【防災士が解説】夏の熱中症から避難中に冷房設備はどう考える?我慢しすぎないための判断基準

夏に地震や豪雨で避難する時、冷房設備は「使えたら助かるもの」くらいに見られがちです。ですが、実際には、夏の避難では冷房設備の有無が体力の残り方をかなり左右します。内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」では、在宅避難等の場合はクーラーの積極的な活用を勧めており、停電が長引く可能性がある場合には、特に高齢者、こども、障害者の方々は、冷房設備が稼働している避難所への避難も検討するよう示しています。 oai_citation:0‡防災科学技術研究所

また、内閣府が令和6年能登半島地震の避難所暑さ対策で示した通知では、避難所の広さや避難者数に応じた必要台数のエアコン設置や、設置が難しい場合には近傍にエアコンを設置した仮設休憩所を設けるなど、積極的な暑さ対策を求めています。 oai_citation:1‡防災科学技術研究所

つまり、夏の避難中の冷房設備で大切なのは、「あるかないか」だけではなく、冷房が使える場所を早めに選ぶこと、使えないなら代替策へ早く切り替えることです。この記事では、その判断基準を現実的な順番で整理して解説します。

■① まず結論として、冷房設備で最優先にすべきことは何か

結論から言うと、最優先にすべきことは、暑さを我慢する前提を捨てることです。

夏の避難では、「避難所に着いたから大丈夫」と思ってしまいがちですが、冷房が弱い、届かない、止まる、人が多くて熱がこもる、といったことがあります。だから、冷房設備は“あれば便利”ではなく、“体を守る土台”として見た方が安全です。内閣府・厚生労働省の資料でも、冷房設備が稼働している避難所への避難を検討するよう示されています。 oai_citation:2‡防災科学技術研究所

元消防職員として感じるのは、被災地で危ないのは「水がない人」だけではなく、「暑さを我慢し続ける人」でもあるという点です。私なら、夏の避難では
まず冷房のある場所を選ぶ
次にそこへ無理なく移る
最後に飲水と休息を重ねる
この順で考えます。

■② なぜ冷房設備がそこまで大事なのか

理由は、夏の避難では、暑さそのものが体力を削るからです。

災害時は、暑さに加えて疲労、寝不足、緊張、栄養不足が重なりやすく、熱中症リスクが高まります。冷房設備がある場所は、この「暑さ」の負担を下げやすいため、その後の判断や生活の持ち方まで変わってきます。 oai_citation:3‡防災科学技術研究所

被災地派遣の現場でも、同じ避難所でも冷房が効く部屋とそうでない場所では、顔つきや疲れ方が違いました。だから、冷房設備は快適さの問題ではなく、避難生活の持久力に関わる問題です。

■③ 冷房設備がある場所を優先するのは甘えではないのか

甘えではありません。夏は冷房設備のある場所を選ぶこと自体が防災行動です。

内閣府の通知でも、避難所では必要台数のエアコン設置を求め、難しい場合はエアコン付き仮設休憩所の設置まで示しています。これは、「暑さを我慢する」のではなく、「暑さを下げる環境を作る」ことが必要だと国が見ているからです。 oai_citation:4‡防災科学技術研究所

私なら、冷房設備がある場所へ移ることを遠慮しません。被災地でも、強かったのは我慢した人ではなく、無理を減らせた人でした。

■④ 冷房があるだけで安心していいのか

そこは少し注意が必要です。冷房があっても、効き方には差があるからです。

内閣府の通知では、1避難所1台という考え方ではなく、避難所の広さや避難者数に応じた必要台数を設置するよう求めています。つまり、「エアコンが一台ある」だけでは十分とは限りません。 oai_citation:5‡防災科学技術研究所

私なら、「冷房あり」と聞いても、
人が密集しすぎていないか
風が回っているか
高齢者や子どもが耐えられそうか
まで見ます。その方が現実的です。

■⑤ 冷房設備が使えない時はどうすればいいのか

冷房設備が使えない時は、早めに代替策へ切り替える方が大切です。

内閣府の通知では、エアコン設置が難しい場合には、近傍にエアコン付き仮設休憩所を設けることや、扇風機、網戸、氷柱、打ち水などを組み合わせた暑さ対策を求めています。 oai_citation:6‡防災科学技術研究所

つまり、「冷房がないから仕方ない」で終わらせず、
涼しい別室へ移る
公共施設やクールスポットを使う
送風や日陰を重ねる
という発想が必要です。私なら、冷房なしの場所に長くとどまるより、涼める場所へ移る判断を早くします。

■⑥ 室温は何を目安に見ればいいのか

目安としては、室温28℃前後はあくまで目安で、体感と温湿度の両方で見る方が現実的です。

環境省の資料では、エアコン使用時の室温「28℃」は目安であり、設定温度そのものではなく、実際の室温を見ながら適切に保つよう示しています。また、高齢者は暑さを感じにくいため、皮膚感覚だけでなく温湿度計で確認することが大切とされています。 oai_citation:7‡WBGT情報サイト

私なら、「28℃に設定したから安心」ではなく、「今この場所でしんどくないか」を先に見ます。その上で、温湿度計があれば数字でも確認します。

■⑦ 高齢者や子どもではどう考えるべきか

高齢者や子どもでは、冷房設備のある場所を“優先席”のように考えるくらいでちょうどいいです。

内閣府・厚生労働省の資料でも、高齢者、こども、障害者の方々は特に注意が必要で、停電が長引く場合には冷房設備が稼働している避難所への避難を検討するよう示されています。 oai_citation:8‡防災科学技術研究所

被災地でも、一番弱い立場の人ほど静かに悪くなることがありました。私なら、「本人が大丈夫と言っている」より、「この暑さで本当に持つか」で判断します。

■⑧ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今いる場所は冷房が実際に効いているか」
「人の数に対して暑すぎないか」
「冷房が難しいなら、代わりに涼める場所へ移れるか」
「高齢者や子どもを先に守れる環境か」

この4つが整理できれば、夏の避難中の冷房設備の考え方としてはかなり現実的です。防災では、「我慢できるか」より「暑さを減らせるか」の方が大切です。

■⑨ まとめ

夏の熱中症から避難中に身を守る冷房設備で大切なのは、冷房が使える場所を早めに選び、使えないなら代替策へすぐ切り替えることです。内閣府・厚生労働省の「災害時の熱中症予防」では、在宅避難等の場合のクーラー活用や、冷房設備が稼働している避難所への避難検討が示されています。内閣府の避難所暑さ対策通知でも、必要台数のエアコン設置や、難しい場合の仮設休憩所設置などが求められています。 oai_citation:9‡防災科学技術研究所

私なら、夏の避難で一番大事なのは「冷房があるかを後から気にすること」ではなく「暑さを我慢する前に、冷房のある場所へ寄せること」だと伝えます。被災地でも、助かったのは我慢した人より、早く涼しい場所へ移れた人でした。だからこそ、まずは冷房のある場所、次に代替策、最後に飲水と休息。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/pdf/tsuuchi_r60423_ishikawa.pdf(内閣府「令和6年能登半島地震における避難所の暑さ対策について」)

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