災害ボランティアから帰ってきたあと、
「とりあえず休めば大丈夫だろう」
「しばらく様子を見れば戻るはず」
と思う人は少なくありません。
もちろん休息は大切です。
ただ、結論から言えば、帰還後の1週間は“何もしない期間”ではなく、“心と体の崩れを早めに見つけて整える期間”として使った方がかなり現実的です。
日本赤十字社は、災害発生の早期からこころのケアを開始することで、被災者だけでなく支援者のストレスを軽減し、必要時に専門家へつなぐことが大切だとしています。
また、厚生労働省のPFA資料でも、危機後は安全、落ち着き、つながり、対処行動を早い段階で整えることが重要とされています。 (jrc.or.jp) (mhlw.go.jp)
防災士として率直に言えば、災害支援のあとに崩れやすい人は、弱い人ではありません。
むしろ、現場でしっかり頑張れた人ほど、帰宅後に反動が出ることがあります。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、現場では気を張って動けても、帰ってから眠れない、頭がぼんやりする、イライラする、無気力になるといった変化が出る人はいます。
だから、帰還後1週間はかなり大事です。
■① なぜ「帰還後1週間」が大事なのか
災害支援では、現地にいる間は役割があります。
やることがあるので、ある意味では気持ちが保たれやすいです。
でも、帰宅して日常に戻ると、その緊張が切れて一気に反応が出ることがあります。
日本赤十字社も、こころのケアは災害発生の早期から始めることが重要だとしています。
これは被災者だけでなく、支援者側にも当てはまる考え方です。 (jrc.or.jp)
防災士として言えば、帰還後の1週間は、
「平気かどうかを我慢で乗り切る期間」
ではなく、
自分の反応を丁寧に確認する期間
として使った方がいいです。
■② 1週間の振り返りルールの基本は「毎日4項目だけ見る」
ここで大事なのは、完璧な自己分析ではありません。
むしろ、毎日短く確認できる形の方が続きます。
おすすめは、次の4項目だけです。
・睡眠
・食欲
・感情
・集中力
これは、消防庁が示す惨事ストレス反応の代表例とも重なります。
消防庁は、不眠、食欲減退、いら立ち、注意力の減退、フラッシュバックなどを挙げています。 (fdma.go.jp)
元消防職員として率直に言えば、支援後の崩れは「一つだけ」で出るより、いくつか重なって出ることが多いです。
だからこの4項目を見ておくと、かなり早く異変に気づけます。
■③ 1日目〜2日目|まずは休養優先で“戻り方”を見る
帰宅直後の1〜2日で最優先なのは、回復です。
たとえば、
・しっかり眠れるか
・食事が少しでも入るか
・お風呂や着替えがしんどすぎないか
・ニュースや映像を見すぎていないか
を見ます。
厚生労働省のPFA資料でも、危機後にはまず安全と落ち着きを回復させることが大切とされています。 (mhlw.go.jp)
防災士として言えば、この時期に「すぐ通常運転に戻る」必要はありません。
むしろ、ちゃんと休んだら少し戻る感覚があるかを見る方が大事です。
■④ 3日目〜4日目|“身体反応”が残っていないかを見る
少し時間がたつと、体の反応が分かりやすくなります。
見たいのは、
・頭痛
・胃の重さ
・食欲低下
・だるさ
・寝ても回復しない感じ
です。
消防庁は、惨事ストレス反応の身体的反応として、頭痛、不眠、食欲減退などを挙げています。 (fdma.go.jp)
防災士として率直に言えば、ここで「体の不調がまだ強い」のに無理を始めると、その後長引きやすいです。
だから3〜4日目は、
もう大丈夫か
より、
まだ残っている反応は何か
を見る方が現実的です。
■⑤ 5日目〜6日目|“感情の揺れ”と“対人関係”を確認する
支援後の不調は、少し遅れて感情や人間関係に出ることがあります。
たとえば、
・イライラしやすい
・人に会いたくない
・無気力
・ちょっとした言葉で傷つく
・家族や職場で当たりやすい
といった変化です。
消防庁は、いら立ち、不安、抑うつ、無感動、孤立なども惨事ストレス反応として挙げています。 (fdma.go.jp)
元消防職員として言えば、現場から戻った人が一番「自分らしくない」と感じやすいのがこの時期です。
だから、5〜6日目には
人との距離感が変わっていないか
を見るのがかなり大事です。
■⑥ 7日目|「戻ってきているか」「悪化しているか」を一度言葉にする
1週間たったら、一度まとめてみることをおすすめします。
たとえば、
・睡眠は戻ってきたか
・食欲は戻ってきたか
・イライラや無気力は減っているか
・仕事や家事に集中できるか
・現場のことが急によみがえるか
を短く書き出します。
これは公式に「1週間ルール」と呼ばれているわけではありませんが、早期の変化を見つけて必要時に支援につなぐという、日本赤十字社や厚生労働省の考え方に沿った、かなり現実的な整理方法です。 (jrc.or.jp) (mhlw.go.jp)
防災士として言えば、1週間後に大切なのは、
「もう平気かどうか」
ではなく、
戻り始めているか
です。
少しでも回復方向なら、その流れを大事にすればいいです。
逆に悪化しているなら、早めにつながる方がいいです。
■⑦ この1週間で“相談した方がいいサイン”
次のような状態がある時は、早めに相談先を持った方がいいです。
・眠れない日が続く
・悪夢やフラッシュバックがある
・食欲が大きく落ちている
・イライラや無気力が強い
・仕事や日常生活に支障が出ている
・人と関わるのがかなりしんどい
厚生労働省も、災害後の精神保健活動では、特定の病名にこだわりすぎず、早い段階から広く反応を捉えて支援することが重要だとしています。 (mhlw.go.jp)
だから、「PTSDかどうか」より、今の生活が戻ってきているかで見た方が現実的です。
■⑧ 振り返りルールを続けるコツは“深く書きすぎないこと”
ここで大事なのは、重たい日記にしないことです。
一言で十分です。
たとえば、
・睡眠:3回起きた
・食欲:昼は半分
・感情:少しイライラ
・集中力:仕事でミス1回
くらいで大丈夫です。
元消防職員として率直に言えば、支援後に崩れやすい人は、真面目すぎて「ちゃんと振り返らないと」と重くしがちです。
でも大切なのは精密さではなく、変化に気づけることです。
■⑨ まとめ
被災地ボランティア帰還後の1週間は、様子を見るだけの期間ではなく、崩れを早く見つけて整えるための重要な期間です。
日本赤十字社は、災害発生の早期からこころのケアを開始することで、被災者と支援者のストレスを軽減し、必要時に専門家へつなぐことが大切だとしています。
厚生労働省のPFA資料でも、安全・落ち着き・つながり・対処行動を早い段階で整えることが重視されています。 (jrc.or.jp) (mhlw.go.jp)
防災士として強く言えるのは、支援後の不調は「1か月たってから考える」のではなく、最初の1週間で睡眠・食欲・感情・集中力を見ておく方がかなり防ぎやすいということです。
迷ったら、まずは毎日4項目だけ確認する。
そして1週間後に「戻ってきているか」を見る。
この流れが、一番現実的です。

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