【防災士が解説】「災害対策基本法」をわかりやすく説明日本の防災のルールを支える“ backbone(背骨) ”とは?

日本の防災の中心にある法律――
それが 「災害対策基本法」 です。

普段意識することは少ないですが、
実はこの法律があるからこそ、
避難情報、避難所設置、災害救助、支援物資、
すべてがスムーズに行われます。

今回は、難しい専門用語を使わず、
一般の人にもわかるように解説します。


■ ① 災害対策基本法とは?

簡単に言うと、

「大災害が起きたとき、国・県・市町村がどう動くかを決めた法律」

この法律があることで、
・誰が指揮する?
・どこが避難所を開く?
・どうやって情報を出す?
・被災者支援は誰がやる?
が全国で統一されます。


■ ② 制定のきっかけは “伊勢湾台風”

1959年の伊勢湾台風。
戦後最大級の台風で、死者・行方不明者5,000人超という大被害となり、
「災害対策がバラバラでは被害が大きくなる」
という反省から、1961年に制定されました。

日本の防災意識が一気に変わった転機です。


■ ③ どんな内容が決められているの?

災害対策基本法では、主に次のことが決まっています。

✔ 国・県・市町村の役割

誰がどのタイミングで何をするか明確化。

✔ 避難情報の基準

「高齢者等避難」「避難指示」などの情報が全国で統一。

✔ 災害対策本部の設置

市町村長・都道府県知事・国がそれぞれ災害本部を設置。

✔ 避難所の開設

避難所を開く責任や運営のルールを規定。

✔ 物資・ボランティアの受け入れ

混乱が起きないよう受援体制を法的に整備。


■ ④ 近年の大きな改正

● 2011年(東日本大震災後)

・住民の避難情報を強化
・津波避難対策の明文化

● 2021年(避難情報の再編)

・「避難勧告」を廃止し「避難指示」に一本化
・警戒レベル5は「緊急安全確保」

令和は「迷わない避難」を重視した仕組みに進化しています。


■ ⑤ 私たちに関係あるポイント

実は、この法律は日常の防災行動にも深く関係しています。

  • スマホの避難情報(警戒レベル)が届く理由
  • 避難所が必ず開く仕組み
  • 支援物資が県をまたいで届く流れ
  • ボランティアが入りやすい体制

これら全てが法に基づいています。

つまり、

「災害対策基本法=平常時から被災者を守るための基盤」

ということです。


■ まとめ

災害対策基本法は、
日本の防災の大黒柱であり、
国・自治体・住民が迷わず動くための“共通ルール”。

災害の多い日本では、この法律が機能しているおかげで、
多くの命が守られています。

普段意識することは少ないですが、
私たちの安全は、この法律の上に成り立っています。

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