【元消防職員が解説】キッチン火災の初期対応とは|水をかける前に判断すべき基準

キッチン火災は、
「家の中の火事の中ではまだ小さい」
と思われがちです。

でも実際には、
天ぷら油
ガスこんろ
IHまわり
電子レンジ
布巾や包装材
など、火が一気に大きくなる条件がそろっています。

結論から言えば、キッチン火災の初期対応で最も大切なのは、“火を見に行くこと”ではなく、“火を止める・周囲に知らせる・水をかけてよい火か判断する”の3つです。
特に重要なのは、油火災に水をかけないことです。
東京消防庁は、天ぷら油火災に水をかけると、炎が急激に拡大し、周囲に油が飛び散って大変危険だと明記しています。
また消防庁は、住宅用消火器にはてんぷら油火災やコンセント火災に適応するものがあると案内しています。
つまり、キッチン火災では「とりあえず水」が最も危ない場合があります。

元消防職員として率直に言えば、キッチン火災で危ないのは、火の勢いそのものより、
正しくない初期対応を長引かせること
です。
東日本大震災当時に東京で被災し、その後の被災地派遣やLO対応でも強く感じるのは、命を守る判断はいつも「早め」が有利だということです。
火災でも同じです。

■① まず最初にやることは「火源を止める」こと

キッチン火災で最初に意識すべきなのは、火を大きくしないことです。

できるなら、
・ガスこんろの火を消す
・IHのスイッチを切る
・電子レンジなら扉を開けずに停止する
ことが基本です。

ただしここで大切なのは、安全に届く範囲でだけやることです。
炎が大きい、熱くて近づけない、煙が多い時は、無理に近づかない方がいいです。

元消防職員として率直に言えば、初期対応で一番危ないのは、
「止められるかも」
と思って火元に近づきすぎることです。
防災士として言えば、火を止める行動は大切ですが、
自分の退路がある状態で行う
のが前提です。

■② 次にやることは「周囲に知らせる」こと

キッチン火災は、一人で何とかしようとして対応が遅れやすい火災です。

でも本来は、
「火事だ!」
「119番して!」
「逃げて!」
と、まず知らせた方がいいです。

東京消防庁の消火に関する教材でも、まず大声で知らせ、周囲と協力して通報・消火を行う流れが示されています。
つまり、最初の一声はかなり大切です。

防災士として言えば、キッチン火災は
「まだ小さいから黙って対処しよう」
が危ないです。
元消防職員としても、火事は一人で抱え込んだ時に悪化しやすいです。
だから、キッチン火災でもまずは
知らせる
が現実的です。

■③ 油火災に水をかけるのは絶対に避ける

ここが一番重要です。

東京消防庁は、天ぷら油火災に水をかけると、
炎が急激に拡大し、周囲に油が飛び散るため非常に危険
だとしています。
実際の火災事例でも、水をかけた瞬間に炎が大きく立ち上がり、厨房の天井や壁に延焼し、初期消火を行った人が重傷を負ったケースが紹介されています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

つまり、油なべやフライパンから炎が出ている時に、
水をかけるのは最悪の初期対応の一つ
です。

元消防職員として率直に言えば、キッチン火災で一番多い大失敗はこれです。
防災士として強く言えるのは、
油火災は水で消す火ではない
ということです。

■④ 油火災では「鍋ぶた・消火器・簡易消火具」を使う

では何を使うべきか。
まず現実的なのは、
・鍋ぶた
・てんぷら油火災に適応した住宅用消火器
・エアゾール式簡易消火具
です。

消防庁は、住宅用消火器には適応火災が絵で表示されており、天ぷら油火災に対応するものがあると示しています。
また、防災危機管理eカレッジでは、住宅用消火器やエアゾール式簡易消火具が、初期消火に威力を発揮すると紹介されています。 (fdma.go.jp)

防災士として言えば、鍋ぶたで空気を遮断できるならかなり有効です。
ただし、炎が大きい、鍋全体を覆えない、近づくのが怖いなら無理をしない方がいいです。

■⑤ 電子レンジ火災は「開けない」が基本

キッチン火災は、油だけではありません。
電子レンジ内で食品や包装材が燃えることもあります。

この場合にやってはいけないのが、あわてて扉を開けることです。
扉を開けると空気が入り、炎が大きくなるおそれがあります。

だから、
・まず停止する
・可能なら電源を切る
・扉はすぐ開けない
が基本です。

元消防職員として率直に言えば、電子レンジ火災は「中を見たい」が危険です。
防災士として言えば、
空気を入れない
のが大切です。

■⑥ 布巾・包装材・服への着火も軽く見ない

キッチン火災では、
・布巾がこんろに触れる
・紙箱や包装材が近すぎる
・服の袖口に着火する
といった火災も起こります。

消防庁の住宅用火災警報器資料でも、台所火災は
調理中に火を消さずにその場を離れた
こんろの火が可燃物に触れた
などが多いとされています。 (fdma.go.jp)

防災士として言えば、キッチン火災は「なべの中」だけではありません。
元消防職員としても、周囲の可燃物に燃え移った時点で危険度は一気に上がります。
だから初期対応では、火だけでなく
まわりに燃え広がっていないか
を見る必要があります。

■⑦ 初期消火の限界は「天井に火が回る前まで」

ここは火災全般の基本ですが、キッチン火災でも同じです。

消防庁のeカレッジでは、初期消火が可能なのは天井に火が回るまでとされています。
つまり、
・炎が高い
・煙が急に増えた
・熱くて近づけない
・少しでも怖い
なら、もう「消す火」ではなく「逃げる火」です。

元消防職員として率直に言えば、キッチン火災は狭い空間なので、油火災や可燃物延焼が起こると拡大が早いです。
だから、
消火を長引かせない
ことがかなり重要です。

■⑧ まとめ

キッチン火災の初期対応で最も大切なのは、“火源を止める・周囲に知らせる・水をかけてよい火かを見極める”ことです。
特に、天ぷら油火災に水をかけるのは非常に危険で、東京消防庁も炎の急拡大や受傷の危険を明記しています。
消防庁は、住宅用消火器にはてんぷら油火災やコンセント火災に適応するものがあると案内しており、キッチン火災では消火器や鍋ぶたなどを正しく使うことが重要です。

元消防職員として強く言えるのは、キッチン火災で命を守るには、
「とりあえず水」は捨てる
ことです。
迷ったら、
・まず火を止める
・知らせる
・油火災に水はかけない
・少しでも危険なら逃げる
この順番で考えるのが一番現実的です。

出典:東京消防庁「天ぷら油火災に水をかける危険性」

参考:消防庁「住宅用消火器」

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