組織の中では、ときどき「正しいことを言うより、少し馬鹿になった方がいい」という空気が生まれます。
ただ、結論からいうと、防災や消防のような現場で、その空気が強くなりすぎるのは危険です。
なぜなら、災害対応で最後に命を守るのは、
遠慮ではなく、違和感を口にできる力
だからです。
元消防職員として現場を見てきた感覚でも、組織が弱る前には、たいてい次のような流れがあります。
- おかしいと思っても言わない
- 上に逆らう人が減る
- 現場の本音が上がらない
- 「波風を立てない人」が評価される
- 事故や不祥事の芽が見逃される
つまり、一番危ないのは、
能力不足より“ものが言えない空気”です。
■① 最初の結論
最初に持つべき判断はこれです。
組織で“少し馬鹿になれ”が美徳になりすぎたら危険。
協調性は大事です。
でも、協調と沈黙は違います。
防災の現場では、危険を見つけた人が言えない組織ほど弱いです。
■② 何が危ないのか
この種の空気が強い組織では、次のことが起きやすくなります。
- 間違いを見ても止めにくい
- 上司に都合の悪い情報が上がらない
- 若手が本音を言わなくなる
- 正論を言う人が浮く
- 結果として現場の安全が下がる
平時は何となく回ります。
でも非常時は、こういう組織ほど崩れやすいです。
■③ 防災で本当に必要な人
防災や消防で本当に必要なのは、
「従順な人」だけではありません。
- 危険を言える人
- おかしいと止められる人
- 事実をそのまま上げられる人
- 現場の違和感を言語化できる人
こういう人がいる組織の方が、結果的に事故を減らします。
■④ 現場感覚として伝えたいこと
元消防職員として強く感じるのは、
正しい人が疲れて去る組織は、静かに弱る
ということです。
声を上げる人が面倒な人扱いされ、
何も言わない人ばかりになると、組織は一見平和に見えます。
でも実際は、危険の発見力が落ちています。
■⑤ 今日の判断基準
迷ったら、この基準で見てください。
その組織は、正しいことを言った人が浮くか、守られるか。
ここでかなり分かります。
防災に強い組織は、空気を読む人より、
危険を言える人を残せる組織です。
■まとめ
「もっと馬鹿になれ」という空気は、組織を丸く見せます。
でも、防災や消防の現場では、その空気が強すぎると危険です。
本当に大事なのは、
協調性より先に、危険を言える空気があること
です。
組織を守るのは、黙る力ではなく、
必要なときに言える力だと思います。
出典:近代消防プラス「『近代消防』アーカイブ だより vol.179(『近代消防』昭和42年5月号より『赤色灯 第45回(その1)』)」

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