冬の寒さは年々「極端化」しています。
気温が急低下し、短時間で道路が凍結、大雪で車が動けない、停電で暖房が使えない…
こうした“大寒波特有の複合災害”が毎年どこかで発生しています。
大寒波は「寒さを我慢する季節イベント」ではありません。
命を奪う危険がある“冬の災害” です。
今回は、防災士として
“大寒波が来る前に必ずやるべき対策”
“寒波当日の正しい行動”
“家・車・身体を守る方法”
をわかりやすくまとめました。
■ ① 大寒波が危険な理由は“複数の災害が同時に起こる”から
寒波の怖さは気温だけではありません。
✔ 急激な気温低下
道路・水道・家屋が一気に冷える。
✔ 大雪
わずか数時間で積雪。
除雪が間に合わず交通麻痺が発生。
✔ 停電
着雪・強風が原因で暖房がストップ。
特に夜間は命に関わる。
✔ 立ち往生
高速道路や幹線道路で数百台規模の動けない事案が毎年発生。
つまり“大寒波=豪雪+停電+交通麻痺+凍結”がセットで来る災害だということです。
■ ② 大寒波が来る前に必ずやるべき備え(家庭編)
● 家の防寒力を高める
大寒波でも「室温を下げない」ことが最重要。
- 窓に断熱シート
- カーテンを厚手にする
- ドアの隙間テープ
- 厚手のカーペットで床冷え防止
- 使っていない部屋のドアを閉めて暖房効率アップ
室温が1〜2℃違うだけで体調への影響が大きく変わります。
● 停電に備える
寒波時の停電は、夏以上に危険です。
- ランタン(LED)
- モバイルバッテリー
- カセットコンロ
- 充電式の電気毛布
- 使い捨てカイロ
- 断水時用の水
特に乳幼児・高齢者のいる家庭は“暖を取る手段”の確保が必要です。
● 水道管凍結の備え
気温が氷点下になると、数時間で凍結します。
- 露出した水道管に保温材
- 寒波前日は必ず浴槽に水をためる
- 夜間は水を少量出しっぱなし
- 洗濯ホースを外しておく
水道管破裂=長期断水。冬は特に危険です。
■ ③ 大寒波当日の行動|家で命を守るためのポイント
● 室温は必ず“18℃以上”をキープ
世界的な基準で、18℃を下回ると
心血管系・呼吸器系リスクが急上昇します。
厚着よりも「部屋を暖める」方が安全です。
● カーテンは“夜に必ず閉める”
窓からは多くの熱が逃げます。
夜の冷え込み対策として必須。
● 在宅勤務・外出中止も“正しい防災行動”
大寒波当日は、倒木・凍結・吹雪で交通が危険。
無理な外出は命に関わります。
■ ④ 車で被災しないための“寒波用カー防災”
冬は「車での立ち往生」が最も危険。
特に高速道路は救助まで数時間〜半日かかることも。
● 車に積んでおくべき防災セット
- 毛布・ブランケット
- カイロ
- 小型スコップ
- 非常食・水
- 携帯トイレ
- 牽引ロープ
- ジャッキ
- スノーブラシ
- スタック脱出用プレート
冬用タイヤは“溝があるか”が最重要です。
● 立ち往生時に絶対やってはいけないこと
- 車から離れる(遭難リスク大)
- 暖房をつけっぱなし(排ガス逆流の危険)
- 無理にUターンしようとする
✔ 正しい対応
- マフラー周りの雪を定期的に除雪
- エンジンは10〜15分に1回だけ
- 定期的に体を動かして体温維持
- 周囲に助けを求める(ハザード・SNS)
■ ⑤ 仕事・登校・外出の“判断基準”
大寒波は生活を止めます。
しかし命あっての生活です。
✔ 基準
- 警報級の大雪 → 原則在宅
- 気温マイナス5℃以下 → 路面全面凍結
- 冷え込み+強風 → 感覚的な体感温度は氷点下10℃以下
- 公共交通が乱れ始めたら外出中止
子ども・高齢者の無理な外出は絶対に避けましょう。
■ ⑥ 大寒波に強い家庭になるための“3つの習慣”
● ① 寒波前に“浴槽に水をためる”
停電・断水がセットで発生するため、生活用水の確保が非常に重要。
● ② 寒波の1〜2日前から天気アプリを毎日確認
- 風
- 気温
- 氷点下になる時間
- 降雪のピーク
情報の早い把握が命を守ります。
● ③ 車の燃料は常に“半分以上”
寒波時の立ち往生は、ガソリン切れから命を落とす危険があるためです。
■ ⑦ まとめ:大寒波は“冬の災害”。備えれば必ず守れる
大寒波は、単なる寒さではありません。
大雪・停電・凍結・交通麻痺がまとめて襲ってくる“複合災害”です。
しかし、事前に備えれば被害は確実に減らせます。
- 家の防寒力を高める
- 停電と断水に備える
- 車に冬用防災セット
- 情報を早くつかむ
- 外出を無理しない
- 命を守る行動を優先する
寒波は毎年のように襲ってきます。
今年の寒波も、来年の寒波も、必ず対策があなたと家族を守ります。
“冬の防災”を当たり前にし、
どんな寒波が来ても生き抜ける家づくりを進めましょう。

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