冬は、大人よりも 乳児が圧倒的に寒さに弱い季節 です。
体温調整が未熟なうえ、寒さを訴えることができないため、
災害時(停電・避難・車中待機)には特に注意が必要です。
ここでは防災士として、
冬の乳児を守るための防寒対策を“災害対応の視点で”まとめて解説 します。
■① 乳児は大人より低体温になりやすい
乳児の体は、寒さの影響を直に受けやすい特徴があります。
- 体温調整機能が未熟
- 体表面積が大人より相対的に大きく、熱が奪われやすい
- 脂肪量が少なく体温維持が苦手
- 寒くても泣かない時がある
- 冷えのサインが分かりにくい
つまり
「大人が少し寒い」は乳児にとって“危険レベル”のことが多い のです。
■② 冬の外出に必須の乳児防寒アイテム
災害を想定した“持ち出し防寒”が重要です。
- 厚めのおくるみ(2枚あると安心)
- 乳児用ダウン風アウター
- ニット帽・フード
- ミトン(体温低下防止)
- 暖かい靴下+予備
- 防風レインカバー(ベビーカー用)
- 使い捨てカイロ(※直接当てない)
- 湯たんぽ(カバー必須)
特に 帽子・おくるみ・防風カバー は“命を守る三種の神器”です。
■③ 避難が必要になった時の乳児防寒
夜間や雪の日の避難は乳児にとって大きな負担。
冷たい風と地面からの冷気が急速に体温を奪います。
避難時のポイント:
- 服は“薄いものを重ねて保温性アップ”
- おくるみで全身を包む
- ベビーカーなら防風カバーで冷気を遮断
- 抱っこ紐は密着で温かい → 風よけ必須
- 足元を常に温める(靴下+毛布)
乳児は歩けないため、
「抱っこ紐+防風」 がもっとも安全です。
■④ 自宅停電時の乳児防寒
冬の停電は乳児にとって“極めて危険”です。
暖房ゼロの状態では、わずか数十分で体温が下がっていきます。
停電時の対策:
- まず部屋を小さく区切る(毛布・段ボールで囲う)
- 乳児を常に抱っこして体温を共有
- 使い捨てカイロは必ず布で包んで距離を取る
- 湯たんぽはタオルでくるみ低温やけどを防止
- 暖かい飲み物・ミルクが作れるように準備
- 夜は特に冷えるため、重ね着を徹底
停電が長引くほど乳児の低体温危険度は増します。
■⑤ 車移動中の乳児防寒
冬の車トラブル(立ち往生・ガス欠)は乳児にとって危険です。
- 車内に必ず毛布を常備
- 防寒おくるみで下半身を包む
- 停車時は背中・お腹を優しく温める
- 厚着させすぎるとチャイルドシート固定が緩む → 注意
- 事故で動けなくなった時に備え“寒さ対策キット”が必須
特に高速道路での立ち往生時は、
大人より乳児への防寒が最優先 です。
■⑥ 乳児の“危険な冷えサイン”を知る
乳児は寒さを訴えられないため、
親が小さな変化に気づくことが命を守る鍵になります。
- 手足が冷たい
- 顔が青白い
- 泣き声が弱い
- 動きが少ない
- ぼーっとしている
- 体温が下がっている(35℃台)
特に
「静かになる」「震えが止まる」
これは危険な低体温のサインです。
■⑦ 夜間の乳児防寒ポイント
冬の夜は室温が大きく下がるため、夜間ケアが特に重要です。
- 直に床へ寝かせない(冷気が上がる)
- ベビー布団やマットで断熱
- 掛けすぎによる窒息を防ぐため“スリーパー”が安全
- 頭と足元をしっかり保温
- 寝室はなるべく暖かい部屋に変更
“安全に温める”ことが乳児防寒の基本です。
■⑧ 家族ができること|乳児を中心に判断する
家庭の避難・行動の基準は
必ず「乳児の防寒」が優先 です。
- 避難ルートは最短・安全を選ぶ
- 荷物は最小限にし、抱っこしやすい状態へ
- 上の子がいる家庭は、役割分担でフォロー
- 車移動・徒歩移動どちらも“冷気対策”が最優先
家族全員の理解と協力が、乳児の命を守ります。
■まとめ|乳児防寒は“災害時の命を守る行動”
乳児は寒さに非常に弱く、
災害時はわずかな冷えが命に関わるレベルの危険になる
という前提で行動することが大切です。
家庭で守るべき3つの基本はこれです。
- 乳児は温める部位(頭・足・背中)を最優先
- 外出・避難・車移動で“防風”を徹底
- 停電時は部屋を小さく区切り、抱っこで体温共有
防災士として現場で感じるのは、
“乳児の寒さは、大人が思うよりはるかに危険”ということ。
少しの準備と気配りで、乳児の命は確実に守れます。
冬の備えとして、ぜひ今日から防寒対策を整えてください。

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