大雨や台風を経験したあと、
「前よりは備えたつもりだが、何を直せばいいのか分からない」
「マイ・タイムラインを作ったまま見直していない」
「自宅の水害対策は、どこを優先して改善すればいいのか」
と迷う人は少なくありません。
結論から言えば、次の豪雨に備えてマイ・タイムラインを見直す時に最も大切なのは、“前回と同じ行動をなぞること”ではなく、“避難の遅れ・情報不足・家の弱点”を一つずつ修正することです。
国土交通省の「マイ・タイムラインかんたん検討ガイド」は、マイ・タイムラインの検討は、洪水ハザードマップ等を使って自分に関係する水害リスクや入手する防災情報を知ることから始まり、避難行動に向けた課題を整理して、あらかじめ時系列で行動を考えておくことが大切だと示しています。気象庁の防災学習教材でも、マイ・タイムラインは住民一人ひとりの防災行動計画であり、大雨時に自分がとる標準的な防災行動を時系列で整理するものと説明されています。
元消防職員として率直に言えば、豪雨の備えで一番危ないのは、
「前回なんとかなったから次も大丈夫」と思ってしまうこと
です。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じたのは、災害は同じように見えても、雨の強まり方、家族の状況、道路事情、避難のしやすさが毎回違うということです。だから、マイ・タイムラインは作って終わりではなく、経験のたびに更新する紙として使う方が現実的です。
■① 最初に見直すべきは「避難開始が遅れなかったか」
マイ・タイムラインを見直す時に、最初に確認したいのは
いつ避難を考え始め、いつ動いたか
です。
気象庁の警戒レベルの考え方では、危険な場所からの避難は警戒レベル4相当前までに終えておくことが基本です。
つまり見直しでは、
・避難を考え始めたのは遅くなかったか
・荷物準備で出発が遅れなかったか
・家族へ声をかける順番は適切だったか
を振り返る方が現実的です。
防災士として言えば、見直しで一番大切なのは
「避難したかどうか」
だけではなく、
「もっと早く動けたか」
を見ることです。
元消防職員としても、豪雨では30分、1時間の差がかなり大きいです。
■② 次に見るべきは「情報の取り方が足りていたか」
マイ・タイムラインは、ただ行動だけを書くものではありません。
どの情報を見て判断するか
もかなり重要です。
見直しでは、
・洪水キキクルを見たか
・河川水位を見たか
・自治体の避難情報を確認したか
・家族と共有できたか
を振り返る方が現実的です。
防災士として率直に言えば、豪雨時に危ないのは
情報がないこと
より
情報を見に行くのが遅いこと
です。
だからマイ・タイムラインにも、どの情報をどの順で見るかを書いておく方が強いです。
■③ 「家族ごとの動き」を書き直した方がいい
同じ家でも、
・高齢者がいる
・子どもがいる
・ペットがいる
・昼と夜で在宅者が違う
なら、同じタイムラインでは足りないことがあります。
たとえば、
・誰が高齢者を支えるか
・誰が子どもの持ち物を見るか
・ペット用品を誰が持つか
・先に避難を始める人は誰か
を具体化しておく方が現実的です。
防災士として言えば、マイ・タイムラインは
自分だけの行動表
ではなく、
家族の避難順を決める表
として見直す方が現実的です。
元消防職員としても、災害時は「誰が誰を連れて出るか」が曖昧だと遅れやすいです。
■④ 自宅の水害対策は「前回困った場所」から直す
自宅の水害対策も、何となく全部見直すより、
前回困った場所
を優先した方が現実的です。
たとえば、
玄関から水が入りやすかったなら入口対策、
2階へ上げるのが遅れたなら家電や書類の置き場所見直し、
停電で困ったなら照明や充電手段の強化、
断水や逆流で困ったなら簡易トイレや生活用水の備え、
という見直しの仕方です。
防災士として率直に言えば、家の対策で一番大切なのは
完璧さ
ではなく、
前回の失敗を一つ減らすこと
です。
■⑤ マイ・タイムラインには「いつ、何をやめるか」も書く
マイ・タイムラインでは、
何をするか
だけでなく、
何をやめるか
もかなり大切です。
たとえば、
・レベル3相当前で風呂をためるのは終える
・レベル4相当前に車移動はやめる
・暗くなる前に屋外作業を打ち切る
・避難後は家を見に戻らない
などです。
防災士として言えば、災害時は
やること
より
やめる判断
の方が遅れやすいです。
元消防職員としても、豪雨では「まだできる」が危険につながりやすいです。
■⑥ 自宅の水害対策チェックリストはこの形で十分
次の豪雨に備えて見直すなら、まずは次のようなチェックリストで十分です。
自宅の水害対策チェックリスト
・ハザードマップで自宅の浸水深を確認した
・洪水キキクル、河川水位、避難情報の見方を家族で確認した
・避難先を決めた
・避難ルートを決めた
・高齢者、子ども、ペットの役割分担を決めた
・非常持ち出しバッグを見直した
・家電、薬、重要書類の上げ置き場所を決めた
・土のう、止水板、ブルーシート等の有無を確認した
・簡易トイレ、飲料水、モバイルバッテリーを備えた
・車を使うかどうかの条件を決めた
・暗くなる前に避難判断する基準を決めた
・避難後に家へ戻らないルールを決めた
防災士として言えば、チェックリストは
立派に作ること
より
次の雨の前に一度見直すこと
の方が大切です。
■⑦ 被災地経験から見ても「前回の困りごと」を書き残す方が強い
被災地派遣やLO対応で強く感じたのは、
災害のたびに
同じ困りごとが繰り返されやすい
ということです。
だから、見直しでは
・何時に不安が強くなったか
・どの情報が分かりにくかったか
・何が足りなかったか
・どこで避難判断が止まったか
を短く書き残す方が現実的です。
元消防職員として率直に言えば、マイ・タイムラインで一番大切なのは
きれいな完成形
ではなく、
経験を次へつなぐこと
です。
■⑧ まとめ
次の豪雨に備えてマイ・タイムラインを見直す時に最も大切なのは、“前回と同じ行動をなぞること”ではなく、“避難の遅れ・情報不足・家の弱点”を一つずつ修正することです。
国土交通省の「マイ・タイムラインかんたん検討ガイド」は、洪水ハザードマップ等を使って自分の水害リスクや入手する防災情報を知り、避難行動に向けた課題を整理して、時系列で行動を考えておくことが大切だと示しています。気象庁の防災学習教材でも、マイ・タイムラインは住民一人ひとりの防災行動計画であり、大雨時に自分がとる標準的な防災行動を時系列で整理するものと説明されています。
元消防職員として強く言えるのは、次の豪雨への備えで一番大切なのは
新しい情報を増やすこと
ではなく、
前回の弱点を減らすこと
だということです。
迷ったら、
・避難開始が遅れなかったか
・情報の取り方は足りていたか
・家の弱点はどこだったか
この3つから見直すのが一番現実的です。

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