【防災士が解説】ボランティア後1ヶ月のフォローアップはなぜ必要か|悪化阻止のチェックリスト判断基準

災害ボランティアから帰ってきたあと、
「最初の1週間はしんどかったけど、何とか過ぎた」
「今さら相談するほどでもない気がする」
「1か月たったなら、もう大丈夫では」
と感じる人は少なくありません。

結論から言えば、ボランティア後1か月の時点は、“もう平気かどうか”を雑に決める時期ではなく、“まだ残っている反応が悪化していないか”を確認する大事な節目です。
消防庁は、強いストレス反応が2日〜4週間続くものを急性ストレス障害(ASD)、1か月以上続くものをPTSDと整理しています。
また、厚生労働省は災害後の精神保健活動で、睡眠、感情、身体症状、生活機能の変化を継続して見て、必要な支援につなぐ重要性を示しています。 (fdma.go.jp) (mhlw.go.jp)

防災士として率直に言えば、支援後の不調は「直後が一番きつい」とは限りません。
元消防職員として被災地派遣やLO対応を経験すると、現場から戻ってすぐより、少し時間がたってから不眠、無気力、イライラ、集中力低下がはっきりする人もいます。
だから1か月後は、かなり大切です。

■① なぜ“1か月”が重要なのか

消防庁資料では、ストレス反応の持続期間が一つの目安として整理されています。
2日〜4週間続く強い反応がASD、1か月以上続くものがPTSDという考え方です。 (fdma.go.jp)

ここで大事なのは、自分で病名を決めることではありません。
むしろ、
1か月たっても戻っていないものがあるか
を見ることです。

防災士として言えば、1か月は「終わった」と判断する線ではなく、
まだ残っているものを見直す線
として使った方が現実的です。

■② 1か月後に見たいチェック項目①|睡眠は戻っているか

最初に見たいのは睡眠です。

チェックしたいのは、
・寝つきは戻っているか
・夜中に何度も起きないか
・悪夢が減っているか
・寝ても回復感があるか
です。

消防庁は、惨事ストレス反応として不眠、悪夢を代表的な反応として挙げています。 (fdma.go.jp)

元消防職員として率直に言えば、睡眠が戻っていない人は、他の不調も長引きやすいです。
だから1か月後の確認では、まず「眠れているか」を基準にするのがかなり大事です。

■③ 1か月後に見たいチェック項目②|食欲と体調は戻っているか

次に見たいのは身体面です。

・食欲が戻ったか
・頭痛や胃の不調が続いていないか
・だるさが抜けてきたか
・休日に休めば少し回復するか
を見ます。

消防庁は身体的反応として、頭痛、不眠、食欲減退などを挙げています。 (fdma.go.jp)

防災士として言えば、支援後の不調は心だけでなく体にかなり出ます。
1か月たっても食べられない、だるい、頭痛が続くなら、軽く見ない方がいいです。

■④ 1か月後に見たいチェック項目③|感情の揺れは落ち着いているか

感情面もかなり重要です。

たとえば、
・イライラしやすさ
・怒りっぽさ
・無気力
・不安感
・急な落ち込み
が減っているかを見ます。

消防庁は、いら立ち、不安、抑うつ、無感動などを惨事ストレス反応として挙げています。 (fdma.go.jp)

防災士として率直に言えば、1か月後に一番分かりやすいのは「自分らしさが戻ってきているか」です。
前より怒りやすい、何もしたくない、人と会いたくないが続くなら注意が必要です。

■⑤ 1か月後に見たいチェック項目④|集中力と生活機能は戻っているか

厚生労働省は、災害後の精神保健で生活機能を広く見ることを重視しています。 (mhlw.go.jp)

そのため1か月後は、
・仕事や勉強に集中できるか
・家事や普段の段取りが戻っているか
・ミスが増えていないか
・人との会話が負担になりすぎていないか
を見た方がいいです。

元消防職員として率直に言えば、「動けているから大丈夫」はかなり危ない判断です。
大切なのは、以前の自分に近い生活機能が戻っているかです。

■⑥ 1か月後に見たいチェック項目⑤|再体験や回避が残っていないか

ここはかなり大事です。

たとえば、
・災害映像で強く反応する
・音やにおいで現場がよみがえる
・似た話題を避ける
・現場を思い出すと体が固まる
といった反応です。

消防庁は、フラッシュバックや再体験を代表的反応として挙げています。 (fdma.go.jp)

防災士として言えば、1か月たっても再体験や強い回避が残るなら、「時間が解決するだろう」で放置しない方がいいです。

■⑦ 1か月フォローアップ用の簡単チェックリスト

1か月後は、次の項目を○△×くらいで確認するとかなり分かりやすいです。

・眠れている
・悪夢が減った
・食欲が戻った
・頭痛や胃の不調が減った
・イライラが減った
・無気力が減った
・集中できる
・家事や仕事が回る
・人と話せる
・災害の記憶に振り回されにくくなった

○が増えていれば回復方向です。
△や×が多いなら、一度誰かと整理した方がいいです。

■⑧ 悪化阻止のために1か月後にやるべきこと

1か月後にまだ反応が残っている時は、
「もう1か月たったのに」
と自分を責めるより、次の行動をした方が現実的です。

・睡眠、食欲、気分を簡単に記録する
・一緒に活動した仲間か信頼できる人に共有する
・災害映像や刺激の強い情報を見すぎない
・予定を詰め込みすぎない
・必要なら相談窓口や専門機関につなぐ

日本赤十字社も、こころのケアは早期から行い、必要時には専門家へ確実につなぐことが大切だとしています。 (jrc.or.jp)

■⑨ “相談した方がいい1か月後”の目安

次のような場合は、かなり相談を考えた方がいいです。

・眠れない状態が続く
・悪夢やフラッシュバックがある
・仕事や家事に支障がある
・人間関係が崩れている
・食欲低下や頭痛が続く
・自分で戻せる感じがしない

厚生労働省も、特定の診断だけにこだわらず、必要な支援へつなぐことを重視しています。 (mhlw.go.jp)

防災士として強く言えるのは、1か月たって残っている反応は、「まだ頑張れば何とかなる」より、今つないだ方が回復しやすいと考えた方がいいことです。

■⑩ まとめ

ボランティア後1か月のフォローアップは、「もう終わった」と見るためではなく、まだ残っている反応を確認し、悪化を止めるために行うものです。
消防庁は、強いストレス反応が2日〜4週間続くものをASD、1か月以上続くものをPTSDと整理しています。
厚生労働省も、災害後の精神保健では睡眠・感情・身体症状・生活機能の変化を継続して見ることを重視しています。 (fdma.go.jp) (mhlw.go.jp)

防災士として強く言えるのは、1か月後に大切なのは
「PTSDかどうかを自分で決めること」
ではなく、
睡眠・食欲・感情・集中力・再体験が戻ってきているかを確認すること
です。
迷ったら、10項目くらいの簡単なチェックリストで十分です。
そして△や×が残るなら、早めにつながる。
それが一番現実的です。

出典:消防庁「緊急時メンタルサポートチームについて」

参考:厚生労働省「災害時地域精神保健医療活動ガイドライン」

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