緊急消防援助隊(緊援隊)の活動は、
通常業務とは比べ物にならない過酷さがあります。
そのため、若手消防士のうちに
「災害現場で通用する基礎力」 を磨いておくことが極めて重要です。
ここでは元消防職員として、
“若手が必ず身につけるべき力”を8つに整理して解説します。
■① 安全意識の徹底(最優先で身につける力)
若手の頃はどうしても“体力任せ”になりがちです。
しかし災害現場では、
- 二次災害
- 倒壊
- 余震
- 危険物
- 激流
に囲まれています。
最も大事なのは、
「無理をしない・危険を近づけない」意識 を徹底すること。
安全意識が低い隊員は、現場では通用しません。
■② 基本動作・基本技術の習熟
若手に最も必要なのは“技術の土台づくり”です。
- ロープワーク
- ホース延長
- チェーンソー運用
- エンジンカッター
- 地図読解
- ボート基本操作
これらの基礎技術を 反射的にできるレベル まで習熟すること。
災害現場は迷っている暇はありません。
■③ 指示の理解と確実な実行(報・連・相)
若手で特に重要なのが「正確なコミュニケーション」。
- 指示の聞き取り
- 伝言の正確さ
- 状況報告の簡潔さ
- 先輩・現場との連携
この能力は、現場の安全性と効率性に直結します。
若手が“報告が遅い・言わない・伝わってない”状態になると、
現場は一気に危険になります。
■④ 体力・持久力の継続的な強化
若手は“動けて当たり前”です。
特に緊援隊に参加する場合は、
- 長距離歩行
- 重装備での活動
- 不規則な睡眠
- 暑熱・寒冷環境
これらに負けない体力が必須です。
体力は“技術”と同じくらい重要な消防士の性能です。
■⑤ 現場観察力(見る力・気づく力)
若手ほど「目の使い方」が不十分なことが多いです。
- 建物の傾き
- 地盤の変化
- 水位の上昇
- 住民の異変
- 危険物の発見
こうした“微細な変化”に気づける若手は、
現場で一気に信頼されるようになります。
■⑥ 住民対応力(聞く・寄り添う)
災害現場は、住民対応も非常に重要です。
若手が身につけるべきは、
- 丁寧な声かけ
- 分かりやすい説明
- 不安を軽減する言葉
- 高齢者対応
- 不満への冷静な対処
住民対応ができる隊員は活動の幅が広がり、
現場でも頼られる存在になります。
■⑦ チームワークの理解(自分の役割を知る)
若手消防士の大きな課題は「自己流になりやすい」こと。
しかし緊援隊は 組織で動く集団 です。
- 自分の役割
- 上下関係の理解
- 仲間を信頼する力
- 協力して動く力
チームの中で“自分の位置”を理解することで、
動きが格段に良くなります。
■⑧ 心の強さと柔軟性(若手のうちに育てる)
災害現場は精神的にも厳しい環境です。
- つらい場面
- 悲しみ
- 過労
- 緊張
- 不安
若手のうちに、
- 気持ちの切り替え
- 冷静さを保つ
- 失敗から学ぶ
- 柔軟に考える
こうした“メンタルの土台”を育てることが非常に重要です。
■まとめ|若手消防士は“土台をつくる時期”
若手のうちに身につけておくべき力は、
将来の緊援隊活動の質を大きく左右します。
- 安全意識
- 基礎技術
- 指示理解
- 体力
- 観察力
- 住民対応
- チームワーク
- メンタル
これらを確実に育てておけば、
どんな災害現場でも冷静に、そして強く活動できます。
結論:
若手消防士が身につけるべきことは“安全・技術・心”の三本柱。 元消防職員として、この三つを鍛えた若手は必ず現場で信頼される存在になると断言します。

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