冬は一年で最も救急搬送が増える季節です。
転倒や火災だけでなく、寒さが引き金となる体調異変が多く、
特に高齢者や基礎疾患のある方はリスクが高まります。
ここでは、冬に救急要請が増える理由と、家庭でできる予防策をまとめます。
■ 1. “ヒートショック”が急増する季節
冬の救急出動で特に多いのがヒートショック。
【浴室 ↔ 脱衣所 ↔ トイレ】の温度差が命を奪う危険があります。
【ヒートショックの主な症状】
- 意識消失
- 心筋梗塞
- 不整脈
- 低血圧による転倒
65歳以上の事故死原因の上位に入る、冬特有の危険です。
■ 2. 低体温症が家庭内でも発生しやすい
屋外だけでなく、室内でも低体温症は起こります。
【よくある状況】
- 暖房を切って就寝
- 一人暮らしで寒さを我慢
- 停電で暖房が使えない
- 長時間動かないで過ごす
低体温症は気付いた時には重症化していることが多く、救急搬送につながります。
■ 3. 冬は“心臓への負担”が年間で最大
寒さは血管を収縮させ、心臓への負担を一気に高めます。
【増えやすい疾患】
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 脳梗塞
特に早朝は発症リスクが高く、救急出動が増える時間帯です。
■ 4. 雪道の転倒が救急搬送の上位
冬は転倒が“夏の10倍以上”になる地域もあります。
【冬の転倒で多いけが】
- 大腿骨骨折
- 手首骨折
- 頭部外傷
- 打撲・捻挫
転倒事故は高齢者だけでなく、若い世代にも多いのが特徴です。
■ 5. 火災による煙の吸引・やけど
冬は火災そのものが増えるため、救急出場も比例して増加します。
【冬に増える火災原因】
- ストーブの近くの布製品
- こたつコードのショート
- 電気ストーブの転倒
- 揚げ油の発火
高齢者の逃げ遅れも多く、救急搬送が増えます。
■ 6. インフルエンザ・感染症の流行
冬はウイルスが長時間空気中に残りやすいため、
呼吸器系疾患の発症率が高くなります。
【救急搬送につながる症状】
- 高熱
- 呼吸困難
- 脱水症状
- 乳幼児のけいれん
特に乳幼児は症状の進行が早いため注意。
■ 7. 冬の救急出動を減らすためのポイント
家庭でできる予防策はこちら。
- 脱衣所・トイレに小型ヒーターを設置
- 入浴前に浴室を暖める
- 室温は18〜20℃をキープ
- 夜間は暖房を完全に切らない
- 朝起きた直後の急な動作を避ける
- 水分補給をこまめに
- 雪道では滑りにくい靴を使用
“温度差を作らないこと”が最大の予防です。
■ 8. まとめ|冬の救急搬送は“寒さと油断”が重なって起きる
冬の救急搬送が増えるのは…
- ヒートショック
- 低体温症
- 心血管疾患
- 転倒事故
- 火災
- 感染症
多くの危険が同時に高まるためです。
しかし、家庭での工夫だけで多くの救急事案を防げます。
冬は“温度管理”を徹底し、小さな違和感も見逃さないことが命を守る行動です。

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