冬の避難所は、想像以上に寒くなります。
体育館や公民館は断熱性能が低く、暖房が不足しやすく、床はコンクリートで“底冷え”。
被災地派遣の経験でも、
「避難所の寒さが体調悪化につながった」 という声は非常に多く、
低体温症や風邪・肺炎のリスクが一気に上がります。
この記事では、防災士の視点で
「避難所が寒すぎる時にどう身を守るか」
を徹底解説します。
■① なぜ冬の避難所はここまで寒いのか
避難所が極端に寒くなる原因は以下の通り。
- 体育館・公民館は断熱性がほぼゼロ
- 床がコンクリート → 底冷えが強烈
- 暖房機器が不足しがち
- 暖房があっても広すぎて温まらない
- 夜間は外気温とほぼ同じ環境になる
- 風の通り道が多い
特に床冷えは体温を奪う最大要因です。
■② 冬の避難所で起こりやすい健康リスク
寒さは“静かに命を奪う”危険があります。
- 低体温症
- 筋力低下・足腰の痛み
- 風邪・気管支炎
- 肺炎(高齢者に多い)
- 睡眠不足
- 血圧上昇による循環器リスク
特に高齢者・子ども・持病のある人は要注意です。
■③ 底冷え対策(最重要)
避難所の寒さ対策は 床との距離を作る ことが全て。
- 毛布は“身体の上”よりも“下に敷く”
- ダンボールを二重に敷く
- ブルーシートの上に毛布+タオル
- アルミシートを下に敷く(保温効果大)
- 可能なら“寝る場所を一段高くする”
床から体温が奪われるのが最大の危険です。
■④ 暖房が弱いときの服装・重ね着テクニック
避難所では暖房が不足することが多く、服装での工夫が必須。
- ヒートテックなど吸湿発熱インナー
- 中間にフリース・スウェット
- 最後にウインドブレーカー(風を通さない)
- 首を温めるタオル
- ひざ掛け・ストール
- 靴下を二重に
- ニット帽で頭の熱が逃げるのを防ぐ
「首・手首・足首」
この3つを温めると体温低下が大きく抑えられます。
■⑤ 寝る時の寒さ対策
夜の冷え込みは避難所最大の危険。
次の組み合わせが最強です。
- アルミブランケットで包む
- その上に毛布(静電気が起きにくい素材)
- 服は厚着しすぎず、体温がこもる程度
- 湯たんぽ(ペットボトルにお湯でもOK)を足元へ
- マスクを付けて鼻と喉の乾燥を防ぐ
- 風が直接当たらない場所に寝る
特に足元を温めると睡眠が安定します。
■⑥ 避難所が寒いときに「やってはいけない行動」
寒さで焦ると危険行動につながります。
❌ ロウソクを使う(火事の原因)
❌ 灯油ストーブを勝手に持ち込む
❌ 車中泊を選んで一酸化炭素中毒
❌ 換気を完全に止める
❌ アルミシート1枚だけで寝る(結露で逆に冷える)
避難所では「火気厳禁」が基本です。
■⑦ 寒さを感じたらすぐ申し出てOK
避難所運営では、寒さは“重大な健康問題”です。
- スタッフに毛布追加を相談
- 家族や女性・子どもは優先で配布されることが多い
- 寒い位置に避難している場合、別エリアへの移動を依頼
- 暖房の風向き調整なども相談できる
遠慮は禁物です。
寒さは本当に命に関わります。
■⑧ 家族でできる「小さな暖房テク」
道具が少ない避難所でも、以下は簡単にできます。
- みんなで集まり、体温を逃がさない
- 大きめのタオルで“簡易テント状”の空間を作る
- 濡れた服はすぐ着替える
- 水分を取り、体の巡りを保つ
- 温かい飲み物を定時で摂る
- 仮眠は重ね着をして手足を冷やさない
身近な工夫でも体温低下を十分防げます。
■まとめ|「避難所の寒さ」は軽視禁物。工夫で命を守れる
冬の避難所は、想像以上の寒さと底冷えで
体力を大きく奪い、低体温症の危険性が高まります。
結論:
避難所の寒さ対策は“命を守る準備”そのもの。 床冷え対策+重ね着+寝る時の保温が最重要。
防災士として現場で感じたのは、
「寒さで弱ると、体も心も一気に崩れる」ということ。
少しの工夫でも、
あなたと家族の体を確実に守れます。

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