【元消防職員・防災士が解説】防災×デジタル・サイバーセキュリティ|災害は“ネット攻撃”と同時に襲ってくる時代へ

災害対策を語るうえで、近年もっとも見落とされがちなのが
“デジタル防災”と“サイバーセキュリティ”の強化。

災害とサイバー攻撃は無関係に見えるが、実はセットで襲来するケースが増えている。
停電・混乱・通信障害で守りが弱くなるタイミングを狙われると、
被害が「物理+デジタル」の二重災害になる。

ここでは、“これからの防災”に不可欠なデジタル・サイバー対策を解説する。


■① 災害時はサイバー攻撃が増える

災害発生直後は、社会全体の注意が物理被害に向く。
その隙を狙って、次の攻撃が増加する。

● 公的機関を装った偽メール(フィッシング)
● SNSでのデマ拡散
● 災害支援を装った詐欺
● 個人のアカウント乗っ取り
● ランサムウェアによる病院・自治体攻撃

“物理災害+デジタル災害”が同時に起きると、社会機能が一気に壊れる。


■② 個人レベルで必須のデジタル防災

家庭こそ、サイバー対策が重要。

●① パスワードの強化

生年月日・電話番号は即アウト。
英数字+記号の12桁以上が必須。

●② 2段階認証は全サービスでON

SNS・銀行・メール・買い物アプリは必ず設定。

●③ フリーWi-Fiは災害時ほど危険

暗号化なし=データ丸見え。
避難所や公共施設で特に注意。

●④ バックアップは最低2種類

・iCloud / Google Drive
・外付けSSD
災害によるデータ喪失を防ぐ“命の備蓄”。


■③ スマホは災害時の“ライフライン端末”

スマホは通信・情報・決済・証明書すべてを担う最強の防災ツール。
だからこそ“守るべき対象”になる。

● OS・アプリを常に最新版に
● 不審なアプリを入れない
● 充電ケーブルを貸し借りしない(データ抜き取りのリスク)
● ロック画面から個人情報を見られない設定

スマホのセキュリティは、災害時の生存率にも関わる。


■④ 自治体・企業が強化すべき“サイバーBCP”

災害に強い組織は、必ずデジタルBCP(事業継続計画)を持っている。

●① データセンターの分散

地震帯に1か所だけ置くのは企業自殺行為。

●② バックアップは3-2-1ルール

・3つのコピー
・2種類の媒体
・1つは遠隔地保管

●③ ランサムウェア対策

行政・医療は特に狙われやすい。
災害時に病院システムが止まると“人命被害”に直結。

●④ 職員・社員のセキュリティ教育

「怪しいリンクを押さない」だけでも被害は7割減。

デジタル防災は、組織運営そのものの生命線になる。


■⑤ SNSデマ対策:情報の選別スキルが命を守る

災害時に最も危険なのは「誤情報」。
SNSでのデマは、避難行動に直接影響する。

● 出どころ不明の情報はシェアしない
● 画像・動画は加工されている可能性
● AIが生成した“偽被災映像”が増加
● 正しい情報源は国・自治体・消防・気象庁

デマに惑わされると、避難が遅れる。


■⑥ キャッシュレス社会の防災弱点を補う

キャッシュレス化は便利だが、災害時に弱点もある。

● 停電で決済不能
● 通信障害でアプリが開かない
● ATM停止
● 電子マネー残高の復旧に時間

だからこそ、家庭で必要なのは
“現金1〜3万円のアナログ備え”。

災害時は現金が最も強い。


■⑦ 家庭でできる“デジタル防災チェックリスト”

● スマホの予備バッテリー
● 携帯キャリアの災害用伝言サービスの使い方
● SNSアカウントの2段階認証
● バックアップの定期実施
● フリーWi-Fiを使わないルール
● 家族LINEグループの情報源統一

デジタルの備えは“最も簡単で、最も効果が大きい防災”。


■まとめ|これからの防災は“リアル×デジタル”で守る時代

● 災害とサイバー攻撃は同時に発生しうる
● 個人のスマホ管理が命の安全に直結
● 企業・自治体はデジタルBCPの整備が最重要
● SNSのデマ対策は避難判断に不可欠

防災はもう、“物理対策だけでは不十分”。
リアルの備えに加えて、デジタルの防御力を高めることが
これからの時代の“命を守るスキル”になる。

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