【防災士が解説】防災×粉瘤|災害時に悪化しやすい“皮膚トラブル”をどう守るか

粉瘤(ふんりゅう)は、皮膚の下にできる袋状のしこりで、
ふだんは痛みがなく放置しがちな良性腫瘍です。

しかし――
災害時は衛生環境の悪化やストレスにより、
「急激に腫れる」「化膿して強烈な痛みが出る」ケースが多発します。

避難所生活では受診が遅れがちになるため、
粉瘤の正しい理解と応急ケアは“命を守る備え”の一つになります。


■① 粉瘤とは何か?

粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に角質や皮脂がたまってできる袋状のしこり。

  • 触るとコリコリした丸いしこり
  • 中心に小さな黒い穴(開口部)があることが多い
  • 良性で命に関わるものではない
  • 放置すると炎症・破裂・化膿する

災害時に“見逃してはいけない皮膚トラブル”の代表です。


■② 粉瘤が災害時に悪化しやすい理由

避難所・在宅避難では、以下のリスクが跳ね上がります。

●① 不衛生な環境

汗・汚れ・菌がたまって炎症しやすくなる。

●② ストレスで免疫力低下

災害時は体調を崩しやすく、化膿しやすい。

●③ シャワーや入浴の制限

患部が清潔に保てず悪化しやすい。

●④ 受診の遅れ

救急や病院が混雑し、長期悪化につながる。


■③ 炎症を起こした粉瘤の特徴(危険サイン)

以下が一つでもあれば“化膿の疑い”があります。

  • 赤く腫れて熱を持つ
  • ズキズキ痛む
  • 膿が溜まっている感じ
  • 触ると柔らかく、押すと激痛
  • 悪臭のある分泌物が出る

炎症粉瘤は自然に治ることが少なく、破裂すると感染が広がる危険も。


■④ 絶対に自分でやってはいけないこと

災害時こそ増える“危険行為”です。

❌ 自分で潰す

→ 感染が悪化し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)・敗血症の危険。

❌ 針を刺す

→ 細菌が入り重症化する。

❌ 強く揉む

→ 破裂して治療が長引く。

粉瘤は「袋ごと除去しないと再発」するため、自己処置は禁物です。


■⑤ 災害時にできる応急処置

病院に行けない状況でも、悪化を防ぐ方法があります。

✔ 清潔を保つ

濡れタオル・衛生シートで患部を優しく拭く。

✔ 保冷剤や冷やしたタオルで冷やす

炎症の痛みと腫れを軽減。

✔ 圧迫しない

リュック・衣類・ベルトなどでこすらないよう調整。

✔ 市販の痛み止め(アセトアミノフェン等)

痛みが強い場合に使用可。

✔ 血の混じった膿が出ても触らない

ガーゼで軽く覆うだけでOK。


■⑥ 受診が必要になるケース

次の状態は早めの医療介入が必要。

  • 熱が出る(38℃以上)
  • 赤みが広がる
  • 強い痛みが1日以上続く
  • 膿が大量に出る
  • 顔・首・背中中央など危険部位の粉瘤
  • 糖尿病・免疫疾患がある

特に災害時は感染症リスクが高く、迷ったら受診を優先。


■⑦ 粉瘤が破裂した場合の対応

破裂は珍しくありません。適切に対処すれば重症化を防げます。

  1. ガーゼで軽く押さえて膿を受け止める
  2. 絶対に絞らない
  3. 水や消毒液で周囲を優しく清拭
  4. 清潔なガーゼで覆う
  5. できるだけ早く医療へ

破裂=改善ではありません。袋が残っている限り再発します。


■⑧ 災害備蓄に入れておきたい粉瘤対策アイテム

粉瘤を持つ人は以下の防災準備が効果的。

  • 清潔ガーゼ
  • テープ・包帯
  • アルコールシート
  • 冷却シート・保冷剤
  • 体拭きシート
  • 痛み止め(アセトアミノフェン)

「皮膚のトラブルが悪化しない環境づくり」は大きな防災力です。


■まとめ|粉瘤は“災害時に悪化しやすい”皮膚トラブル

災害時は清潔を保てず、粉瘤が急激に腫れたり化膿したりします。
正しい知識がなければ、痛みも炎症も長期化し、日常生活にも支障が出ます。

結論:
粉瘤は触らない・潰さない・冷やして清潔に保ち、悪化したら必ず医療へ。
元消防職員として、避難生活で粉瘤が悪化し強い痛みで動けなくなるケースを何度も見てきました。
“皮膚トラブルの備え”も、立派な防災対策の一つです。

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