【防災士が解説】首都圏大規模災害に備える開業医の役割と医療安全保障


■① 大規模災害時の医療の基本

首都圏で南海トラフ地震や首都直下地震が発生した場合、必要な医療を必要な人に継続して届けることが重要です。
これを支える考え方が医療安全保障(Medical Security)であり、次の2本柱で構成されます。

  • 即時対応が求められる災害医療
  • 医療を止めないためのBCP(事業継続計画)

■② 開業医に求められないこと

大規模災害時でも、開業医に無理を強いることは危険です。特に以下の行為は避けるべきです。

  • 無理な救急対応
  • 無理な患者の入院受け入れ
  • 単独での現地救命活動

最大の貢献は踏みとどまり、医療を継続することです。


■③ 開業医に求められる必須項目

災害時に開業医が力を発揮するためには、以下が重要です。

  • クラウド型電子カルテの運用
  • オンライン診療対応
  • 服薬歴の把握と継続処方
  • 通信手段の確保
  • 地域クリニックとの連携

患者の既往歴や生活背景を把握していることが、即時対応・医療継続に非常に有効です。


■④ 診療情報のクラウド化

従来、診療情報は院内PCや紙カルテで管理されていましたが、災害時には消失リスクがあります。
クラウド化することで、情報の破損や停電による喪失を防ぎ、迅速かつ確実に医療情報を共有できます。
現在、積極的にクラウド化している医療機関は全体の1〜2割に留まっています。


■■⑤ 電源確保と通信手段

電子カルテ・オンライン診療を稼働させるには電源の確保が不可欠です。

  • ポータブル電源・小型発電機:数時間〜数日
  • EV・ハイブリッド車、太陽光発電:数日〜数週間

通信手段の確保も重要です。地上回線が被災した場合、Starlinkなど衛星通信が事実上必須となります。


■■⑥ 平時からのオンライン診療推奨

日常からオンライン診療を導入しておくと、災害時でも次の対応がスムーズです。

  • 保険証確認・本人確認
  • 電子処方箋発行
  • 会計処理

また、診療所を首都圏以外に分散・多極化することで、被災地域の患者も安全に診療可能です。


■■⑦ 大規模災害に備えた具体的準備例

  • 診療録のクラウド化
  • 太陽光発電設備の導入、EV/ハイブリッド車保有
  • Starlinkアンテナ設置
  • オンライン診療の平時運用
  • 札幌・仙台への診療所設置(セーフティネット強化)

■⑧ まとめ

大規模災害は避けられません。平時から冷静かつ確実に準備することが、被災時に医療を継続する最大の力になります。
新年を迎え、災害時の医療体制を見直す絶好のタイミングです。

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