(元消防職員・防災士)
台風・暴風・竜巻が発生すると、
住宅被害の多くは 屋根瓦の飛散・破損 です。
実際、消防や自治体の災害現場でも
「屋根の損傷 → 雨漏り → 家の劣化 → 生活不能」
となるケースが多く、屋根の状態確認は防災の基本です。
この記事では、瓦屋根の家がなぜ被害を受けるのか、
そして“事前にできる対策”をプロ目線で解説します。
■ 1. 屋根瓦が飛ぶ原因は“風そのもの”ではない
瓦が飛ばされる原因は
風の力 + 瓦の固定不足・劣化 の組み合わせです。
特に次の原因が多い:
◎ ① 漆喰の劣化
瓦を固定している白い部分(漆喰)が劣化すると、
瓦が少しずつ浮き上がり、強風で簡単に飛ぶ。
◎ ② 釘の腐食
古い屋根は釘が錆びていることが多く、
固定力が著しく低下している。
◎ ③ 地震によるズレ
過去の地震で瓦が少しズレており、
次の台風で一気に飛ぶことがある。
◎ ④ 強風が屋根の「端」に集中しやすい
屋根の角(軒先・棟部分)は風圧が2〜3倍かかるため、
瓦が浮きやすい。
瓦そのものは重いですが、
“固定が弱い瓦” は意外なほど簡単に飛散します。
■ 2. 屋根瓦が飛ぶと何が起きる?
瓦の飛散は家全体に深刻な影響を与えます。
◎ 大量の雨水が家に侵入
天井・壁・床が濡れ、数日でカビ発生。
◎ 家電製品が水没する
感電・火災のリスクもある。
◎ 内装工事が高額になる
放置すると修繕費が数十万円〜百万円単位に。
◎ 飛散した瓦が凶器になる
歩行者・車・隣家を傷つける可能性もある。
屋根瓦は“飛散した瞬間に災害が始まる”と言えるほど危険です。
■ 3. 自分でできる“屋根のチェックポイント”(地上から安全に)
高所作業は危険なので、
必ず地上から目視で点検するのが前提 です。
◎ ① 瓦が波打って見える
どこかが浮いているサイン。
◎ ② 棟部分(てっぺん)の漆喰が黒ずんでいる
劣化している可能性が高い。
◎ ③ 台風の後に瓦屋根から砂が落ちている
瓦が削れている証拠。
◎ ④ 雨樋に砂・破片が溜まっている
瓦が欠けているかズレている可能性。
1つでも当てはまれば、専門業者に相談する価値があります。
■ 4. 絶対にやってはいけないこと
◎ 素人が屋根に登る
落下事故が最も多い。プロでも気をつける危険作業。
◎ 台風前に応急処置でブルーシートを屋根に貼る
危険すぎる行為。強風で転落する事故が毎年発生。
◎ 漆喰の上からテープ・コーキングを塗る
一時的に見た目が直っても、内部の損傷が進む。
屋根は“見た目より数倍危険”なので、絶対に無理はしない。
■ 5. 台風前にやるべき“安全な”屋根対策
◎ ① 事前に専門業者に点検してもらう(年1回推奨)
瓦のズレ・釘・漆喰の状態をプロが確認。
◎ ② 雨樋の掃除
雨水が正常に流れることが大切。
◎ ③ 飛散しそうな庭の物を片付ける
飛来物が屋根に当たるのを防ぐため。
◎ ④ 火災保険の風災被害の補償内容を確認
屋根は保険の対象になるケースが多く、
修理費を大幅に抑えられる。
■ 6. 屋根が破損したときの初期対応
◎ 家の中で雨漏りが始まったら
バケツ・タオルで応急処置。
感電の恐れがある場合はブレーカーを落とす。
◎ 外に出て確認しない
飛散物が危険。風が弱まるまで外出禁止。
◎ 被害の写真を撮る
保険請求に必要。
■ 7. まとめ
瓦屋根は日本の文化とも言える建材ですが、
災害時には最も被害を受けやすい部分です。
✔ 漆喰の劣化・釘の腐食・地震後のズレが飛散原因
✔ 瓦が飛ぶと家のダメージは一気に深刻化
✔ 点検は“地上から安全に”が鉄則
✔ 高所作業は絶対NG
✔ 台風前の点検と保険確認が最強の対策
“家の屋根を守ることは、生活を守ること”。
今日からできるチェックだけでも、防災力は確実に高まります。

コメント