災害現場で最も重要なのは、
「どこに、誰が、どんな状態でいるか」を正確に知ること。
これを担うのが、消防の サーチ&レスキュー(Search & Rescue:検索救助) です。
瓦礫内の生存者探しから火災建物内の捜索まで、
あらゆる災害の根幹となる技術です。
■ ① サーチ&レスキューとは?
サーチ&レスキューとは、
災害現場で行方不明者や要救助者を探索・発見・救出する一連の活動 のことです。
対象となる災害は多岐にわたります。
- 建物倒壊
- 地震
- 土砂災害
- 火災の建物内
- 水難事故
- 洞窟・山岳事故
- 事故車両内
すべての救助の“最初の入口”が「検索」です。
■ ② 検索救助に使う技術・装備
サーチ&レスキューは、専門の知識とツールを使い分けます。
代表的な装備
- 音響探査装置(瓦礫からの微かな音を拾う)
- ファイバースコープ(小さな穴から内部を確認)
- 赤外線カメラ(体温を探知)
- ドローン(上空から位置確認)
- ライフディテクター(振動感知装置)
- 救助犬(匂いと訓練による検索能力)
災害の種類によって組み合わせて使います。
■ ③ 火災現場でのサーチ(内部検索)
火災現場の検索は、
視界ゼロ・高温・煙・崩落の危険 があり最も危険な活動のひとつ。
消防は以下のような体系で検索を行います。
検索の基本
- 壁沿いのサーチ(壁を触れながら進む)
- ハンドサーチ(手で周囲を確認)
- 声かけ(「誰かいませんか!」)
- ロープサーチ(ロープを固定して戻れるようにする)
- ゾーン検索(区画ごとに分担)
“誰よりも早く、しかし最も安全に”が原則です。
■ ④ 瓦礫検索(地震・爆発・土砂災害)
倒壊現場では、
建物の隙間「ボイドスペース」に生存者がいる可能性が高くなります。
重要な視点
- 構造物の安定性確認(崩落防止)
- 音による反応確認
- 匂い・気配の察知
- カメラの挿入
- 余震への警戒
災害では“動けないが生きている”状態が多く、
数センチの隙間から救助につながることもあります。
■ ⑤ チームワークが生命線
サーチ&レスキューは、個人技ではありません。
連携が最重要
- 進入隊
- 支援隊
- 安全管理担当
- 情報伝達係
- 医療班
役割が明確に分かれ、秒単位で判断して動きます。
■ ⑥ 市民も知っておくべき「検索の基本」
一般の方も、災害時には小規模なサーチを行う場面があります。
市民向けのポイント
- 見失った家族は“まず声をかけながら探す”
- 無理に倒壊建物へ入らない
- 照明確保(ライト・スマホ)
- 警察・消防への迅速な通報
- 位置情報を共有する
市民の初期行動が生存率を高めるケースも非常に多いです。
■ まとめ
サーチ&レスキューとは、
「災害現場で要救助者を発見し、安全に救出へつなげるための核心技術」 です。
- 装備を使った科学的検索
- 火災建物内の探索
- 瓦礫の生命反応探索
- チーム連携による発見率向上
災害のすべては“検索から始まる”。
それがサーチ&レスキューが最重要技術と呼ばれる理由です。

コメント