電子タバコの普及で「寝たばこ」火災は減ったのか? ― 最新データから読み解く

紙巻きたばこの「寝たばこ」火災は、住宅火災の中でも特に被害が大きく、毎年高齢者の死亡事故も発生しています。最近では「電子タバコ・加熱式たばこ」が普及していますが、この流れが「寝たばこ」火災をどのくらい減少させたのか、最新の公的統計をもとに整理します。

1. たばこが原因の火災件数の現状

  • 消防庁の「出火原因別火災件数」によると、令和4年中の出火件数36,314件のうち、たばこによる火災は3,209件で 全火災の8.8% を占めており、出火原因トップです。 
  • また令和3年中もたばこ3,042件(8.6%)と、やはり出火原因の中で最多でした。 
  • たばこ火災のうち約6割以上が「不適当な場所への放置」によるものという分析もあります。 

→ このように、たばこ関連火災は「寝たばこ」「灰皿消し忘れ」「吸い殻放置」など火種の放置型が大きな要因です。

2. なぜ「寝たばこ」が特に危険なのか

  • 寝ている間に火が広がると、初期段階で消火ができず逃げ遅れが発生。
  • 睡眠中の無意識状態では異変に気づきにくく、被害拡大・死亡事故のリスクが格段に上がる。
  • 睡眠時間帯(0時〜6時)に火災死亡が多いとのデータもあり、寝たばこ火災のリスクを示唆しています。 

このため、防災観点では「寝る前の喫煙・灰皿管理・消火確認」が重点ポイントになります。

3. 電子タバコ・加熱式たばこ普及の流れと火災リスク

  • 紙巻きたばこから加熱式たばこ・電子タバコへ喫煙者の移行が進んでいます。
  • 加熱式たばこは「燃焼しない」「火種が出にくい」とされており、理論上は火災リスクが低いと言われています。
  • とはいえ、公的統計では「電子タバコ・加熱式たばこが原因の火災数」が明確に区分されておらず、“寝たばこ件数がどれだけ減ったか”を示すデータはまだ限定的です。

4. 「寝たばこ火災が減った」というデータの有無

  • 出火原因「たばこ」は依然として件数が多く、令和4年でも3,209件。 
  • 紙巻きたばこと加熱式・電子タバコの比較で、「寝たばこ火災件数だけ減った」という具体的な推移データは、現時点では公表されていません。
  • つまり、電子タバコの普及が“結果的に”寝たばこ火災を抑制している可能性はあるものの、明確な統計的因果関係・数値変化を示す資料は見つかっていないというのが現状です。

5. しかし「その可能性」は高い

  • たばこ火災原因の6割以上が「放置」「消火不十分」「就寝中」など“寝たばこリスク”によるもの。 
  • 火種の出にくい加熱式・電子タバコへ移行することで、理論的にはリスク軽減が期待できます。
  • 住宅内の出火率・死者数削減のためには、紙巻きたばこの火種管理・寝たばこ禁止・代替喫煙製品移行が防災対策として有効なアプローチと言えます。

6. 寝たばこ火災を防ぐための対策ポイント

  1. 寝る前の喫煙をやめる。
  2. 吸い殻は水に浸してから捨てる。
  3. 不燃性の灰皿を使用・溜めない。
  4. ベッド周辺・布団・枕元での喫煙を絶対に避ける。
  5. 喫煙は定められた場所で、脚を伸ばして安定した体勢で。
  6. 加熱式・電子タバコに移行しても『火種自体が出ないわけではない』という認識を持つ。

7. まとめ

  • 紙巻きたばこが原因の火災件数は依然として多く、寝たばこ火災というリスクは現実的に存在します。
  • 電子タバコ・加熱式たばこに移行することで火災リスクが低減された可能性は高いものの、統計的な裏付けまでは確立されていません。
  • 故に、喫煙者・家族・住居所有者ともに「寝たばこしない」「火種に注意」「灰皿の管理」を徹底することが、今も非常に重要な防災対応です。

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