【元消防職員が解説】TEC-FORCEは“国の職員だけで十分”と思うと危険 民間人材と学識者が入ると助かる

大規模災害の対応というと、「国の専門部隊が来れば何とかなる」と思いがちです。
ただ結論からいうと、TEC-FORCEは“国交省職員だけで回せる”と考えると危険です。

国土交通省は2025年、TEC-FORCEの増強と多様な主体との連携強化を打ち出し、民間人材を非常勤の国家公務員として活用する「TEC-FORCE予備隊員」制度、そして学識者が技術的助言を行う「TEC-FORCEアドバイザー制度」を創設しました。
創設以来、TEC-FORCEは約170災害に延べ約17万3千人・日が派遣されており、災害の大型化・広域化に合わせて、支援側も「オール官」から「オールジャパン」に近づいています。

■① 最初の結論

TEC-FORCEは「国の職員だけで十分」と思うと危険。 助かるのは、民間人材と学識者まで含めて動ける体制です。

元消防職員として言うと、
大規模災害で一番重いのは、
人が足りないことそのものより、専門性が偏ることです。

■② 何が変わったのか

今回大事なのは、支援体制が広がったことです。

  • TEC-FORCE予備隊員
    専門的な知識や経験を持つ民間企業等の人材を、災害時に非常勤の国家公務員として採用し、TEC-FORCEの一員として被災地で活動できる仕組みです。
  • TEC-FORCEアドバイザー
    被災地で、学識者から速やかに技術的助言を受けられるようにする仕組みです。

つまり、
「国の中だけで抱える」のではなく、
外の専門性を早く現場に入れる方向へ動いています。

■③ 何が危ないのか

ここで危ないのは、次の考え方です。

  • 国の職員数を増やせば十分
  • 民間は工事だけやればいい
  • 学者の助言は後からでも間に合う
  • 災害対応は行政だけで完結すべき

被災地派遣やLOでも感じましたが、
広域災害で本当に必要なのは、
現場判断、施工感覚、技術助言、調整力が同時にそろうことです。

たとえば、

  • 応急復旧を先にやるか
  • 仮設でつなぐか
  • 本復旧を見据えて動くか

こういう判断は、行政職だけでは難しい場面があります。

■④ なぜ民間人材が強いのか

民間人材の強みは、
スピード感と実務感覚です。

長年、施工管理や現場監督、測量、設計などをやってきた人は、

  • 何を先にやるべきか
  • どこが危ないか
  • どこまで仮復旧で持たせられるか

を実務感覚で見られます。

防災士として見ると、これはかなり強いです。
なぜなら災害対応では、
理屈だけでなく、現場で回る判断が必要だからです。

■⑤ なぜ学識者の助言も必要なのか

一方で、災害には
土砂災害、堤防決壊、港湾被害、火山、道路斜面など、
技術的に難しいテーマが多くあります。

こういう時に、学識者がアドバイザーとして早く入れると、

  • 技術的判断が早まる
  • 対策の方向がぶれにくい
  • 自治体だけで抱え込まなくて済む

という強みがあります。

元消防職員として言うと、
現場が助かるのは「詳しい人がいること」より、
詳しい人にすぐ聞けることです。

■⑥ 現場感覚として一番伝えたいこと

防災士として一番伝えたいのは、

巨大災害は“単独の強い組織”より“つながる体制”の方が強い

ということです。

国の職員、自治体、民間、大学。
こうした人たちが別々に動くより、
最初から一体で動ける方が、初動はかなり速くなります。

だから今回のTEC-FORCE強化は、
人を増やす話というより、
災害対応を多層化する話として見た方が分かりやすいです。

■⑦ まとめ

今回のテーマで大事なのは、

TEC-FORCEは“国の職員だけで十分”と思うと危険。 民間人材と学識者が入ると助かる。

この判断です。

災害は、1つの組織だけで完結する時代ではありません。
だからこそ、被災地を本当に助けるのは、
行政の力に、民間の実務と学識者の知見を重ねることです。

それが一番現実的で、これからの大規模災害に強い体制だと思います。

出典:国土交通省「TEC-FORCEの増強と多様な主体との連携強化による被災自治体応援の強化」

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