【防災士が解説】PTSD疑い?災害ボランティア後の記憶フラッシュバック対処法|危険信号を見極める判断基準

災害ボランティアから帰ってきたあと、
「急に現場の場面が頭に浮かぶ」
「音やにおいで、一瞬あの場所に戻った感じがする」
「考えたくないのに映像みたいによみがえる」
と感じる人は少なくありません。

結論から言えば、災害ボランティア後のフラッシュバックは、“考えすぎ”ではなく、強いストレス反応として起こり得るサインです。
消防庁は、惨事ストレス反応としてフラッシュバック、不眠、悪夢、注意力低下などを挙げています。
また、消防庁資料では、強いストレス反応が2日から4週間持続するものを急性ストレス障害(ASD)、1か月以上持続するものをPTSDと整理しています。

防災士として率直に言えば、支援の現場では
「自分は助けに行った側だから大丈夫」
と思いやすいです。
でも実際は、見た光景、聞いた声、におい、無力感、責任感が、帰宅後に記憶としてよみがえることがあります。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、現場では冷静に動けても、帰ってから突然思い出して固まる人はいます。
だから、フラッシュバックは軽く見ない方がいいです。

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■① まず前提として、支援者にもフラッシュバックは起こる

災害後のこころの不調というと、被災者側の問題として受け取られやすいです。
でも消防庁の資料では、災害救援者や消防職員にも惨事ストレス反応が起こり得るとされ、その中にフラッシュバックが明記されています。

つまり、災害ボランティア後に
・現場の場面が急によみがえる
・その瞬間だけ感覚が戻る
・頭では終わったと分かっているのに体が反応する
ということは、珍しいことではありません。

防災士として言えば、これは「弱いから起こる」のではなく、強い経験を脳がまだ安全に整理しきれていない状態として見る方が現実的です。

■② フラッシュバックとは何か|ただ思い出すのとは少し違う

ここはかなり大事です。
フラッシュバックは、単に「思い出した」という感覚とは少し違います。

たとえば、
・においで一気に現場感覚が戻る
・災害映像を見た瞬間に胸が苦しくなる
・似た音で体がこわばる
・頭の中で映像が急に再生される
といった反応です。

消防庁資料でも、「災害のことが意に反して突然思い出されたり、フラッシュバックのように現実のようによみがえったりすること」が整理されています。
つまり、フラッシュバックは「自分で思い出している」のではなく、勝手に入ってくる記憶という感覚に近いです。

■③ なぜ起こるのか|脳がまだ“終わった出来事”として整理できていない

災害支援の現場では、
・短時間で判断する
・感情を抑える
・危険や悲惨な状況に向き合う
・自分の反応を後回しにする
ことが多くなります。

そのため、帰宅後になってから記憶の整理が始まり、断片的な映像や感覚として出てくることがあります。
厚生労働省も、災害後の精神保健活動では、特定の診断だけにこだわらず、幅広い反応を捉えて支援する重要性を示しています。

元消防職員として率直に言えば、現場で平静に動けた人ほど、「終わってから出る」ことがあります。
だから、フラッシュバックが出た時は「現場では平気だったのに」と混乱しやすいですが、それは十分あり得る反応です。

■④ フラッシュバックが起こりやすいきっかけ

フラッシュバックには、引き金になりやすいものがあります。

たとえば、
・災害関連ニュースや動画
・サイレンや大きな音
・土や水、建物のにおい
・似た風景や天候
・静かな夜の時間帯
・疲れている時や寝る前

こうしたものです。

防災士として言えば、フラッシュバックは「突然」のようでいて、実際には何らかの刺激と結びついていることが多いです。
だから、まずは何がきっかけで起こりやすいかを知ることが対処の第一歩になります。

■⑤ 危険信号として見た方がいいパターン

フラッシュバックが一度あっただけで、すぐに深刻と決める必要はありません。
ただし、次のような場合は慎重に見た方がいいです。

・何度も繰り返す
・睡眠や悪夢にも影響している
・仕事や家事の集中が落ちる
・そのきっかけを避ける行動が増える
・人と会うのがしんどくなる
・1か月近く続く

消防庁資料では、ASDは2日〜4週間、PTSDは1か月以上続く反応と整理されています。
つまり、病名を急いで決める必要はなくても、続いているかどうかはかなり大事な判断基準です。

■⑥ やってはいけない対処法|無理に押し込めること

フラッシュバックがある時にやりがちなのが、
「考えないようにする」
「我慢して無視する」
「気合いで忘れる」
という対処です。

でも元消防職員として率直に言えば、これは逆効果になりやすいです。
押し込めようとするほど、寝る前や一人になった時に強く出ることがあります。

また、
・飲酒で無理に寝る
・災害映像を何度も見て慣れようとする
・誰にも言わず抱え込む
といった対処も悪化要因になりやすいです。

防災士として言えば、フラッシュバックへの対処は「消す」ではなく、刺激を整えながら距離を取る方が現実的です。

■⑦ 今すぐできる現実的な対処法

フラッシュバックがある時は、まず「自分を現実に戻す」ことが大切です。

たとえば、
・足の裏を床に感じる
・今いる場所を声に出して確認する
・深呼吸をゆっくりする
・冷たい水を飲む
・周囲に見える物を数える
といった方法です。

これは、頭の中で現場に引っ張られた状態から、今ここへ戻る助けになります。

さらに、
・何がきっかけだったかをメモする
・睡眠、気分、食欲の変化も一緒に記録する
・災害映像や刺激の強い情報を見すぎない
・信頼できる人に共有する
ことも大切です。

元消防職員として言えば、フラッシュバックは「一人で耐える」より、整理して外に出す方がかなり整いやすいです。

■⑧ 相談した方がいい目安

次のような場合は、早めに相談先を持った方がいいです。

・フラッシュバックが1か月近く続く
・悪夢や不眠も強い
・日常生活に支障が出ている
・災害関連のものを極端に避けるようになった
・人間関係や仕事にも影響している
・自分では戻せる感じがしない

厚生労働省も、災害後の精神保健活動では、特定の診断だけでなく広く反応を捉えて支援することが大切だと示しています。
つまり、「PTSDと診断されてから」ではなく、生活に影響が出始めた段階でつながる方が現実的です。

■⑨ まとめ

災害ボランティア後のフラッシュバックは、単なる思い出しではなく、強いストレス反応のサインとして見た方がいいです。
消防庁は、惨事ストレス反応としてフラッシュバック、不眠、悪夢、注意力低下などを挙げています。
また、消防庁資料では、強いストレス反応が2日〜4週間続くものをASD、1か月以上続くものをPTSDと整理しています。
厚生労働省も、災害後の精神保健活動では、病名にこだわりすぎず、幅広い反応を捉えて支援する重要性を示しています。

防災士として強く言えるのは、フラッシュバックは「弱さ」ではなく、現場で受けたものがまだ整理しきれていないサインだということです。
迷ったら、
「まだ我慢できるか」
ではなく、
それが繰り返しているか、眠りや日常に影響しているか
を基準に見た方が、ずっと現実的です。

出典:消防庁「緊急時メンタルサポートチームについて」

参考:厚生労働省「災害時地域精神保健医療活動ガイドライン」

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