【防災士が解説】災害支援者のリラクゼーション技とは何か|5分で実践できる呼吸法の判断基準

災害ボランティアや支援活動のあと、
「頭がずっと張っている感じがする」
「家に帰っても気持ちが休まらない」
「眠りたいのに、体だけ緊張している」
と感じる人は少なくありません。

結論から言えば、災害支援者にとってのリラクゼーションは、“気分の問題”ではなく、張りつめた心と体を安全に下げるための実用技術です。
消防庁は、東日本大震災後の消防職員向け惨事ストレス対策で、講義にあわせて呼吸法やストレッチなどのリラクゼーション方法を実施しています。
日本赤十字社の防災教材でも、「こころと体がリラックスする呼吸法」が紹介されています。 (fdma.go.jp) (jrc.or.jp)

防災士として率直に言えば、支援後に必要なのは「早く忘れること」ではありません。
むしろ、高ぶった状態を少しずつ落ち着かせることの方が大事です。
元消防職員として現場や被災地派遣を経験すると、気持ちが張ったまま眠れない、体の力が抜けないという人はいます。
だから、5分でできる呼吸法を一つ持っておくことは、かなり現実的です。

■① まず前提として、支援者のリラクゼーションは“甘え”ではない

災害支援では、
・緊張
・判断
・対人対応
・責任感
が続きます。
そのため、活動が終わっても体がすぐには平常に戻らないことがあります。

消防庁の資料では、惨事ストレス対策の講義とあわせて、呼吸法やストレッチ等のリラクゼーション方法が実施されたと記されています。
つまり、支援者のセルフケアとしてのリラクゼーションは、現場感覚だけでなく、実際の対策の中でも扱われているものです。 (fdma.go.jp)

防災士として言えば、リラクゼーションは「弱い人がやるもの」ではありません。
強い緊張を受けた人が、崩れにくくするためにやるものです。

■② 呼吸法が役立つのは、“考え”より“体”に直接働きかけやすいから

支援後の不調では、
「考えないようにしよう」
「気にしないようにしよう」
としても、体の緊張だけが残ることがあります。

この時に役立つのが呼吸法です。
日本赤十字社が防災教材で「こころと体がリラックスする呼吸法」を紹介しているのも、呼吸が心と体の両方へ働きかけやすいからだと考えられます。 (jrc.or.jp)

元消防職員として率直に言えば、支援後にいきなり気持ちを整理するのは難しいです。
でも、呼吸をゆっくりすることなら始めやすいです。
だから呼吸法は、かなり現実的な入口になります。

■③ 5分で実践しやすい呼吸法の基本形

ここでは、支援後のセルフケアとしてやりやすい基本形の一例を書きます。
特別な道具は要りません。

やり方はかなりシンプルです。

・背もたれにもたれるか、椅子に浅く座る
・肩を上げず、手はお腹か太ももに置く
・鼻からゆっくり吸う
・吸うより少し長めに、口から細く吐く
・これを5分ほど続ける

目安としては、
吸う3〜4秒、吐く5〜6秒くらいの、無理のない長さで十分です。

防災士として言えば、大切なのは上手にやることより、吐く時間を少し長めにして、体の力を抜くことです。
苦しくなるほど深く吸う必要はありません。

■④ やるタイミングは“しんどくなってから”だけではない

呼吸法というと、かなりつらくなってからやるものだと思われがちです。
でも、支援者のセルフケアとしては、早めに使う方が効果的です。

厚生労働省のPFA資料でも、支援者自身の対処として、休息や落ち着きを保つこと、同僚から支えてもらうことなどが重視されています。 (mhlw.go.jp)

たとえば、
・帰宅して着替えた直後
・入浴前
・寝る前
・ニュースを見た後
・気持ちがざわついた時
に5分だけ入れるとかなり違います。

元消防職員として率直に言えば、呼吸法は「限界時の奥の手」より、日常に戻るための切り替え動作として使う方が続きやすいです。

■⑤ 呼吸法が合いやすい人、合いにくい人

呼吸法はかなり使いやすい方法ですが、合い方には差があります。

合いやすいのは、
・頭がざわざわしている人
・眠る前に緊張が残る人
・体のこわばりを感じる人
・イライラが強い人
です。

一方で、
・呼吸に意識を向けるとかえって苦しくなる
・静かにすると記憶がよみがえりやすい
・一人だと不安が強くなる
人は、呼吸法だけにこだわらない方がいいです。

防災士として言えば、リラクゼーションは「正解を当てる」より、自分に合う形を見つける方が大切です。
呼吸法がしんどければ、軽いストレッチや散歩の方が合うこともあります。

■⑥ 呼吸法と一緒にやると効果が出やすいこと

消防庁資料では、呼吸法とあわせてストレッチ等のリラクゼーション方法も実施されています。 (fdma.go.jp)
つまり、呼吸だけでなく、体の緊張を少し抜く工夫を足すとやりやすくなります。

おすすめは、
・肩を1回すくめて下ろす
・首をゆっくり回す
・手を握って開く
・足裏を床に感じる
といった簡単な動きです。

防災士として率直に言えば、支援後の不調は頭だけではなく、体にも残ります。
だから、呼吸+小さな動きの組み合わせはかなり現実的です。

■⑦ それでも落ち着かない時は、一人で抱えない

ここはかなり大事です。
呼吸法は役立ちますが、万能ではありません。

たとえば、
・悪夢が続く
・フラッシュバックが強い
・食欲が戻らない
・日常生活に支障が出ている
・呼吸法をしても苦しさが増す
場合は、早めに相談先を持った方がいいです。

厚生労働省のPFA資料も、支援者は同僚を支え、同僚から支えてもらうことを重視しています。 (mhlw.go.jp)
つまり、セルフケアは「一人で完結すること」ではなく、必要ならつながることまで含めて考える方がいいです。

■⑧ まとめ

災害支援者のリラクゼーションは、気休めではなく、張りつめた心と体を安全に下げるための実用的な対処です。
消防庁の東日本大震災後の惨事ストレス対策では、消防職員向け講義にあわせて呼吸法やストレッチなどのリラクゼーション方法が実施されました。
日本赤十字社の防災教材でも、「こころと体がリラックスする呼吸法」が紹介されています。
さらに厚生労働省のPFA資料も、支援者自身のセルフケアとして、休息、水分、つながり、対処行動を重視しています。 (fdma.go.jp) (jrc.or.jp) (mhlw.go.jp)

防災士として強く言えるのは、リラクゼーションで大切なのは「うまくやること」ではなく、5分でもいいから体の緊張を落とす習慣を持つことです。
迷ったら、まずは
吸うより少し長く吐く呼吸を5分
これだけでも十分始める価値があります。

出典:消防庁「東日本大震災を踏まえて速やかに講じた対応」

参考:日本赤十字社「防災教育」

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