夏に地震が起きて避難所生活になると、暑さ対策は「我慢する」では回りません。特に停電や断水が重なると、冷房、シャワー、洗濯が普段どおり使えず、体に熱がこもりやすくなります。だからこそ大切なのは、たくさんの水を使うことではなく、少ない水でも効く冷やし方を知っておくことです。
この記事では、夏の地震で避難所にいる時の水浴び・冷却法を、家庭で判断しやすい形で整理して解説します。
■① 最初に考えるべきことは「全身を冷やす」より「効く場所を冷やす」
結論から言うと、最初に考えるべきことは、全身を一気に冷やすことではなく、少ない水や冷却資材で効きやすい場所を冷やすことです。
避難所では、水が十分に使えないことが普通にあります。だから、シャワーのような発想で考えると続きません。むしろ、首、脇の下、足の付け根、手足など、熱がこもりやすい場所を短く冷やす方が現実的です。
元消防職員として感じるのは、被災地で役立つ冷却法は「派手な方法」より「すぐできる方法」だということです。だから、夏の避難所では“全身びしょ濡れ”より“少しずつ熱を逃がす”を優先した方が崩れにくいです。
■② 最初にやるべき冷却法は何か
最初にやるべきなのは、濡れたタオルで拭く、皮膚を少し濡らして風を当てることです。
水浴びというと、大量の水を使うイメージを持ちやすいですが、避難所ではそこまでできないことも多いです。そんな時は、タオルを濡らして首、腕、足を拭くだけでもかなり違います。さらに、皮膚を少し濡らしたあとに、うちわや扇風機で風を当てると体の熱を逃がしやすくなります。
私なら、夏の避難所では「まず濡れタオル」をすすめます。被災地でも、少ない水で一番やりやすく、すぐ効きやすい方法だったからです。
■③ 水浴びはしてもよいのか
はい。条件が整うなら有効です。ただし、大量の水を使う前提では考えない方が安全です。
断水していない、または生活用水に余裕がある、プライバシーがある、転倒しにくい、安全に体を乾かせる。こうした条件があるなら、手足を洗う、足を水につける、短時間だけ体を流すといった形はかなり役立ちます。
ただし、避難所では水の優先順位があります。飲み水、トイレ、最低限の衛生を確保したうえで考える方が現実的です。私なら、水浴びは「気持ちよさ」だけでなく「熱を下げて体調を守るために必要か」で判断します。
■④ 少ない水で効きやすい冷却法は何か
少ない水でやりやすいのは、次のような方法です。
・濡れタオルで首や腕を拭く
・脇の下や足の付け根を冷やす
・手や足を短時間だけ水につける
・皮膚を濡らして、うちわや扇風機で風を当てる
・冷えたペットボトルや保冷剤をタオルで包んで当てる
この中でも、避難所で特に実用的なのは、濡らす+風を当てる組み合わせです。水の量が少なくても、熱を逃がす助けになります。
■⑤ どこを冷やすと効きやすいのか
冷やすなら、首の両側、脇の下、足の付け根を優先した方がわかりやすいです。
ここは体の熱を下げる時に使いやすい場所です。さらに、手のひら、足の裏、前腕なども、少し冷やすだけで楽になることがあります。
元消防職員としては、「とりあえず顔だけ冷やす」より、「首と脇を先に冷やす」方が効きやすい印象があります。避難所では時間も水も限られるので、冷やす場所を絞る方が現実的です。
■⑥ 子どもや高齢者はどう変えるべきか
子どもや高齢者は、短時間・やりすぎない・見守るが基本です。
子どもは冷やしすぎても嫌がることがありますし、高齢者は逆に冷えに気づきにくいことがあります。だから、長く水に入れるより、濡れタオル、手足の冷却、短時間の拭き取りの方が扱いやすいです。
また、本人が「大丈夫」と言っていても、顔色、汗のかき方、反応の鈍さを周囲が見た方が安全です。避難所では、弱い立場の人ほど早めに冷却しておく方が崩れにくいです。
■⑦ やってはいけないことは何か
一番避けたいのは、冷却だけで何とかしようとすることです。
熱中症や脱水は、水で冷やすだけでは足りないことがあります。暑い場所から離れる、水分や塩分を取る、休む、症状が強いなら医療につなぐ。こうしたこともセットで考えた方が安全です。
もう一つ避けたいのは、濡れたまま放置することです。夜間や冷房の効いた場所では、汗冷えや冷えすぎで逆にしんどくなることがあります。私なら、「冷やしたあとに拭く・着替える」までを一つの流れで考えます。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「暑い場所から離せているか」
「少ない水で首・脇・足の付け根を冷やせるか」
「濡らしたあとに風を当てられるか」
「冷やしたあとに拭く・休むまでできるか」
この4つがそろっていれば、夏の避難所での水浴び・冷却法としてはかなり現実的です。防災では、完璧に冷やすことより「今ある条件で確実に熱を逃がすこと」の方が大切です。
■まとめ
夏の地震で避難所にいる時の水浴び・冷却法で大切なのは、「大量の水がないとできない」と思い込まないことです。少ない水でも、濡れタオル、手足の冷却、首や脇の冷却、濡らした皮膚に風を当てる方法で、かなり助かる場面があります。
私なら、夏の避難所の水浴び・冷却法で一番大事なのは「たくさん水を使うこと」ではなく「少ない水で効く場所を冷やすこと」だと伝えます。被災地でも、冷やし方を知っているだけで体の持ち方はかなり違いました。だからこそ、まずは濡れタオル、次に首と脇、その次に風。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_2-3_2-4.pdf(環境省「熱中症環境保健マニュアル」)

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