【防災士が解説】「ファイアーコントロールボックス(火災性状ドールハウス)」──“火の動きを“見える化”して学べる最強の防災教育ツール

消防学校や防災イベントで使われる
「ファイアーコントロールボックス(ドールハウス型模型)」は、
火災の性状(広がり方・煙の動き・延焼速度)を“目で見て理解”できる教育装置です。

実際の火災のように、
● 炎がどこから立ち上がるか
● 煙がどのように充満していくか
● 部屋の温度差でどんな現象が起こるか
を再現できるため、子どもから大人まで“直感で火災の怖さ”が理解できます。


■ ドールハウス型ファイアーコントロールボックスとは?

建物を模した小型のボックス(模型)に、
炎の動き・煙の拡散・温度変化を再現する仕組みを入れた教育装置です。

消防学校ではこの模型を使って、
「火災の初期段階~フラッシュオーバーまで」を学びます。

実際の火災さながらに、
火が天井に回り、煙がどんどん充満していく様子を見ると、
火災のスピードと危険性が誰でも理解できます。


■ なぜ“ドールハウス型”が防災教育の最強ツールなのか?

● 火の広がり方が一目で分かる
● 煙の怖さを直感で理解できる
● 「避難の遅れ=死亡リスク」を視覚的に学べる
● 子ども・高齢者にも伝わりやすい
● 説明より“見せるほうが100倍伝わる”

火災は、文字で学ぶより“視覚で理解する”のが圧倒的に効果的です。


■ ドールハウスで学べる火災性状(15項目)


① 立ち上がり炎

→ 炎は一瞬で天井方向に伸びる。


② 炎の温度上昇

→ 数分で数百度に達し、人は耐えられない。


③ 煙の層(中性帯)が形成される

→ 中性帯が下がるほど危険が急増。


④ フラッシュオーバー

→ 室内全体が一気に燃え上がる現象。


⑤ 低姿勢避難の必要性

→ 煙は上に、空気は下にある。


⑥ 開口部の危険

→ ドアを開けた瞬間に“新鮮な空気で燃え上がる”。


⑦ 炎の横方向への延焼

→ カーテン・家具は一瞬で炎上。


⑧ 閉め切り状態の危険性

→ 煙が密室にこもり、視界ゼロに。


⑨ 換気で炎が再加速(バックドラフト手前)

→ 開け方一つで火災が爆発的に悪化。


⑩ 天井付近の熱溜まり

→ 大人でも“立ち上がる=致命傷”。


⑪ 小さな火種が大火災へ

→ 室内火災の延焼スピードの速さ。


⑫ 煙の毒性

→ 焼死より“煙による中毒死”が圧倒的に多い。


⑬ 電気火災の初期動作

→ コンセントや家電の発火が再現できる。


⑭ 木造と洋室の燃え方の違い

→ 家のつくりで危険性が変わる。


⑮ 家具配置の危険性

→ カーテン・布製ソファが火災拡大の主原因。


■ “見て理解する”ことの効果は絶大

文章や講義だけでは伝わらない
「火の速さ」「煙の怖さ」「逃げ遅れの危険」が
一瞬で体感できます。

子どもでも
「あ、火ってこんなに速いんだ!」
と理解できるため、家庭での防火意識が飛躍的に高まります。


■ どう活用されているのか?

● 消防学校の基本教育
● 地域の防災訓練
● 小学校の防火授業
● 自治体のイベント
● 消防団教育
● 高齢者施設向け講習

消防士の立場でも
「防災教育で最も伝わる教材のひとつ」
と断言できます。


■ まとめ

ファイアーコントロールボックス(火災性状ドールハウス)は、
“火の怖さを一瞬で理解できる教育模型”。

  1. 火災の広がりを視覚で学べる
  2. 煙の危険性を実感できる
  3. 逃げ遅れのリスクを強烈に印象付ける
  4. 子ども・大人・高齢者すべてに効果的
  5. 防災教育の中でも最高レベルの教材

火災は“知識”より“体感”が命を救う。
ドールハウスは、そのための最強の防災ツールです。

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