全国で増加している「廃校」。
少子化の影響で学校の統廃合が進む中、
この空き施設を 防災拠点として活用する動き が急速に広がっています。
実は、廃校は防災と非常に相性が良いのをご存じでしょうか?
ここでは元消防職員の視点で、廃校活用のメリットと課題をわかりやすく解説します。
■ ① 廃校が防災に向いている理由
廃校はもともと“地域の大規模施設”。
防災拠点に必要な要素が揃っています。
● 広い敷地
駐車場・ヘリの臨時離着陸・救援物資置き場として最適。
● 体育館
避難所にすぐ転用できる。
● 校舎
会議室、ボランティアセンター、医療スペースに活用。
● 調理室・家庭科室
炊き出し・食事提供に利用可能。
● トイレ・水道設備
既存のインフラが使えるのは大きなメリット。
廃校は“災害時に使える箱がすでに出来上がっている”状態なのです。
■ ② 廃校活用の具体例
全国では以下のような防災用途で活用が進んでいます。
- 防災倉庫(物資備蓄)
- 地域避難所
- 災害ボランティアセンター
- 地域の災害医療拠点
- 水害時の広域避難施設
- 研修・訓練センター
- 消防団の詰所・訓練場
特に、体育館が災害時にすぐ使える点は非常に大きいです。
■ ③ 通常時も“地域活性化”に使える
廃校を防災だけでなく普段から使うことで、
地域住民の交流場所としても機能します。
- 子ども食堂
- コミュニティスペース
- イベント会場
- キャンプ・スポーツ施設
- 地域のサークル活動
- 企業の研修施設
「平時=地域活性」「災害時=避難拠点」という
二刀流の使い方が全国で広がっています。
■ ④ 廃校を防災に使うメリット
● ① コストが安い
新しい施設を作るより圧倒的に安い。
● ② 立地が良い
学校はもともと安全な場所に建てられている。
● ③ 物資を大量に備蓄できる
体育館・教室・倉庫などスペースが豊富。
● ④ バリアフリー化しやすい
廃校リノベーションで一気に改善可能。
● ⑤ 地域コミュニティが集まりやすい
住民の“行き慣れた場所”で安心感がある。
■ ⑤ 課題・デメリットも存在する
もちろん、万能というわけではありません。
- 建物が老朽化しているケースが多い
- 耐震基準を満たしていない場合も
- 維持費がかかる
- 管理者が不在になりがち
- 使用ルールの策定が負担になる
自治体の財政状況によっては、
「維持できず放置された廃校」が全国で増えているのも事実です。
■ ⑥ 廃校を防災拠点にするために必要なこと
元消防職員の視点で重要なのは以下の3点。
● ① 施設の安全診断(耐震・電気・水回り)
まず安全に使えるかの確認が必須。
● ② 役割分担を決める
自治体・地域住民・消防団・社協など関係者が明確に役割を分担。
● ③ 平時の活用計画
普段から活動がある場所ほど、災害時に機能する。
■ ⑦ まとめ
廃校活用は、これからの日本にとって非常に大きな防災資源。
- 体育館=避難所
- 校舎=医療・会議スペース
- 広場=救援物資集積地
- 厨房=炊き出し拠点
- 倉庫=備蓄保管場所
廃校は“眠っている防災力”そのものです。
地域の負の遺産を、未来を守る力に変える。
それが「廃校×防災活用」の最大の魅力です。

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