「民間救急(みんかんきゅうきゅう)」は、
一般の救急車とは違う“民間会社が行う患者搬送サービス”です。
災害・事故・体調不良・退院・通院など、
救急車までは必要ないが“安全に移動したい人”を支えるための仕組みで、
防災の世界でも非常に重要な役割を担っています。
ここでは、防災士の視点で民間救急の特徴と、
災害時にどんな支援を行うのかを分かりやすく解説します。
■ ① 民間救急とは?
民間救急は、消防本部の認定を受けた“患者等搬送事業者”が行うサービスです。
● 特徴
● 救急車ではない
● 医療処置は行わない
● 付き添い看護師が同乗できる会社もある
● ストレッチャー・車いす対応車両あり
● 退院・通院・転院の搬送が中心
いわば 医療と日常の間を埋める“生活支援型の搬送サービス” です。
■ ② 民間救急が災害時に重要な理由
● ① 救急車(119)の逼迫を防ぐ
災害時は救急要請が激増します。
● 外傷
● 挟まれ
● 心肺停止
● 呼吸困難
● 高齢者の体調悪化
この時、民間救急が 軽症者・通院者・移動困難者の搬送 を担当することで、
消防の救急車を“本当に必要な重症者”に集中させることができます。
● ② 医療機関の搬送を支援(転院・透析・通院)
災害時は病院が満床になり、転院が多発します。
民間救急は以下をスムーズに行えます。
● 透析患者の通院
● 妊婦の移動
● 長期入院患者の転院
● 退院後の自宅への搬送
救急車では対応できない“生活を守る搬送”を担うのが強み。
● ③ 高齢者・障がい者の避難に強い
多くの民間救急は以下に対応できます。
● ストレッチャー搬送
● 車いす搬送
● 寝たまま搬送
● 介護タクシー併用
避難所までの安全な搬送手段として非常に役立ちます。
● ④ 家族が動けない時のサポート
災害時は家族も避難・仕事・混乱で動けないことがあります。
民間救急は、
● 一人暮らしの高齢者
● 実家にいる親
● 移動が難しい家族
を、安全に避難場所へ搬送できます。
■ ③ 民間救急の車両はどうなっている?
● 車両の特徴
● ストレッチャー搭載
● 車いす固定装置
● 酸素ボンベ(会社による)
● AED搭載
● プライバシー確保
医療処置はしませんが、 安全に移動するための装備は充実 しています。
■ ④ 災害現場での民間救急の活躍例
● 洪水で浸水した地域からの搬送
● 停電で透析が必要な人の緊急移動
● 高齢者施設の集団避難
● 地震後の自宅→避難所移動
● 病院間の転院対応
特に高齢化が進む日本では、役割が年々大きくなっています。
■ ⑤ 民間救急の利用が向いている人
● 救急車を呼ぶほど重症ではない
● でも自力で移動できない
● 車いすやストレッチャーが必要
● 遠距離の移動が必要
● 付き添いがいない
こうしたケースに非常に有効です。
■ ⑥ 注意点
民間救急は救急車とは違い、医療行為ができません。
● 点滴
● 投薬
● 心肺蘇生(基本は禁止)
ができないため、緊急性が高い場合は119が最優先 です。
また、災害時は道路事情で到着が遅れる可能性があります。
■ まとめ
民間救急は、災害時に“救急車だけでは救えない命”を支える
とても重要な搬送サービスです。
- 救急車の不足を補う
- 高齢者・障がい者の避難に強い
- 通院・転院・透析患者の搬送に不可欠
- 家族が動けない場面でも代わりに搬送
- 病院や自治体との連携で防災力が向上
普段は見えにくい存在ですが、
災害が起こると民間救急は“影のヒーロー”になります。

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