災害で水道や電気が止まると、普段のトイレは使えなくなることがあります。さらに下水設備の不具合や停電によるポンプ停止で、「流せない」「流すと危険」な状況も起こり得ます。
被災地派遣(LO)で現場に入ったとき、生活が崩れ始める合図のひとつがトイレ環境の悪化でした。だからこそ、簡易トイレは「気が向いたら準備」ではなく、回数を数字で把握して、先に備えるのが現実的です。
■① 結論は「回数」で考えると一瞬で決まる
簡易トイレの備蓄は、箱のサイズや商品名よりも「何回分あるか」で判断します。
災害時の排泄は我慢しにくく、回数が足りないと生活の選択肢が一気に減ります。
まずは回数ベースで必要量を決めることで、備えがブレなくなります。
■② 基本の計算式は「1日5回 × 日数 × 人数」
防災対策では、トイレ回数を「1人1日5回」で計算するのが一般的です。
計算式はシンプルです。
1日5回 × 日数 × 家族人数 = 必要回数(=備蓄回数)
この式だけ覚えておけば、どの家庭でも必要量が自動的に出ます。
■③ 7日分の目安|1人35回、4人家族140回
7日分を目標にすると、必要回数は以下になります。
・1人:5回 × 7日 = 35回分
・4人家族:35回 × 4人 = 140回分
被災地派遣の現場でも、支援や仮設トイレの整備がすぐに行き渡るとは限りません。特に広域災害ほど生活復旧が遅れます。7日分は「過剰」ではなく「現実的な安全側」です。
■④ 最低ラインは3日分|まずは“崩れない初動”を作る
7日分が一気に難しい場合でも、最低3日分は確保しましょう。
・1人:5回 × 3日 = 15回分
・4人家族:15回 × 4人 = 60回分
現場感覚としても、最初の数日をどう耐えるかで、その後の体調とメンタルが大きく変わります。初動を崩さない備えが、いちばん効きます。
■⑤ 回数は増えることがある|水分・気温・体調・ストレス
「1日5回」はあくまで目安です。実際は次の要因で増減します。
・水分摂取量(寒暖・活動量で変化)
・体調(下痢、薬、持病)
・気温(寒さで近くなることもある)
・ストレスや不安(災害時は増えることがある)
被災地では、我慢による不調が連鎖していくのを何度も見ました。だからこそ、余裕を持った回数設定が安全です。
■⑥ 我慢はリスク|膀胱炎・脱水・血栓症につながる
トイレが不安だと、水分摂取を控える人が増えます。
その結果、膀胱炎、脱水、血栓症などの健康リスクが高まります。
被災地派遣(LO)の現場でも、「トイレを気にして水を飲まない」→「体調悪化」→「さらに動けない」という流れが起きやすい場面がありました。
回数を満たす備蓄は、衛生だけでなく健康を守る備えです。
■⑦ “家族基準”で調整する|子ども・高齢者・介護がある家庭
家族構成によって必要回数は変わります。
・子ども:回数が増えることがある
・高齢者:失禁や介助で回数・処理量が増えることがある
・持病:水分管理が必要で我慢が危険な場合がある
「平均」ではなく「わが家の現実」に合わせて、7日分を基準に上乗せする発想が安心です。
■⑧ 今日できる最小行動|“いま何回分あるか”を数える
最初の一歩は買い物ではなく「数えること」です。
・家にある簡易トイレは合計何回分か
・家族人数で割ると、何日もつか
・まず3日分に足りない分は何回分か
これが分かれば、必要な分だけ静かに補充できます。備えは「気合」より「数字」が強いです。
■まとめ|簡易トイレは“回数の備え”で生活が守れる
簡易トイレの備蓄は、1日5回を基準に「回数」で計算すれば迷いません。
7日分を目標に、難しければ最低3日分から整える。それだけで、災害時の不安と健康リスクを大きく減らせます。
結論:
簡易トイレは「1日5回×日数×人数」で回数を決め、最低3日・できれば7日分を備えるのが現実的です。
防災士として被災地派遣(LO)で現場を見てきた立場から言うと、トイレ環境が整うだけで生活の秩序と安心感が一段上がります。まずは“いま何回分あるか”を数え、足りない分だけ補う。これが最も確実で、今日からできる防災です。
出典:川崎市上下水道局「備蓄しよう、携帯トイレ」https://www.city.kawasaki.jp/800/page/0000122885.html

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