災害医療というと、全国からDMATが集まれば何とかなると思われがちです。
ただ結論からいうと、DMATの司令塔は“東京と大阪だけで十分”と考えると危険です。
現在、DMAT事務局は東京と大阪の2か所に設置され、平時は研修や訓練、災害時は被災地への助言、関係省庁との調整、DMATの運用調整を担っています。厚生労働省は2026年度概算要求で、ドクターヘリ支援本部をDMAT事務局に新設し、専門人員の確保と調整支援システムの導入を進める方針を示しています。 (dmat.jihs.go.jp ) (mhlw.go.jp )
■① 最初の結論
DMAT事務局は「遠方からでも来られるから大丈夫」で考えると危険。 助かるのは、司令塔を地域分散しておくことです。
元消防職員として言うと、
大規模災害で一番重いのは、人が足りないことより、調整の初動が遅れることです。
■② なぜ事務局が大事なのか
DMATは、災害発生直後に被災地へ入り、
- 負傷者の救急治療
- 搬送調整
- 医療物資の確保
- 被災地の医療支援
を行う災害派遣医療チームです。
DMAT事務局は、そのDMATをどこに、どれだけ、どう動かすかを調整する司令塔です。現在、事務局は東京と大阪の2拠点で運営されています。 (dmat.jihs.go.jp )
つまり、現場で動く隊員だけでなく、
全体を回す調整拠点がどこにあるかがかなり重要です。
■③ 何が危ないのか
ここで危ないのは、次の考え方です。
- 司令塔は2拠点あれば十分
- 遠くても飛行機や新幹線で入れる
- 現場に人が行ければ調整は何とかなる
- 医療は病院側が自然に回す
被災地派遣やLOでも感じましたが、
広域災害で本当に怖いのは、
現地入りが遅れること以上に、調整の中心が遠いことです。
交通網が寸断されると、
- 現地情報の把握が遅れる
- 支援先の優先順位づけが遅れる
- 地元自治体との連携が後手に回る
- 隊員派遣の最適化が難しくなる
ということが起きやすくなります。
■④ なぜ北海道と九州なのか
厚生労働省の方針では、北海道と九州に新たなDMAT事務局を整備する方向です。
背景には、東京・大阪から遠い地域で災害が起きた場合、遠方からの現地入りが遅れる懸念があること、さらに地域ごとに異なる災害特性に合わせた訓練や調整が必要なことがあります。 (mhlw.go.jp )
防災士として見ると、これはかなり意味があります。
- 北海道は日本海溝・千島海溝地震のリスク
- 九州は水害や広域災害への対応
- 地域に合った平時訓練の実施
こうした面で、近くに司令塔があることは強いです。
■⑤ 現場感覚として一番伝えたいこと
防災士として一番伝えたいのは、
災害医療は“人員の数”だけでなく“調整拠点の近さ”で強さが変わる
ということです。
現場に医師や看護師がいても、
どこが本当に困っているか、
どこへ先に送るか、
どう搬送するか、
この調整が遅れると、支援の力は落ちます。
だから、DMAT事務局の分散は、
単なる組織拡大ではなく、
災害医療の初動を速くするための再配置
と見る方が分かりやすいです。
■⑥ まとめ
今回のテーマで大事なのは、
DMAT事務局は“東京と大阪だけで十分”と思うと危険。 地域分散すると助かる。
この判断です。
災害では、現場に行く人だけでなく、
全体を回す司令塔がどこにあるかで差が出ます。
北海道、九州、そして今後さらに地域分散が進めば、
医療支援はもっと早く、地域事情に合った形に近づきます。
災害医療で本当に強いのは、
人を集める仕組みだけでなく、
近くで調整できる仕組みがあることだと思います。

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