【防災士が解説】防災 × 高齢化と逃げ遅れ問題|“避難したくてもできない人”が増える深刻な現実

風水害で亡くなる方の多くが、
「避難したくてもできなかった人」
つまり 高齢者や要支援者 です。

日本は急速に高齢化が進み、
災害時に“逃げ遅れ世帯”が増加しているという大きな課題があります。

ここでは防災士として、
風水害対策の課題⑤
「高齢化で避難できない世帯が増えている」 を詳しく解説します。


■① 高齢者は“災害弱者”になりやすい

高齢者の多くは、避難行動が難しくなりやすい状況にあります。

  • 足腰が弱く移動に時間がかかる
  • 夜間・雨天の移動が困難
  • 階段や坂道が多い地域は特に危険
  • 判断力・反応速度が低下する
  • 車の運転ができない、しない
  • 一人暮らしで助けを頼めない

このように、
体の問題と生活環境の両方が避難を妨げる原因 になります。


■② 高齢者だけの世帯が増え続けている

特に地方では、

  • 高齢者のみ世帯
  • 75歳以上の単身世帯
  • 子どもが遠方に住んでいる
  • 地域内で支援者がいない

という家庭が急増しています。

台風や豪雨の避難情報が出ても、
「動けない」「誰も頼れない」状態のまま取り残されるケース が多発しています。


■③ 避難を“ためらう心理”が強い

高齢者には、避難をためらう理由もあります。

  • 「自宅の方が安心」
  • 「まだ大丈夫だろう」
  • 「迷惑をかけたくない」
  • 「避難所の環境が不安」
  • 「夜に外へ出たくない」
  • 「雨が強くて怖い」

こうした心理的障壁が、
避難の遅れ → 命の危険 に直結してしまいます。


■④ 体力の低下が“避難時間の遅れ”を生む

例えば、

  • 若者:徒歩5分の避難所
  • 高齢者:徒歩15〜20分以上かかる

という状況が普通にあります。

さらに豪雨時は、

  • 道路が冠水
  • 水流が強まる
  • 視界が悪い
  • 傘が使えない

これらにより、
避難行動そのものが不可能になる こともあります。


■⑤ 要支援者リストだけでは救えない

自治体は「避難行動要支援者名簿」を整備していますが、実際の災害では、

  • 人数が多すぎて支援が追いつかない
  • 担当者が人手不足
  • 豪雨で支援者が現場に近づけない
  • 夜間は連絡が取れない
  • 担当者も同時に被災してしまう

という状況が起き、
名簿があっても救助につながらない現実 があります。


■⑥ 家が避難しづらい場所にある

高齢者が住んでいる地域には、

  • 河川沿い
  • 土砂災害警戒区域
  • 道幅が狭い旧集落
  • 高台への坂が急
  • 車が必要な地域
  • 公共交通がない地域

が少なくありません。

こうした地域では、
避難の難易度が物理的に高い のです。


■⑦ 解決に必要なのは“地域の支え合い”

高齢者の避難支援は、
行政だけでは絶対に対応しきれません。

必要なのは、

  • 近所が声をかける
  • 早期避難の同行
  • 家族・親族の支援
  • 自主防災組織の声かけ
  • 日頃からの見守り活動
  • 避難車両の確保

こうした “地域の助け合い=共助” が欠かせません。


■⑧ 住民ができる“高齢者支援の行動”

  • 大雨予報が出たら早めに声をかける
  • 夜間の避難は日没前に完了させる
  • 移動が難しい場合はホテル避難も検討
  • 家族と避難方法を共有
  • 高齢者本人に避難のタイミングを話し合う
  • 近所の「逃げられない人」を把握する
  • 防災アプリで雨雲を常時チェック

これらは高齢者だけでなく、
地域全体の命を守る行動です。


■まとめ|高齢化は“災害弱者の増加”という深刻な問題を生む

風水害対策の課題⑤
「高齢化で逃げ遅れる世帯が増えている」 は、今後さらに深刻になります。

  • 高齢者が増える
  • 一人暮らしが増える
  • 避難が遅れる
  • 体力的に避難が困難
  • 地域の支援が追いつかない

結論:
高齢者避難は“地域で支える仕組みづくり”が鍵。 防災士として、家族・近所・地域の連携による早期避難を強く推奨します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました