きさだけではありません。
断層に近い場所では、被害が集中的に出やすいことがあります。
熊本地震でも、地表に断層のずれが現れた周辺で家屋被害が集中したことが知られています。
福岡でも、もし都市近郊の活断層が動けば、建物被害だけでなく、交通、通信、消防活動、救急搬送にも大きく影響します。
現場感覚で言えば、広い範囲で少し困る災害より、
一部地域に深く被害が集中する災害の方が、初動は難しくなりやすいです。
■④ 西山断層など「警固断層以外」も見ておくべき理由
福岡の地震リスクを考えるとき、警固断層だけ見て終わるのは危険です。
県内では西山断層など、他の主要な活断層でも調査が進められています。
こうした調査は、「危険をあおるため」ではなく、
どこに、どんな断層があり、いつ頃活動したのか、
今が周期の中でどのあたりなのかを少しでも具体的に把握するためのものです。
防災では、
分からないものを放置するより、少しずつでも正体を知っていく方が強い
です。
だから、活断層調査のニュースは専門家だけの話ではなく、
住宅、防災、避難、家族の備えに直結する情報として見た方がよいと思います。
■⑤ 今いちばん現実的に見直したいのは「家の耐震性」
活断層のニュースを見て、最初にやるべきことは地図ばかり見ることではありません。
一番現実的なのは、自宅の耐震性を見直すことです。
福岡県では木造戸建て住宅の耐震化率は進んできている一方で、
まだ耐震性が低い可能性のある住宅が多く残っています。
特に旧耐震基準の住宅は、大地震時に被害が大きくなりやすいことが、能登半島地震などでもあらためて示されました。
つまり、
- 活断層の場所を知る
- 揺れやすさを知る
- 家の耐震性を知る
この3つをつなげて考えることが重要です。
■⑥ 「地震が来るか」より「来たときに家が耐えるか」で考える
防災でよくある失敗は、「発生確率」ばかり気にして動けなくなることです。
でも家庭の判断としては、そこだけを見すぎない方がいいです。
大事なのは、
地震が来るかどうかより、来たときに家族が潰されないかどうか
です。
元消防職員として本当に強く感じるのは、
大地震の被害で最後に差が出るのは、
避難技術より前に、家が持つかどうかであることが多いということです。
家具固定や備蓄も大切ですが、
住宅そのものの耐震性は、やはり土台です。
■⑦ いますぐできる現実的な行動
活断層の話は大きすぎて、何をしたらいいか分からなくなりやすいです。
だからこそ、行動は小さくて大丈夫です。
まずは次のような確認からで十分です。
- 自宅が旧耐震か新耐震かを確認する
- 木造戸建てなら耐震診断の対象か調べる
- 福岡県や市町村の補助制度を確認する
- 家具固定をやり直す
- 寝室に倒れやすい家具がないか見る
- 家族で「地震のとき最初にどう動くか」を話す
防災は、
不安を大きく持つことではなく、行動を小さく始めること
が大事です。
■⑧ 活断層リスクを「自分の話」に変える
活断層のニュースは、見た瞬間は気になります。
でも数日すると、多くの人がまた忘れてしまいます。
ただ、本当に大切なのはここです。
ニュースを見て終わるか、家の耐震や備えに結びつけるか
この差が、数年後に大きな差になります。
被災地派遣でも、
「もっと早く耐震を考えておけばよかった」
「古い家だと分かっていたけど後回しにしていた」
という声は珍しくありませんでした。
活断層の情報は怖がるためではなく、
後回しにしていた備えに手をつけるきっかけ
として使うのが一番実用的です。
■まとめ
福岡県西方沖地震から21年が過ぎても、福岡の活断層リスクは終わっていません。
特に警固断層南東部については、将来の活動に注意が必要だという専門家の指摘が出ています。
本当に大事なのは、
「活断層が怖い」と思うことではなく、「家族と家をどう守るか」に話を進めること
です。
活断層の位置や調査結果は大事です。
ただ、家庭防災として一番効くのは、耐震診断、耐震改修、家具固定、避難の確認です。
地震は止められませんが、被害は減らせます。
だからこそ、今回の話は「いつか」ではなく、「今の家を見直す理由」として受け止める価値があります。
出典:FNNプライムオンライン/テレビ西日本「“活断層リスク”を検証 専門家が警鐘『警固断層南東部は満期に近い』 震度6弱の西方沖地震から21年 耐震化不足の実態は?【福岡発】」

コメント