【元消防職員・防災士が解説】防災×耐震補強工事|既存住宅を“地震に強くする”現実的な方法

日本の住宅の多くは、築20〜40年以上が中心。
その大半が「旧耐震基準」のまま使われ、
大地震では倒壊リスクが高いことが分かっている。

しかし、既存住宅でも 耐震補強 を行えば
“地震に強い家”へ生まれ変わらせることができる。
ここでは、家庭が現実的に選べる耐震補強の方法をまとめる。


■① 壁を強くする「耐力壁の追加」が最重要

耐震補強の中心は 壁の強化
家は壁が少ない方向へ倒れやすい。
これを改善すると耐震性が大きく上がる。

● 壁を増やす(筋かい・構造用合板)
● 既存の弱い壁を補強する
● 1階の壁バランスを整える

特に1階の壁量は“家全体の強さ”に直結する。
大地震で倒壊を防ぐための基礎になる工事。


■② 金物で接合部を補強する

古い家では、柱と梁の接合が弱くなっていることも多い。
ここを金物で強化すると揺れに強くなる。

● 羽子板ボルト
● 筋かい金物
● ホールダウン金物

小さな工事でも効果が大きいのが特徴。


■③ 基礎の補強|ひび割れ放置は危険

基礎が割れている家は、地震で大きく揺すられる。
基礎補修は安全性の土台づくり。

● 亀裂の補修(エポキシ樹脂)
● 鉄筋量の不足を補う工事
● べた基礎化の部分施工

特に古い「布基礎」の家は専門家の点検推奨。


■④ 屋根の軽量化で揺れを“半分近く”減らせる

瓦屋根は重く、地震で揺れが大きくなりやすい。
屋根を軽くするだけで耐震性能は大幅に上がる。

● 瓦 → 金属屋根(ガルバリウム)へ変更
● 重量のある瓦を軽量瓦へ交換

軽量化は費用対効果が高い耐震補強の代表。


■⑤ 制震ダンパーの後付けで揺れを吸収

近年は「後付け制震」が広く普及している。
揺れを吸収する部材を取り付けることで、
建物の損傷を抑えられる。

● オイルダンパー
● ゴム系ダンパー
● 金属系ダンパー

耐震+制震はバランスが良く、
大地震の繰り返し揺れにも強い。


■⑥ 耐震診断で“どこを補強すべきか”が明確になる

補強工事は、闇雲にやるとムダが発生する。
必ず 耐震診断 で家の弱点を把握することが重要。

● 壁量不足
● 基礎の劣化
● 接合部の弱さ
● 重心と剛心のズレ

診断をすることで必要な補強が分かり、
最小限の費用で最大の効果を得られる。


■⑦ 家具固定とのセットで“室内安全”を最大化

耐震補強をしても、
家具が倒れればケガや死亡の危険が残る。

● L字金具
● ポール式固定
● ベルト固定
● 耐震マット

家の強度 × 家具固定 × 非常時の行動
この3つがそろって初めて、
家族を地震から守れる。


■⑧ まとめ|既存住宅でも“地震に強くできる”

耐震補強は大きな工事に思えるが、
実際は次のように段階的な強化が可能。

● 壁の強化
● 金物補強
● 基礎補修
● 屋根の軽量化
● 制震ダンパー追加

すべてを一度に行わなくても良い。
できるところから1つずつ強化していけば、
あなたの家は確実に“倒れにくい家”へ近づく。

家を守ることは、家族の命を守ること。
大地震が来る前に、できる対策から始めてほしい。

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