【防災士が解説】救急隊と救助隊の違い── 役割・装備・訓練・現場での動きをわかりやすく解説

消防には「救急隊」と「救助隊」という
2つの“命を守る専門チーム”が存在します。

どちらも命に関わる現場に向かいますが、
役割も訓練も装備もまったく違います。

ここでは、元消防職員・防災士として、
一般の方にも分かりやすい言葉で
2つの違いをまとめます。


■ 救急隊とは?

命の危機にある傷病者を、“医療面”から救うチーム。

● 救急車で出動
● 医療器材を使って処置
● 気道・呼吸・循環の管理
● 救急救命士が中心になる

医療のプロフェッショナルチーム。


■ 救助隊とは?

事故や災害で“閉じ込められた人を助ける”救出のプロ。

● 交通事故で車両を切断
● 河川・海の水難救助
● 山岳検索・救出
● 倒壊家屋からの救助
● 高所作業車を使った救助
● ロープ・重機を使うこともある

“助け出す”ことが使命。


■ 救急隊と救助隊の役割の違い

● 救急隊

→ 助け出された人の“命”を医療で守る
→ 病院まで安全に搬送する

● 救助隊

→ 危険な場所から“安全に救出する”
→ 事故現場そのものに介入する

両者が連携して1つの救命が成り立つ。


■ 装備の違いは?

■ 救急隊

・酸素ボンベ
・AED
・除細動器
・点滴セット
・ブドウ糖
・12誘導心電図
・救急バッグ

医療器具が中心。


■ 救助隊

・油圧カッター(車を切る装置)
・スプレッダー
・チェーンソー
・ロープ・ハーネス
・ジャッキ
・空気ジャッキ
・ボート
・耐熱防護服

重機・工具が中心。


■ 訓練内容も大きく違う

■ 救急隊

・病態判断
・気管挿管訓練
・静脈路確保
・心電図解析
・搬送技術
・ケースシミュレーション

完全に“医療の分野”。


■ 救助隊

・ロープワーク
・クレーン・ウインチ操作
・水難救助訓練
・山岳訓練
・車両破壊訓練
・倒壊建物内の移動

まさに“レスキューの世界”。


■ 現場ではどう連携する?

救助と救急は常にセット。

例:交通事故
● 救助隊 → 車を切断して救出
● 救急隊 → 救出直後に処置・搬送

例:山岳救助
● 救助隊 → 発見・引き上げ
● 救急隊 → 低体温症や外傷の医療ケア

例:水難事故
● 救助隊 → 引き上げ・救出
● 救急隊 → 呼吸管理・心肺蘇生

“救助がなければ救急は始まらない”
“救助の後には必ず救急が必要になる”

お互いが補完関係。


■ まとめ

救急隊と救助隊は、
同じ消防組織にいながら、役割は大きく違う。

救急隊…医療で命を守る
救助隊…危険から命を救い出す

どちらが欠けても救命は成り立ちません。

災害・事故のたびに、
この2つのチームが一体となって
住民の命を守り続けています。

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