【防災士が解説】防災 × 家具固定不足の課題|“倒れる家具が一番危険”なのに進んでいない現実

地震で最も多いケガの原因をご存じでしょうか?
答えは 「家具・家電の転倒や落下」 です。

阪神・淡路大震災では、
室内での家具転倒による負傷者が全体の 約46%
大きな地震では、真っ先に家の中の物が凶器になります。

しかし現場を見てきた防災士として感じるのは、
「家具固定が全国的に全く進んでいない」
という深刻な課題です。

今回は、地震対策の課題②
「室内の安全対策(家具固定)が不十分」
について解説します。


■① 家具が“倒れる前提”の家がほとんど

住まいの点検をすると、ほぼ全ての家庭で

  • 本棚が無固定
  • 食器棚のロックなし
  • 冷蔵庫も止めていない
  • テレビが揺れで飛ぶ位置
  • タンスが寝室で倒れる配置
  • ガラス棚が割れる位置にベッド

など“ケガをする配置のまま”になっています。

家具の転倒は、震度5強あたりから急増します。


■② 死傷原因の多くは「転倒・落下物」

大地震では、建物倒壊よりも
室内の落下物の方が危険です。

  • 高さ180cmの本棚が倒れる
  • テレビが1m飛ぶ
  • 電子レンジが落下
  • 照明が落ちる
  • ガラス製品が割れる
  • 食器棚が飛び出す

これらは全て“簡単な固定”で防げます。


■③ 家具固定が進まない理由

現場で住民の声を聞くと、主な理由は以下です。

  • 面倒
  • 費用がかかる
  • 貸家だからできない
  • どれを買えばいいか分からない
  • 信じられないほど「うちは大丈夫」意識

しかし、
家具1つ固定するだけで命が助かる
というのが地震の現実です。


■④ 危険なのは“家具の位置”そのもの

固定だけでなく、配置そのものが危ない家庭も多いです。

特に危険なのは、

  • ベッドの横に背の高い家具
  • 子ども部屋に本棚
  • 出入口を塞ぐ家具
  • 階段近くの収納ラック
  • 廊下に置かれた棚
  • 冷蔵庫が倒れると台所を塞ぐ配置

地震は、家具を「凶器」だけでなく
「避難の邪魔」にも変えてしまいます。


■⑤ おすすめの家具固定方法

◎壁固定(最も強い)

  • L字金具
  • つっぱり棒+ベルト
  • 下への転倒を防ぐストッパー

◎落下防止

  • 食器棚に耐震ロック
  • テレビの耐震ベルト
  • 家電の滑り止めマット

◎配置替え

  • 背の高い家具は寝室に置かない
  • 出口を塞がない位置に配置
  • 子どもの頭上に物を置かない

“無料でできる対策”も多く、
まずは配置の見直しからが効果的です。


■⑥ 家具固定は“住まいの耐震化”の一部

地震対策というと建物の耐震化ばかり注目されますが、
実は 家具固定も耐震化の一部 です。

  • 家具固定=命を守る
  • 家具配置=避難経路を守る
  • 落下防止=生活を守る

建物が無事でも、室内でケガをすれば避難行動が取れません。


■⑦ 子ども・高齢者ほど“室内の危険”に弱い

地震で命を落とすリスクが高いのは、

  • 子ども
  • 高齢者
  • 妊婦
  • 障がいのある方

これらの方は、揺れの中で移動できません。

だからこそ、
寝室や子ども部屋の安全化が最優先課題です。


■⑧ 家庭での家具固定が“地域防災力の底上げ”になる

災害時、消防・警察・自衛隊は限界があります。

家庭でケガ人が減れば、
救助を必要とする人数も減ります。

つまり家具固定は、

  • 自助の強化
  • 共助の余力を生む
  • 地域全体の犠牲を減らす

という効果がある、防災の基本中の基本です。


■まとめ|家具固定は“たった数千円で命が助かる”最もコスパの高い防災

地震対策の課題②
「家具固定が進んでいない」 は、
全国で共通する深刻な問題です。

  • 室内が最も危険
  • ケガの多くは家具転倒
  • 家具配置が危険な家庭が多い
  • 子どもの部屋や寝室は特に注意
  • 数千円の対策で命が助かる

結論:
防災士として、家具固定は“いますぐできる最強の命の備え”。建物より先に室内の安全を整えることが地震対策の第一歩です。

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