【元消防職員が解説】応急担架の作り方|やってはいけない運び方と判断基準

担架がない時、「とにかく運べばいい」と思うのが一番危険です。
結論から言うと、応急担架は作れます。
ただし、首や背中を痛めている人を無理に乗せる、固定せずに運ぶ、少人数で急ぐと、助けるつもりが悪化させることがあります。

だから判断基準はシンプルです。
安全に運べる時だけ運ぶ。危険なら無理に運ばない。
この記事では、担架がない時にどう作るか、そしてどんな場面では運ばない方がいいかを、元消防職員の視点で整理します。

■① 一番危ないのは「動かさないと助からない」と思い込むこと

消防庁の防災危機管理eカレッジでは、担架がない場合の応急担架として、毛布と物干しざお2本を使う方法が紹介されています。
一方で、搬送はあくまで必要な時に行うもので、傷病者の状態によっては不用意に動かさない方がよい場面があります。 (fdma.go.jp)

私なら最初にこう切ります。
その場が危険で、そこに置けないなら運ぶ。 その場が安全なら、まず応急手当と119番が先。

■② 基本の結論|毛布と棒があれば応急担架は作れる

消防庁の教材では、毛布を広げて三分の一程度の位置に棒を置き、毛布を折り返し、もう1本の棒を置いてさらに折り込むことで、応急担架を作る方法が示されています。 (fdma.go.jp)

つまり、基本形はこうです。

・毛布を広げる
・棒を1本置く
・毛布を折り返す
・もう1本の棒を置く
・さらに折り込んで体を乗せる

この形なら、布だけで持つより安定しやすいです。

■③ ただし「首・背中・骨盤」が怪しい時は雑に動かさない

元消防職員として強く言いたいのはここです。
交通事故、転落、強い打撲、大きな地震後などで、首・背中・骨盤の損傷が疑われる人を雑に持ち上げるのは危険です。

私なら次の条件なら、無理な搬送はかなり慎重にします。

・首や背中の痛みを訴える
・手足のしびれがある
・立てない
・意識がはっきりしない
・高い所から落ちた
・頭を強く打っている

この場合は、火災や崩落などの差し迫った危険がない限り、まず119番と体の保護が先です。

■④ 一発アウトになりやすいのは「少人数で急いで運ぶこと」

応急担架は作れても、運び方が雑だと危険です。
私なら最低でも次を意識します。

・できれば4人で持つ
・頭側と足側で声を合わせる
・段差や階段は特にゆっくり
・急に持ち上げない
・傷病者の体がずれないよう確認する

消防団教材でも、毛布と棒を利用した応急担架が紹介されていますが、実際には作り方だけでなく安定して運ぶ人数と連携がかなり重要です。 (fdma.go.jp)

■⑤ 結論|応急担架は「作れるか」より「安全に運べるか」で切る

応急担架の作り方そのものは難しくありません。
でも、本当に大切なのはここです。

その人を今、動かすべきか。 そして安全に運べるか。

毛布と棒があれば作れる。
ただし、首や背中が怪しい時は無理に動かさない。
運ぶなら複数人で、ゆっくり、声を合わせる。
この基準が一番外しにくいです。

■まとめ

担架がない時は、毛布と棒を使って応急担架を作る方法があります。
ただし、担架を作れることと、安全に運べることは別です。
特に首・背中・骨盤の損傷が疑われる時は、差し迫った危険がない限り無理に動かさない方が安全です。
大切なのは、「作れるか」ではなく、「今この人を安全に運ぶべきか」で判断することです。

私なら、応急担架は“早く運ぶ道具”ではなく“安全にしか運ばないための道具”として使います。現場では、急いで動かしたことで傷を悪化させることがあります。だから担架がない時ほど、作り方より運ぶべきかの判断を先に切る方が安全です。

出典:総務省消防庁 防災危機管理eカレッジ「搬送方法」

参考:総務省消防庁「消防団員のための教育用教材」

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