大きな地震が発生した際、
もっとも危険な二次災害のひとつが 通電火災(電気火災) です。
その対策として国が推奨しているのが
「感震ブレーカー(感電ブレーカー)」 です。
日本の住宅火災の多くは、
地震後に“電気が戻った瞬間”に起きていることをご存じでしょうか。
感震ブレーカーは、この火災を防ぐために非常に有効な装置です。
ここでは、防災士として、
感震ブレーカーの仕組み・必要性・設置ポイントをわかりやすく解説します。
■① 感震ブレーカーとは?
感震ブレーカーとは、
震度5強〜6弱程度の揺れを感知すると、自動で電気を遮断する装置 のことです。
特徴は以下の通り。
- 揺れを検知して自動的に電気を止める
- 地震後の通電火災を防ぐ
- 自宅・集合住宅・事業所で設置可能
- 電源復旧時の火災リスクを大幅軽減
取り付けるだけで家の火災リスクを大きく下げることができます。
■② なぜ“感震ブレーカー”が必要なのか
地震での火災の多くは、
揺れの最中ではなく 数時間後に発生 します。
理由は以下です。
- 地震で家具転倒 → 電線が断線
- 家電が落下 → 配線がショート
- ホットプレート・電気ストーブの転倒
- 外出中の家電が暴走
- 倒れた家具にコードが挟まり発熱
そして“停電が復旧した瞬間”に通電し、
火災が一気に発生するケースが多数。
感震ブレーカーは、この 再通電による出火 を予防するための装置です。
■③ 3種類の感震ブレーカーがある
感震ブレーカーには主に3種類あります。
① 分電盤タイプ(最も確実)
- 家全体の電気をまとめて遮断
- 建物火災防止に最も効果的
- 新築・リフォーム時に推奨
② コンセントタイプ
- 個別の家電を遮断
- 冷蔵庫やストーブなどの電気火災に有効
- 手軽で導入しやすい
③ 後付けタイプ(簡易型)
- ブレーカーのつまみに装着
- 揺れで作動してブレーカーを落とす
- 低コストで導入しやすい
家の状況や予算で選ぶことができます。
■④ 国も「火災対策の必須項目」として推奨
内閣府や消防庁は、
“感震ブレーカーの住宅への普及” を防災政策として強く推進しています。
理由は、
- 木造密集地域は通電火災の延焼が早い
- 消防車が入りにくい地域が多い
- 首都直下地震・南海トラフ地震で火災が多発する可能性
- 住民が避難している間に燃え広がる危険
という都市災害特有のリスクがあるためです。
■⑤ どの家庭に必要なのか?
以下の家庭は優先的に導入をおすすめします。
- 木造住宅に住んでいる
- 古い配電設備を使っている
- 電気ストーブ・こたつ・延長コードを多用
- ペットがいる(コードが倒れやすい)
- 外出時間が長い
- 高齢者のみの世帯
- 2階以上の集合住宅
特に木造密集地域では
“感震ブレーカーの設置=地域全体の火災抑制” にもつながります。
■⑥ 設置のポイント
感震ブレーカーを最大限に活かすために、
- ブレーカー本体の位置を確認
- 家の配電盤が古い場合は交換も検討
- 冷蔵庫などの重要家電の扱いを事前に確認
- 夜間・留守中の作動を想定
- 停電復旧後に手動で復帰させる手順を家族で共有
これらを事前に把握しておくことが大切です。
■⑦ 設置は消防・電気工事業者へ相談可能
分電盤タイプを設置する際は、
電気工事士の資格が必要です。
- 地元の電気工事業者
- 住宅メーカー
- 消防団・自治体の防災担当
- 家電量販店
などで取り付け相談ができます。
簡易型であれば、
個人でも購入・設置が可能です。
■⑧ 被災後の「火の元確認」が難しい時にこそ有効
大地震が起きた直後は、
- 建物が傾く
- 倒壊の危険
- 夜間で周囲が暗い
- 余震が続く
- 家の内部に入れない
など、火の元確認ができない状況が起こります。
そんなとき、
感震ブレーカーが自動で電気を遮断してくれる
というのは非常に大きな安心材料です。
■まとめ|感震ブレーカーは“地震火災を防ぐ最後の砦”
感震ブレーカーは、
自宅を火災から守るためのシンプルで効果的な装置です。
- 地震後の通電火災を防ぐ
- 国も普及を強く推奨
- 専門工事不要のタイプもある
- 木造住宅や都市部では特に重要
- 火災の大半を“発生前に止める”ことができる
結論:
感震ブレーカーは「自宅と家族を守るための必須装置」。 防災士として、地震対策の優先度を最も高くすべき設備だと強く感じます。

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