新しく防災担当になった時、
「防災予算は何を根拠に申請すればいいのか」
「備蓄、訓練、設備点検、アプリ、マニュアル整備…何を先に出すべきか」
「必要だと思っても、どう説明すれば通りやすいのか分からない」
と迷う人は少なくありません。
結論から言えば、防災担当の新人が予算申請を進める時に最も大切なのは、“欲しい物を並べること”ではなく、“どの業務を止めないために、どのリスクを下げる費用なのか”で整理することです。
内閣府の事業継続ガイドラインは、BCPの策定や維持・更新だけでなく、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、教育・訓練、点検、継続的改善を、平常時からのマネジメント活動として位置づけています。
また、同ガイドラインは、初めから完璧なものを目指して着手をためらうのではなく、できることから開始し、継続的改善で能力を高めることを強く推奨しています。
さらに、中小企業庁の事業継続力強化計画の手引きでは、計画を作成し認定を受けた事業者には、税制や金融などの支援措置があると案内されています。
防災士として率直に言えば、新人が予算申請で一番失敗しやすいのは、
「防災に必要だから」だけで押すこと
です。
元消防職員として現場や被災地派遣、LO対応を経験して強く感じるのは、予算が通りやすいのは、
気持ちの強さ
ではなく、
業務継続・安全確保・法令対応・更新必要性
が具体的に説明されている案件です。
だから新人の予算申請は、金額の大きさより、理由の整理から入る方が現実的です。
■① 最初にやるべきは「何のための予算か」を一言で言えるようにする
予算申請の最初の一歩は、
何を買いたいか
ではなく、
何を守るための予算か
を言えるようにすることです。
たとえば、
・地震時でも3日間の施設内待機を可能にするための備蓄更新
・非常時の初動混乱を減らすための訓練実施
・停電時の情報共有を維持するための資機材整備
・法令対応のための消防用設備点検
のように、目的を先に言える形にします。
内閣府の事業継続ガイドラインが、予算・資源の確保をBCMの一部として位置づけているのは、予算が単なる物品購入ではなく、事業継続を実現する手段だからです。
防災士として言えば、予算申請で強いのは
物品名
より
守る機能
です。
元消防職員としても、現場で本当に必要な説明は「水を買いたい」ではなく、
断水・物流停滞時に職員と来庁者の安全を維持するため
です。
■② 次に整理するのは「放置した場合の影響」
予算申請では、
買う理由
と同じくらい
買わない場合に何が起きるか
が重要です。
たとえば、
・備蓄を更新しない → 水・食料・衛生用品が期限切れで実際には使えない
・訓練をしない → 初動の役割分担が曖昧で混乱する
・設備点検を後回しにする → 火災時や停電時の設備が機能しない
・連絡手段を整えない → 災害時に参集や安否確認が遅れる
といった形です。
内閣府の事業継続ガイドラインは、危機的事象で活用できる経営資源に制限が生じることを踏まえ、優先すべき重要事業・業務を絞り込み、どの業務をいつまでにどのレベルまで回復させるかを考える必要があるとしています。
つまり、予算申請でも「ないと困る」だけではなく、
どの業務停止につながるか
まで言える方が通りやすいです。
防災士として率直に言えば、予算は
必要性
だけより
未実施リスク
まで示した方が強いです。
■③ 新人は「全部まとめて申請」より「優先順位を3段階」で出す方がいい
新人がやりがちなのは、
備蓄、機器、訓練、アプリ、マニュアル印刷、巡回備品…
と全部を一気に申請することです。
でも、これは通りにくくなりやすいです。
現実的なのは、次の3段階で整理することです。
1. 最優先
法令対応、安全確保、期限切れ更新など、先送りしにくいもの
2. 優先
初動体制強化、訓練、連絡網整備、重要資機材の不足解消
3. 改善
アプリ導入拡充、資料の見直し、表示改善、備品の追加など
内閣府の事業継続ガイドラインは、初めから完璧を目指さず、できることから開始して継続的改善することを推奨しています。
つまり予算申請も、
一気に完成形を出す
より
優先順位を示して段階整備
する方が現実的です。
防災士として言えば、新人の予算申請で強いのは、
量
より
順番
です。
■④ 予算項目は「物」だけでなく「訓練・点検・更新」も含めて考える
防災予算というと、物品ばかり思い浮かべがちです。
でも実際には、
・備蓄更新
・訓練実施
・マニュアル整備
・設備点検
・外部委託
・システム利用料
も、防災の重要な予算です。
内閣府の事業継続ガイドラインが、事前対策、教育・訓練、点検、継続的改善までBCMに含めているのは、事業継続が物品だけでは成り立たないからです。
防災士として率直に言えば、防災予算で見落としやすいのは、
買って終わりでは回らない費用
です。
元消防職員としても、機材より訓練不足で動けない場面はかなり多いです。
だから新人の申請では、物品費だけでなく、運用費
も必ず意識した方がいいです。
■⑤ 通りやすい申請書は「数量」より「算定根拠」がある
予算申請で見られやすいのは、
「なぜその数量なのか」
です。
たとえば、
・備蓄水 → 対象人数×3日×1人1日3リットル
・非常食 → 対象人数×3日×1日3食
・簡易トイレ → 人数、想定日数、使用回数
のように、計算根拠を出した方が説明しやすいです。
事業者向けの帰宅困難者等対策ガイドラインでは、3日間待機を前提に、水は1人1日3リットル、計9リットル、主食は1人1日3食、計9食を備蓄する目安が示されています。
こうした公的な目安があるものは、根拠としてかなり使いやすいです。
防災士として言えば、予算申請で強いのは
高そうだからこの額
ではなく、
基準に照らしてこれだけ必要
です。
■⑥ 法令・ガイドライン・過去記録を根拠にすると説明しやすい
新人が予算申請で困った時に使いやすい根拠は、次の3つです。
・法令
・公式ガイドライン
・過去の点検結果や訓練結果
たとえば、
・消防法対応で必要な点検や是正
・内閣府ガイドラインで示される体制整備
・前年度訓練で判明した課題改善
という形です。
中小企業庁の事業継続力強化計画手引きでも、自然災害等による事業活動への影響軽減に向けた計画を作成し、認定を受けると支援措置の対象になり得るとされています。
つまり、予算申請は思いつきではなく、
計画・根拠・改善
の流れで出す方が強いです。
防災士として率直に言えば、新人の予算申請で一番安心なのは、
自分の意見だけで押さないこと
です。
公式資料と過去記録を使う方が通しやすいです。
■⑦ 新人が最初に作るとよい予算メモは「1枚」で十分
新人が最初に予算申請を考えるなら、まずは1枚メモで十分です。
書く内容は次の6つです。
・件名
・目的
・放置時リスク
・必要数量と算定根拠
・概算額
・実施しない場合の影響
これだけ整理できれば、上司や関係部署に相談しやすくなります。
防災士として言えば、新人の予算申請は
完成した申請書
から始めるより、
相談に使える整理メモ
から始める方が現実的です。
元消防職員としても、いきなり大きな起案より、まず論点整理の方が進みやすいです。
■⑧ 予算が通らなかった時は「縮小案」と「次善策」を持つ
ここもかなり大事です。
防災予算は、必要でも一度で全部通るとは限りません。
そのため新人のうちは、
・満額案
・縮小案
・翌年度送りの案
を持っておくと実務的です。
内閣府の事業継続ガイドラインが、できることから始めて継続的改善を進めることを推奨しているように、防災対策は一度で完成させるものではありません。
防災士として率直に言えば、予算申請は
通るか通らないか
だけでなく、
今年どこまで進めるか
で考える方が現実的です。
新人ほど、この考え方を持っておくと折れにくいです。
■⑨ まとめ
防災担当の新人が予算申請を進める時に最も大切なのは、“欲しい物を並べること”ではなく、“どの業務を止めないために、どのリスクを下げる費用なのか”で整理することです。
内閣府の事業継続ガイドラインは、BCPの策定や維持・更新だけでなく、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、教育・訓練、点検、継続的改善をBCMとして位置づけています。
また、同ガイドラインは、初めから完璧を目指さず、できることから開始し、継続的改善で能力を高めることを推奨しています。
さらに、中小企業庁の事業継続力強化計画の手引きでは、認定を受けた事業者には、税制や金融などの支援措置があると案内されています。
防災士として強く言えるのは、新人の予算申請で一番大切なのは
熱意
ではなく、
根拠と優先順位
だということです。
迷ったら、
・目的を一言で書く
・放置時リスクを書く
・数量根拠を出す
・優先順位を3段階に分ける
この順番で整理するのが一番現実的です。

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