【元消防職員が解説】防災×消防士の仮眠時間|“寝ずに訓練するのか?”という誤解と、現場のリアル

消防士は24時間勤務。
その中で必ずあるのが「仮眠時間」だ。

しかし、よく誤解されるのが、

「消防士は仮眠時間も寝ずに訓練しているの?」

答えはこうだ。

→ 寝ずに訓練することは“基本的にない”。 仮眠時間は“訓練ではなく出動に備える休息”。

ただし、消防士の仮眠は“眠れない睡眠”でもある。

ここではそのリアルを解説する。


■① 仮眠時間は“訓練ではなく、出動準備のための休息”

消防士は24時間のうち、
夜間に「仮眠時間(睡眠時間)」が設定されている。

● 本来は寝て良い時間
● 訓練や業務は入れない
● 夜中の出動に備えるための体力回復

つまり、

仮眠時間=消防士の安全を守る時間

ここを削って訓練するのは危険で、
事故・ケガ・判断ミスにつながる。


■② とはいえ…“出動が多くて寝られない”のが現実

仮眠時間は「寝てもいい時間」だが、
消防士の夜は静かではない。

● 救急出動(特に夜間は多い)
● 火災の通報
● 救助出動
● 自動火災報知機の誤報

結果として、

仮眠時間が実質“寝られない時間”になることが多い。

これは消防士あるある。


■③ では、仮眠時間に訓練はしないのか?

結論:しない。やらない。禁止の消防署も多い。

理由は明確。

● 疲労した状態で災害対応は危険
● 判断力が落ちると死亡事故につながる
● 夜間の訓練は騒音や安全上の問題
● 消防士の健康を保つための重要な休息

消防職員は24時間のうち、
“いつでも命がけで出動できる状態”を作らないといけない。

だからこそ仮眠時間は守られる。


■④ 仮眠時間でも隊は“災害モード”のまま待機している

寝ることはできても、
完全にリラックスしているわけではない。

● ブザーが鳴った瞬間に起きる
● 防火服は枕元に置く
● 靴はそのまま足を入れられる向き
● 耳は半分起きている状態

つまり仮眠時間は、

“休息しながら戦闘態勢を維持する時間”

消防士の睡眠は特殊なのだ。


■⑤ 夜間訓練は“特殊な時だけ”実施されることがある

夜に訓練をするケースもごく稀にある。

● 24時間消防署内研修
● 大規模訓練の事前準備
● 災害対応力の強化訓練(年に数回)
● 重大事故後の全署的な訓練
● 行政監査前の確認

ただしこれらは“日勤帯で仮眠時間に入れないよう調整される”か、

仮眠時間を削らないために別日で実施するのが基本。

常に寝ないで訓練しているわけではない。


■⑥ 仮眠より訓練を優先すると“現場で命を落とすリスク”が上がる

消防士に必要なのは、

● 24時間動ける体
● 冷静な判断力
● 状況を読む力

睡眠不足はこのすべてを奪う。

だから消防組織としても、

「仮眠=安全確保」 「仮眠削り=危険増大」

という考え方。

仮眠を削って訓練するのは逆効果なのだ。


■まとめ|消防士は仮眠時間に訓練はしない。出動に備えるために休む。

この記事のポイント。

● 仮眠時間は“訓練時間ではなく休息時間”
● 夜間は出動が多く、寝られない消防士も多い
● 安全のため仮眠時間に訓練は行わない
● ブザーひとつで出動する“待機睡眠”が消防士の仮眠
● 夜間訓練は特例で、仮眠時間とは別扱い
● 仮眠を確保することは“現場の安全”そのもの

結論:

消防士は仮眠時間に訓練はしない。 しかし“休めても眠れない”のがリアルな夜勤である。

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