【防災士が解説】交通取り締まり不適切問題から考える「公的情報の信頼」と災害時の判断力

ニュース解説(能登・熊本など)

神奈川県警で、交通取り締まりを巡る不適切事案が報じられました。一見、防災とは関係のないニュースに見えます。しかし本質は「公的情報の信頼」です。災害時、私たちは公的機関の発信をもとに命の判断をします。今回はこの問題を通して、“信頼と判断”という防災の土台を考えます。


■① 何が起きたのか(事実の整理)

報道によると、交通取り締まりに関して実際と異なる内容を反則切符に記載した疑いが浮上し、約2700件の違反が取り消される方針とされています。違反点数の抹消や反則金の返還も進められる見通しです。問題の核心は、違反の有無だけでなく「手続きの正確性と透明性」にあります。


■② なぜ防災と関係があるのか

防災は「正しい情報に基づいて動く」ことが前提です。
避難指示、土砂災害警戒情報、津波警報、道路規制情報――すべて公的情報です。日常で「公的情報は信用できない」という感覚が広がると、災害時にも同じ心理が働きます。その“疑いの習慣”が、逃げ遅れを生むことがあります。


■③ よくある誤解|不祥事=全部信用できない?

一部の不正があったからといって、組織全体が機能していないとは限りません。
重要なのは、
・発覚の経緯
・是正の仕組み
・再発防止策

是正が機能しているかどうかを見る視点です。信頼は「ゼロか100か」で判断するものではありません。


■④ 災害時に最も怖いのは“情報不信”

被災地派遣・LOとして現場に入った際、住民の中に「行政は信用できない」という空気が広がると、避難誘導が一気に難しくなる場面を経験しました。過去の対応への不満や不信感が、避難の遅れにつながることがあります。元消防職員として強く感じたのは、非常時に効くのは“日常の信頼残高”だということです。


■⑤ やらなくていい行動

・すべての公的情報を感情的に否定する
・SNSの断片情報だけで判断する
・怒りの拡散に加担する

防災は冷静さを失った瞬間に崩れます。


■⑥ 今日できる最小行動

・公式発信源を1つ決める(自治体HPなど)
・警報や避難情報は必ず公式で確認する
・複数の情報源で裏を取る習慣を持つ

判断を“習慣化”しておくことが、自律型避難の第一歩です。


■⑦ 信頼はどう守られるべきか

防災士として感じるのは、信頼は「不正がないこと」だけでなく、「不正があれば是正される仕組み」があることによって守られるということです。透明性、説明責任、再発防止策。この積み重ねが、非常時の行動を支えます。


■⑧ 現場で感じた「信頼が崩れた瞬間」

被災地で、過去の対応を理由に避難所移動を拒む住民がいました。LOとして対話を重ね、情報の背景を丁寧に説明し、ようやく移動が実現しました。信頼は制度だけでなく“対話”で回復します。情報を受け取る側も、冷静に事実を見極める姿勢が必要です。


■まとめ|情報の信頼が命を左右する

交通取り締まりの問題は、防災の話ではないように見えて、実は根幹につながっています。信頼は命を左右します。感情で全否定せず、仕組みを見る。公式情報を確認し、複数で裏を取る。これが情報災害に負けない力です。

結論:
防災において、信頼は“平時の積み重ね”でしか守れない。

元消防職員・防災士として現場に立ってきた経験から言えるのは、非常時に効くのは日常の信頼残高だということ。冷静に事実を確認し続ける姿勢こそが、自分と家族を守る備えになります。

出典:読売新聞オンライン「神奈川県警が不適切な交通取り締まり、違反2700件取り消しへ」(2026年2月14日)

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