新しく防災担当になった時、
「防災日誌には何を書けばいいのか」
「毎日書くべきか、災害時だけでいいのか」
「報告書との違いがよく分からない」
と迷う人は少なくありません。
結論から言えば、初心者の防災日誌で最も大切なのは、“きれいにまとめること”ではなく、“時系列で事実・判断・対応・未確認事項を残すこと”です。
内閣府の検討資料では、災害対応時の記録を事後的に復元することは困難であり、記録の重要性を示すべきとされています。
また、同資料では、災害応急対策部分について優先順位付けや時系列に分けた対応を記載すべきとされています。
さらに、内閣府の受援体制ガイドラインでは、応援受入れや活動管理のための管理帳票様式例が示されており、災害対応を記録しながら運用する考え方が整理されています。 (bousai.go.jp)
防災士として率直に言えば、初心者が防災日誌で一番失敗しやすいのは、
あとでまとめて書こうとすること
です。
元消防職員として現場や被災地派遣、LO対応を経験して強く感じるのは、災害時に本当に役立つのは、
思い出しやすい記録
ではなく、
その時に残した記録
です。
だから防災日誌は、日記のように感想を書くものではなく、判断と行動を後で追えるように残すものとして考える方が現実的です。
■① 防災日誌は「報告書」とは少し役割が違う
初心者が最初に混同しやすいのが、
防災日誌と報告書です。
報告書は、上司や関係機関に状況を伝えるために整理して出す文書です。
一方、防災日誌は、
現場で何が起き、誰が何を判断し、どう動いたかを時系列で残す記録
です。
内閣府の資料が、災害対応の記録は後から復元するのが難しいとしているのは、まさにこのためです。
つまり防災日誌は、
後で報告書や検証資料を作るための土台
にもなります。
防災士として言えば、防災日誌は
きれいに見せる文書
ではなく、
後で困らないための記録
です。
新人のうちは、この違いを押さえるだけでかなり書きやすくなります。
■② 最初に書くべきなのは「時刻」
防災日誌で一番大切なのは、
いつ起きたか
です。
内閣府の検討資料でも、災害応急対策部分は時系列に分けて対応を記載すべきとされています。
つまり、防災日誌の基本は
時刻を先に書くこと
です。
たとえば、
・9:05 地震発生
・9:08 庁舎内安全確認開始
・9:15 対策本部設置
のように、時刻から始めます。
防災士として率直に言えば、防災日誌で一番怖いのは、
順番が分からなくなること
です。
元消防職員としても、現場で強い記録は、詳しい文章より
時間の流れが追える記録
です。
■③ 次に書くべきは「事実」
時刻の次に書くべきなのは、
確認できた事実
です。
たとえば、
・停電を確認
・1階廊下で天井材落下を確認
・人的被害は未確認
・備蓄庫は施錠状態
のように、見たこと、聞いたこと、確認できたことを短く書きます。
ここでは感想や推測を混ぜすぎない方がいいです。
防災士として言えば、防災日誌で強いのは
評価
より
観察
です。
元消防職員としても、災害時に本当に助かるのは「大変だった」ではなく、
何が起きていたか
が残っていることです。
■④ その次に「判断」を書く
防災日誌は、事実だけでなく、
どう判断したか
も残した方が実務的です。
たとえば、
・安全確認完了まで来庁者の館外誘導を優先すると判断
・電話不通のためチャット連絡へ切替
・浸水リスクを考慮して1階物品を上階へ移動すると判断
のように書きます。
内閣府の受援体制ガイドラインも、活動を進めるために応援受入れや連絡調整内容を整理・管理する前提で様式例を示しています。
つまり、防災対応では
事実だけでなく、判断の経過
も大切です。 (bousai.go.jp)
防災士として率直に言えば、防災日誌に判断が残っていないと、
なぜその行動を取ったのか
が後で分からなくなります。
新人のうちは短くてもいいので、判断理由を一言残す方がいいです。
■⑤ 「誰がやったか」もできるだけ残す
初心者の防災日誌で抜けやすいのが、
担当者
です。
たとえば、
・総務課Aが避難人数確認開始
・設備担当Bが受信機確認
・責任者Cへ第一報報告
のように、誰が対応したかを書いておくと後で追いやすいです。
これは責任追及のためではなく、
引き継ぎと検証
のためです。
防災士として言えば、防災日誌は出来事の記録だけでなく、
対応の流れ
の記録です。
元消防職員としても、誰がどこまで対応済みか分かるだけで、現場の重複や抜けを減らしやすいです。
■⑥ 「未確認」も立派な記録になる
初心者は、
「分からないことは書かない方がいいのでは」
と思いがちです。
でも実際は逆です。
たとえば、
・人的被害は未確認
・停電範囲は確認中
・委託先との連絡は未了
のように書く方がいいです。
内閣府の資料が、災害対応時の記録の重要性を強調しているのは、
後で抜け漏れなく追えるようにするため
でもあります。
つまり、防災日誌では
分からないことを分からないまま残す
ことにも価値があります。
防災士として率直に言えば、記録で危ないのは、
未確認を隠すこと
です。
新人のうちは、分からないことを素直に残す方が実務的です。
■⑦ 初心者向けの防災日誌の基本欄はこれで十分
初心者が最初に使う防災日誌なら、次の欄でかなり十分です。
・時刻
・発生事象
・確認した事実
・判断したこと
・対応内容
・担当者
・未確認事項
・次にやること
この形なら、報告書作成や振り返りにも使いやすいです。
防災士として言えば、防災日誌は
長文
より
欄で分ける
方が書きやすいです。
元消防職員としても、災害時は文章力より、
抜けにくい様式
の方が役立ちます。
■⑧ 初心者向け記入例
ここでは、地震発生時の簡単な記入例を載せます。
防災日誌 記入例
- 9:05
発生事象:地震発生
確認した事実:庁舎全体で強い揺れを確認
判断したこと:来庁者と職員の安全確保を最優先と判断
対応内容:机下退避を呼びかけ
担当者:総務課A
未確認事項:建物被害、人的被害
次にやること:館内安全確認 - 9:12
発生事象:安全確認開始
確認した事実:1階廊下で天井材一部落下、火災なし
判断したこと:1階一部立入制限を実施
対応内容:カラーコーン設置、職員誘導
担当者:設備担当B
未確認事項:2階会議室の状況
次にやること:受信機確認、2階確認 - 9:25
発生事象:対策本部準備
確認した事実:停電なし、電話一部混雑
判断したこと:連絡は庁内チャットを優先使用
対応内容:責任者へ第一報
担当者:防災担当C
未確認事項:来庁者人数確定
次にやること:人数確認、第二報準備
防災士として率直に言えば、最初の防災日誌はこのくらいの粒度で十分です。
細かさより、
流れが追えること
の方が大切です。
■⑨ まとめ
初心者の防災日誌で最も大切なのは、“きれいにまとめること”ではなく、“時系列で事実・判断・対応・未確認事項を残すこと”です。
内閣府の検討資料では、災害対応時の記録は事後的に復元することが困難であり、記録の重要性を示すべきとされ、時系列に分けた対応の記載の重要性も示されています。
さらに、内閣府の受援体制ガイドラインでは、応援受入れや活動管理のための管理帳票様式例が示されており、記録を残す前提で運用する考え方が整理されています。 (bousai.go.jp)
防災士として強く言えるのは、防災日誌で一番大切なのは
上手く書くこと
ではなく、
後で動ける記録を残すこと
だということです。
迷ったら、
・時刻
・事実
・判断
・対応
・未確認事項
この5つを残すのが一番現実的です。
出典:内閣府「資料4」
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