【防災士が解説】PTSDとメンタルヘルス── 災害後に心を守るために知っておくべきこと

地震・火災・事故・豪雨……
災害は「命の危険」だけでなく、
その後の“心の傷”も深く残すことがあります。

その代表的なものが PTSD(心的外傷後ストレス障害)
消防・救急・医療従事者、被災者、ボランティアなど、
誰でも発症する可能性があり、決して特別な症状ではありません。

ここでは、防災士の視点で
「PTSDとは何か?」「症状・原因」「どう守ればいいか」
を分かりやすく解説します。


■ ① PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?

命の危険を感じる出来事や強いショック体験の後に生じる精神的反応です。

● 災害
● 交通事故
● 犯罪被害
● 大切な人の突然死
● 救助現場(消防・救急など)
● 子どもの事故目撃
● 暴力・虐待

“異常な状況に対する正常な心の反応”とも言われています。


■ ② 主な症状(気づきにくいサインも多い)

PTSDは次の3つが中心になります。

● ① フラッシュバック(再体験)

急に当時の映像・音・においがよみがえる。

● ② 避ける行動

現場周辺を避ける、人と会いたくない、感情が鈍くなる。

● ③ 過覚醒

眠れない、イライラ、物音に過敏、集中力低下。

ほとんどの人は「気のせい」「体調不良」と思い、気づきません。


■ ③ 災害現場では“誰でもなる可能性がある”

消防・救急・災害支援に携わる人ほど、
PTSDリスクが高いことが分かっています。

● 過酷な救助・捜索
● 残酷な現場を何度も経験
● 感謝される立場ゆえ弱音を吐けない
● 責任感の強さが裏目になることも

だからこそ、心のケアは“特別なこと”ではなく必須です。


■ ④ PTSDを防ぐために大切なこと

災害後の心を守るポイントは直後〜数週間の行動にあります。

● ① 睡眠を最優先

睡眠不足は不安や恐怖を倍増させる。

● ② 信頼できる人に話す

話す行為は、記憶の整理効果がある。

● ③ 仕事・日常を急に詰め込まない

“通常モードに戻れない自分”を責めないこと。

● ④ ニュースを見すぎない

何度も同じ映像を見ることでストレスが強化される。

● ⑤ 深呼吸・軽い運動

体を動かすことで緊張が緩和される。


■ ⑤ 専門家に相談すべきタイミング

次のような状態が2週間〜1ヶ月以上続く場合は、
専門家へ相談するのが最善です。

● 眠れない日が続く
● 怖い記憶が突然よみがえる
● 感情の波が激しい
● 集中ができない
● 仕事・家事が手につかない
● 強い不安が消えない

PTSDは治療で改善する“回復可能な状態”です。


■ ⑥ 周囲ができること(家族・仲間の支えが重要)

PTSDは本人だけでなく、周囲の理解が鍵になります。

● 無理に励まさない
● 話したくない時は聞き役に徹する
● 睡眠・食事・休息を促す
● 「弱い」「大げさ」と言わない
● 救助者・被災者を孤立させない

“寄り添い続けること”が最大の支援です。


■ まとめ

PTSDは誰にでも起きうる、心の自然な反応です。

  1. 災害・事故・ショック体験による心の傷
  2. 再体験・回避・過覚醒が3大症状
  3. 消防・救急・被災者などリスクが高い
  4. 早めの休息・相談・整理が重要
  5. 専門家の治療で確実に改善できる

心は“見えないケガ”。
早めのケアと周りの理解で、確実に回復していきます。

あなた自身や、大切な人を守るために。
少しの知識が、大きな支えになります。

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