【防災士が解説】高齢者が避難所に避難しない理由とその対策|「行かない」には必ず理由がある

大地震や豪雨が発生し、避難情報が出ても──

多くの高齢者が、自宅から動こうとしません。

✔「わざわざ行かなくても大丈夫」

✔「家の方が安心」

✔「迷惑をかけたくない」

✔「避難所が不安」

実は、“避難しない”には明確な理由があります。

本当は避難したほうが安全なのに、

動けず、命を落としてしまうケースは少なくありません。

この記事では、

高齢者が避難所に行かない“本当の理由”と、

家族ができる現実的な対策をまとめます。

✅1|「自分は大丈夫」という思い込み

高齢者は経験が多く、

✅「今までも乗り越えた」

✅「うちは被害なんて出ない」

✅「この地域は安全」

と考えがち。

しかし災害は、

過去の経験が通用しないことが多いため、

「安心」ではなく「慣れ」による判断ミスの可能性があります。

【対策】

✔ 家族が一緒に避難する

✔ 近所の人と声をかける

✔ 避難の目安を数字で示す(津波の高さ・警戒レベルなど)

✅2|避難所は“迷惑をかける場所”と思っている

高齢者はとくに、

✅ 歩くのが遅い

✅ トイレに時間がかかる

✅ 睡眠が浅い

✅ 人に世話をかけたくない

など、避難所で遠慮してしまう人が多いです。

【対策】

✔ 「迷惑じゃない」ではなく「あなたがいた方が安心」と伝える

✔ 介助しやすい人と一緒に行く

✔ 介護用品・薬を準備しておく

「迷惑」と感じる人ほど、早めの声かけが効果的。

✅3|環境が変わると体調を崩す不安

避難所は、

✔ 硬い床

✔ 寒さ

✔ 明かりや音

✔ トイレの距離

✔ 人が多い空間

高齢者には厳しい環境です。

【対策】

✔ エアマット・毛布・防寒具を持参

✔ 靴・スリッパで転倒防止

✔ 奥の静かなスペースを選ぶ

✔ 段差の少ない動線を確保

「避難所が辛い」のではなく、

“準備が足りないと辛い”のが現実です。

✅4|「ペットがいるから行けない」

避難所にはペット不可の場所も多く、

高齢者が避難を諦める大きな理由。

【対策】

✔ ペット同行可能な避難所を事前に確認

✔ ケージやリードを準備

✔ フード・水・トイレ用品を袋にまとめる

✔ 車中避難を選択肢に入れる

ペットが原因で逃げ遅れるケースは全国で増加中。

人もペットも守るには“事前情報”が重要です。

✅5|足腰が弱く「移動が困難」

歩けない、階段がキツい、荷物が持てない──

これが避難できない最大の理由。

【対策】

✔ 家族や近所が付き添う

✔ タクシー・福祉車両の連絡先を控える

✔ 避難が必要なレベルになる前に移動

✔ 玄関にすぐ持ち出せる避難袋を置く

避難は「早く動くほどラク」になります。

✅6|情報がわかりにくい

高齢者には

❌ 専門用語

❌ 警戒レベル

❌ 区域表示

❌ スマホの情報

これらが理解しづらいケースが多いです。

【対策】

✔ 文字ではなく“写真や地図”で見る

✔ 「〇〇川が氾濫危険水位」のように具体的に伝える

✔ LINEや電話で周囲が声かけする

避難は「知る」ことから始まります。

✅7|「避難所は危険」と感じている

テレビで見る避難所の映像は、

混雑・プライバシーのない空間・トラブルの印象が強い。

【対策】

✔ 昼間に一度見学しておく

✔ 実際の設備を確認

✔ トイレや休憩スペースを見せる

✔ 「〇〇さんも避難するらしい」と周囲の事例を伝える

“知らない場所”は不安になります。

“知っている場所”は安心できます。

✅8|最も重要なのは「声かけ」

高齢者は自分から避難しません。

✅ 家族が一緒に行く

✅ 近所同士で連れていく

✅ 連絡し続ける

✅ 避難を促す言葉を準備しておく

例)

・「荷物は全部こっちで持つよ」

・「〇〇さん達も避難してるよ」

・「今日は寒いから避難所の方が暖かいよ」

人は“1人では動かない”。

“誰かと一緒”なら動けます。

✅まとめ|避難しないのは「わがまま」ではなく“理由がある”

高齢者が避難しないのは…

✔ 家の方が安心

✔ 迷惑をかけたくない

✔ 移動が大変

✔ 情報が難しい

✔ 環境が心配

✔ ペットが心配

すべて、“人として当然の感情”です。

だからこそ、

家族や地域がサポートする仕組みが必要。

・声をかける

・一緒に行く

・準備を手伝う

・避難所の現実を伝える

避難は「強制」ではなく「支援」。

その一歩が、高齢者の命を救います。

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