災害ボランティアは、現場に入っている時間だけが負荷ではありません。行く前の緊張、活動中の判断疲れ、帰宅後の反動まで含めて、心にはじわじわ負担がかかります。内閣府の避難生活支援の研修資料でも、災害支援活動では支援者が強いストレスを感じる場面があり、感情をため込まないこと、自分でできている点を認めること、自己犠牲的になりすぎないことが重要だと示されています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/241008_r6kensyu.pdf
また、日本赤十字社の災害ボランティア向け冊子でも、自分だけは大丈夫と過信しないこと、不調になったら早めに活動をやめる勇気を持つこと、一人で抱えこまないことが大切とされています。
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/pdf/20221114-1696e14484023a1dabbe760d96763b37245f95ac.pdf
つまり、災害ボランティアのメンタルケアで大切なのは、「つらくなってから対処すること」ではなく、活動前・活動中・活動後それぞれに小さな習慣を置いて、壊れる前に整えることです。この記事では、その現実的な習慣リストを整理して解説します。
■① まず結論として、メンタルケアの習慣で最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、「頑張る習慣」ではなく「戻す習慣」を持つことです。
災害ボランティアに関わる人は、責任感が強く、役に立ちたい気持ちも大きいことが多いです。だからこそ、活動前は無理を押して準備し、活動中は我慢し、活動後も「早く元に戻らなきゃ」と頑張りやすいです。ですが、それでは心が持ちにくくなります。
元消防職員として感じるのは、被災地支援で長く続けられる人は「強い人」ではなく、「自分を戻す型を持っている人」だという点です。私なら、メンタルケアの習慣は
活動前に整える
活動中に崩さない
活動後に戻す
この3段階で考えます。
■② 活動前に持ちたい習慣①「今の自分の状態を確認する」
活動前に一番大切なのは、体調と気分の確認を習慣にすることです。
たとえば、
昨夜は眠れたか
食欲はあるか
イライラや不安が強すぎないか
“行きたい”より“行かなきゃ”が勝っていないか
を見るだけでも違います。
内閣府の研修資料でも、支援者が自己犠牲的になりすぎると、支援者自身にも被災者にもよくない影響があると示されています。だから、活動前のセルフチェックは遠慮ではなく、支援の質を守る行動です。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/241008_r6kensyu.pdf
■③ 活動前に持ちたい習慣②「無理しない条件を先に決める」
次に大切なのは、どこまでなら参加するか、どこを超えたら休むかを先に決めることです。
たとえば、
睡眠が崩れていたら今回は見送る
帰宅翌日は予定を入れない
暑さや体調がつらければ途中で上がる
といったラインです。
日本赤十字社も、不調になったら早めに活動をやめる勇気が大切としています。つまり、活動前に“やめどき”を決めることは、弱さではなく安全策です。
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/pdf/20221114-1696e14484023a1dabbe760d96763b37245f95ac.pdf
■④ 活動中に持ちたい習慣①「小さく休む」
活動中に大切なのは、限界まで頑張る前に、小さく休むことです。
具体的には、
こまめに水分を取る
少し日陰に入る
深呼吸する
数分だけ座る
このくらいで十分です。
被災地派遣の現場でも、崩れにくい人は長く頑張れた人より、短く止まれる人でした。私は、「休憩は作業の中断」ではなく「活動を続けるための一部」だと考えます。
■⑤ 活動中に持ちたい習慣②「感情をため込まない」
活動中は、強い感情を無理に押し込めすぎないことも大事です。
内閣府の資料では、支援者が強いストレスを感じる場面の一つとして、被災者の悲嘆の感情に触れる場面が挙げられており、感情をため込まないことの重要性が示されています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/241008_r6kensyu.pdf
だから、
少ししんどい
今の場面がきつかった
一回外したい
と短く仲間へ言えることはかなり大切です。私なら、「大丈夫なふり」を続けるより、「小さく出す」を習慣にします。
■⑥ 活動後に持ちたい習慣①「まず1日戻す日を作る」
活動後は、最低1日は“戻す日”を取る方が現実的です。
帰宅したらすぐ通常運転に戻すのではなく、
予定を減らす
寝る
食べる
入浴する
静かに過ごす
を優先します。
日本赤十字社の冊子でも、睡眠時間や疲労に留意し、不調になったら無理をしないことが示されています。私は、活動後の1日は“空いた日”ではなく“回復日”として扱います。
https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/pdf/20221114-1696e14484023a1dabbe760d96763b37245f95ac.pdf
■⑦ 活動後に持ちたい習慣②「共有する・書く・見すぎない」
活動後は、次の3つがかなり役立ちます。
仲間や家族に短く話す
感じたことを数行だけ書く
ニュースやSNSを見すぎない
内閣府の資料では、活動後には情報と体験の共有・整理が重要とされています。つまり、抱え込まず、でも刺激を増やしすぎず、少しずつ外へ出していく形が現実的です。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/231005_kenshu04.pdf
私は、活動後は「全部整理する」より「少しずつ外へ置く」をすすめます。その方が心が持ちやすいです。
■⑧ 長く続けるための習慣③「楽しい日常を切らさない」
支援を長く続けたいなら、日常の中の小さな楽しみを切らさないことも大切です。
好きな飲み物、散歩、音楽、家族との時間、植物の世話。こうした小さな習慣は、支援と日常の間をつなぐ橋になります。支援だけで心を満たそうとすると、現場との距離が取れなくなりやすいです。
私なら、「支援の外にも自分を戻す場所がある」ことをかなり大事にします。その方が、また必要な時に落ち着いて関われます。
■⑨ こんな時は“習慣”だけで抱え込まない方がいい
次のような状態が続くなら、習慣だけで抱え込まず、相談を考えた方が安全です。
不眠が続く
強い自責感が抜けない
涙やイライラが止まらない
食欲や生活リズムが崩れる
日常生活へ戻れない
厚生労働省の災害時精神保健医療福祉活動マニュアルでも、災害でメンタルヘルスが悪化しやすいリスク集団の一つに支援者が含まれています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000772550.pdf
だから、「支援者だから自分は相談しにくい」と思い込まず、長引くなら早めに人へつなぐ方が現実的です。
■⑩ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「活動前に今の自分の状態を見られているか」
「活動中に小さく休み、小さく出せているか」
「活動後に戻す日と共有の時間を取れているか」
「習慣だけで足りないつらさなら、誰かにつなげられているか」
この4つが整理できれば、災害ボランティア活動前後を通じて行う“メンタルケアの習慣リスト”としてはかなり現実的です。防災では、「頑張り続けること」より「戻しながら続けること」の方が大切です。
■⑪ まとめ
災害ボランティア活動前後を通じて行う“メンタルケアの習慣リスト”で大切なのは、活動前に状態確認とライン設定をし、活動中に小さく休み・小さく出し、活動後に回復日と共有の時間を取って、日常へ戻す流れを持つことです。内閣府の研修資料では、感情をため込まないこと、自己犠牲的になりすぎないこと、自分でできている点を認めることが重要とされ、日本赤十字社も過信せず、不調時は早めに活動をやめる勇気を持つことを勧めています。
私なら、災害ボランティアで一番大事なのは「強く頑張ること」ではなく「壊れない習慣を先に持つこと」だと伝えます。被災地でも、長く続けられるのは我慢した人より、戻す型を持っている人でした。だからこそ、まずは整える、次に崩さない、最後に戻す。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/pdf/241008_r6kensyu.pdf(内閣府「避難生活支援」研修資料)

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