【防災士が解説】福岡の“河川はん濫リスク”が高い理由都市部の川が持つ“見えない危険”とは?

福岡は海も山も近く、暮らしやすい地域ですが、
実は 「河川はん濫リスクが非常に高い都市」 でもあります。

「川幅が狭い」「流れが急」「住宅地が集中」など、
都市部特有の弱点が重なっているためです。

ここでは、福岡の河川が抱える“見えない危険”と、
知っておくべき安全行動をまとめます。


■ 1. 福岡の河川が危険と言われる理由

● ① 小さな川が“都市のど真ん中”を通る

福岡市内には

  • 御笠川
  • 那珂川
  • 樋井川
  • 多々良川
    などの 「中小河川」 が密集しています。

これらは
川幅が狭く、水位の上昇が非常に早い
という特徴があり、短時間で氾濫危険水位に達しやすい。


● ② 山 → 街の距離が“極端に近い”

福岡は
山から街までの距離が短い(急流)
ため、大雨が降ると上流の水が一気に市街地へ流れ込みます。

わずか30分の雨で水位が急上昇することも。


● ③ 都市開発で“雨水の逃げ場”がない

都心部は

  • アスファルト
  • 大型商業施設
  • 高層マンション
    が増え、雨水を地面に吸収しづらい状態。

その結果、
すべての雨水が一気に川へ流れ込む構造になっています。


● ④ 梅雨の線状降水帯が毎年発生

福岡は線状降水帯の通り道。
同じ場所に何時間も猛烈な雨が降るため、
中小河川がすぐに限界を超えてしまいます。


● ⑤ 過去の大規模災害が多い

  • 平成21年 福岡豪雨
  • 平成29年 九州北部豪雨(朝倉・東峰)
  • 令和5年 久留米・うきは豪雨

中小河川の氾濫・越水が多発しています。


■ 2. 氾濫しやすい川の特徴(福岡の傾向)

● ● 川幅が狭い

● ● 両側が住宅地

● ● 下流が海に近い

● ● 高速道路・鉄道で流れが分断

● ● 暗渠(地下の川)になっている

“中小河川×住宅密集” は氾濫が起きやすいパターンです。


■ 3. 気象庁の「危険度分布」は必ずチェック

● ● キキクル(危険度分布)は水位の上がり方が分かる

紫(極めて危険)が出たら、
すでに 氾濫直前レベル です。

家の近くに川がある人は必須。


■ 4. 川が危険なときの“絶対NG行動”

● ① 川を見に行く

年間の水難事故の約半数が“見に行った人”

● ② “まだ大丈夫”の判断

中小河川は数分で状況が変わるため、
目視はほぼ意味がありません。

● ③ 車で川沿いを走る

冠水→エンスト→流される
という事故が全国で繰り返されています。


■ 5. 命を守る“正しい行動”

● ① 川沿いに家がある場合はレベル3で避難開始

高齢者は特に早めの避難が必須。

● ② レベル4で全員避難

水位が上がってからの避難は不可能。

● ③ 夜の大雨は“垂直避難”が最適

2階以上に移動して安全確保。


■ 6. 家族で決めておくべきこと

● ● 避難する基準(雨量・警戒レベル)

● ● どの川が危険なのか

● ● 避難ルート(川を渡らない道)

● ● 雨の日の外出ルール


■ 7. まとめ

福岡は

  • 山が近い
  • 川が多い
  • 都市開発が進んでいる
  • 豪雨が集中する
    という条件が重なり、
    日本でも特に“河川はん濫に弱い都市” と言われます。

しかし、危険な川・危険な場所は“決まっている”ため、
正しく知っていれば多くの事故は防げます。

家の近くの川の情報を今すぐ確認し、
雨の日は早めの避難・回避で命を守りましょう。

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