夏に地震が起きて避難所生活になると、備蓄は「長く保存できる物を置いておくこと」だけでは足りません。暑さ、停電、断水、食欲低下が重なると、普段なら食べられる物でも手が止まりやすくなるからです。農林水産省は、災害時の食品備蓄として、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べて、食べた分を買い足す「ローリングストック」を勧めています。
だからこそ大切なのは、「非常食を別で抱え込むこと」ではなく、夏の避難生活でも無理なく食べられる物を、日常の延長で回し続けることです。この記事では、夏の地震で避難所にいる時のローリングストックを、家庭で判断しやすい形で整理して解説します。
■① 最初に考えるべきことは「長持ちするか」より「暑くても食べられるか」
結論から言うと、最初に考えるべきことは、保存年数の長さだけではなく、暑い避難所でも口に入りやすいかです。
農林水産省は、ローリングストックを「普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足して一定量を保つ方法」と説明しています。
元消防職員として感じるのは、被災地で本当に役立つのは「保存できる物」だけではなく、「しんどい時でも食べられる物」だという点です。夏は特に、重たい味、乾いた物、においが強い物は進みにくくなります。だから、ローリングストックは“期限”だけでなく“食べやすさ”で組む方が現実的です。
■② ローリングストックの基本は何か
基本は、普段使っている食品を少し多めに持ち、食べたら補充することです。
首相官邸も、防災のために特別なものを用意するのではなく、普段から飲料水や保存のきく食料を備蓄し、食べながら買い足す「ローリングストック」が有効だと案内しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
つまり、ローリングストックは「非常時専用の棚を別に作る」より、「日常の買い物と備蓄をつなげる」考え方です。私なら、夏の避難生活を意識するなら、普段の食品の中でも水なしでも食べやすい物、暑くても進む物を少し厚めに回します。
■③ 夏向けのローリングストックで優先したい食品は何か
優先したいのは、常温で食べやすく、口当たりが軽く、水分や塩分の補助にもなる物です。
たとえば、ゼリー飲料、レトルトがゆ、パックご飯、個包装のパン、缶詰、栄養補助食品、野菜ジュース、スープ類などです。農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」でも、レトルト食品、缶詰、野菜ジュース、栄養補助食品などを組み合わせた備蓄例が示されています。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/guidebook-3.pdf
被災地でも、夏は「あるけど食べない」が起きやすかったです。だから、ローリングストックでは「栄養満点そう」より「暑い時でも一口入る」を優先した方が失敗しにくいです。
■④ 何日分を目安に考えるべきか
基本は、最低3日分、できれば1週間分を目安に考えるのが現実的です。
農林水産省は、災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多く、物流停止で食料が手に入りにくくなることがあるため、最低3日分から1週間分、地域状況に応じて2週間分など多めに備えることも大切だと案内しています。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter01.html
私なら、夏は体調を崩すと食べる量も変わりやすいので、「日数」だけでなく、「食べやすい物が何回分あるか」で見ます。その方が避難生活に近い感覚で考えやすいです。
■⑤ ローリングストックで失敗しやすいことは何か
一番多いのは、保存できるけれど普段食べない物をため込むことです。
消費者庁も、普段食べている食品を少し多めに買い置きし、食べたら買い足すことで、期限切れを防ぎ、災害時にも口に合う物を備えられると案内しています。
https://www.no-foodloss.caa.go.jp/topic_mar.html
つまり、「非常時だから我慢して食べる物」を中心にすると、結局回らなくなりやすいです。元消防職員としても、被災地では「食べ慣れているかどうか」が意外と大きな差になると感じます。特に夏は、口に合わない物や重たい物は残りやすいです。
■⑥ 水や熱源も一緒に考えるべきか
はい。かなり大事です。
ローリングストックは食品だけで完結しません。農林水産省のガイドでは、水の備蓄と、カセットコンロ・カセットボンベの備えも重要だと示されています。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/need_consideration_stockguide.pdf
ただし、夏は「火を使えば何とかなる」より、「そのままでも食べやすい物」が強いです。私なら、ローリングストックは
そのまま食べられる物
少し温めると楽になる物
水や塩分を補いやすい物
の3つに分けて考えます。
■⑦ 子どもや高齢者がいる家庭はどう変えるべきか
子どもがいる家庭では、食べ慣れた味、小さく分けて食べられる物を厚めに。高齢者がいる家庭では、やわらかい物、飲み込みやすい物、のどを通りやすい物を厚めに持つ方が安心です。
農林水産省の「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」では、乳幼児、高齢者、食べる機能が弱くなった方、慢性疾患のある方などに応じた備蓄の工夫が示されています。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook/pdf/need_consideration_stockguide.pdf
つまり、ローリングストックは「家族全員同じ」で組むより、家族の中で一番食事が難しい人に合わせる方が現実的です。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「普段から食べ慣れているか」
「暑い時でも口に入りやすいか」
「水や熱源が限られても使えるか」
「家族の中で一番弱い人でも無理なく食べられるか」
この4つがそろっていれば、夏の避難所向けのローリングストックとしてはかなり現実的です。防災では、理想的な備蓄より「日常の延長で回し続けられる備蓄」の方が強いです。
■まとめ
夏の地震で避難所にいる時のローリングストックで大切なのは、「長持ちする物を積むこと」ではなく、「暑い中でも食べられる物を日常の中で回しておくこと」です。農林水産省は、普段の食品を少し多めに買い置きして、食べた分を買い足すローリングストックを勧めており、首相官邸や消費者庁も同じ考え方を案内しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
私なら、夏の避難所のローリングストックで一番大事なのは「保存年数」より「しんどい時でも口に入ること」だと伝えます。被災地でも、食べられない備蓄は力になりませんでした。だからこそ、まずは普段食べる物、次に暑くても食べやすい物、その次に家族に合う物。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter02.html(農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド(2)簡単!ローリングストック」)

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