防災訓練の場で、ときどき耳にする言葉があります。
「今回は完璧でした」
しかし、防災の現場に立ってきた立場から言えば、この言葉ほど危ういものはありません。そもそも、防災における「完璧な訓練」とは、いったい何を指すのでしょうか。
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■① 予定通り進んだ訓練は完璧なのか
時間通り集合し、指示通りに動き、事故なく終わった。
運営としては理想的に見えますが、これは「安全な進行」ができたというだけです。
災害の再現性とは、必ずしも一致しません。
■② 誰も困らなかった訓練は完璧なのか
混乱も迷いもなく終わる訓練。
一見すると成功ですが、現実の災害は「困ること」から始まります。
困らなかった訓練は、現実を遠ざけている可能性があります。
■③ 正解が用意されていた時点で完璧は崩れている
最初から答えが決まっている訓練は、
考える力を使わずに終わります。
防災において、答えが一つしかない状況はほとんどありません。
■④ 完璧を目指すほど現場は弱くなる
「失敗させない」「混乱させない」
この配慮が強すぎると、人は判断する経験を失います。
結果として、本番に弱くなります。
■⑤ 防災における本当の完成度とは
混乱しても立て直せたか。
迷っても選び直せたか。
この「修正力」こそが、防災における完成度です。
■⑥ 完璧な訓練がもしあるとすれば
それは、
・全員が考え
・全員が迷い
・全員が何かに気づいて帰る
そんな訓練かもしれません。
■⑦ 完璧を目指さない方が参加しやすい
「失敗していい」「分からなくていい」
この空気がある訓練ほど、人は本気で向き合います。
■⑧ 完璧よりも「更新できる訓練」を
一回で完成させようとしない。
次に活かせる余白を残す。
それが、防災訓練を強くします。
■まとめ|防災に完璧な訓練は存在しない
防災訓練に求めるべきものは、完成度ではありません。
結論:
防災における「完璧な訓練」とは、次につながる未完成な訓練である
防災士として、完璧を目指さなかった訓練ほど、参加者の記憶に残り、次の行動につながっている場面を数多く見てきました。
防災訓練は、完成させるものではなく、
更新し続けるための出発点です。
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