被災地派遣は、通常の業務とはまったく別世界です。
環境は厳しく、物資は限られ、精神的にも肉体的にも負荷が大きい。
元消防職員・防災士として
「現場で本当に役立ったもの」
「逆に持っていけば良かったと後悔したもの」
をまとめました。
これから派遣される人にも、
支援活動に関わる人にも役立つ“完全保存版”です。
■ ① 基本装備(絶対に必要)
● 身分証(証明書類)
現場の入り口、避難所、役場などで必須。
● ヘルメット
倒壊家屋・瓦礫地域・余震エリアでは必須。
● 安全靴(鋼鉄先芯・滑りにくい靴底)
ガラス・釘・瓦礫が多い現場では命を守る装備。
● 作業手袋(革手・ゴム手の両方)
状況に応じて使い分けるため2種類必要。
● マスク(粉じん対応)
倒壊家屋や土埃の多い地域で必須。
● 雨具(上下セット)
雨天時だけでなく、防寒・防風にも使える万能装備。
■ ② 健康・衛生用品(実は一番重要)
● 携帯トイレ
派遣先にはトイレが壊れていることが多い。
● ウェットティッシュ・アルコール
手洗いできない場所が圧倒的に多い。
● ボディーシート(汗拭き)
入浴できない日が続くと必須レベル。
● 常備薬(頭痛・胃腸・整腸・絆創膏)
現地の薬局は閉まっている場合が多い。
● マスク(多めに)
粉じん・寒さの両方に役立つ。
● 使い捨てカイロ
冬の派遣では命に関わるレベルの寒さになる。
■ ③ 食料・飲み物(自分の分は自分で確保)
派遣者の原則は「自活」。
被災者の支援物資を奪ってはいけません。
● 水(最低でも2L×2本)
● ゼリー飲料
● カロリーメイト・羊羹
● 缶詰(焼き鳥・サバなど)
● レトルト食品(温め不要)
● カップ麺+携帯用カップ
食欲がわかない場面では、
ゼリー・バナナ・羊羹が本当に役立つ。
■ ④ 行動の質を上げる「便利アイテム」
● モバイルバッテリー(大容量)
充電場所が全くない日が続く。
● ヘッドライト
夜間の移動・家屋調査・避難所対応に必須。
“両手が空く”ことが命に直結する。
● 携帯ラジオ
情報が遮断されることがある。
● ポケットWi-Fi or テザリング準備
通信障害が起こることも多い。
● タオル3〜5枚
汗・泥・雨すべてに対応。
● S字フック・カラビナ
荷物の整理に便利。現場で驚くほど使う。
■ ⑤ 衣類(汚れる前提で準備)
● 速乾Tシャツ(2〜3枚)
● 暖かいインナー(冬)
● 靴下(多め)
● 着替え用ズボン
● 防寒ジャケット
現場は泥・埃・雨風が強く、
衣類はすぐに汚れるため“余分に”必要。
■ ⑥ 夜間・寒さ対策(被災地で最も辛い部分)
● 寝袋(防寒性能の高いもの)
● 銀マット
● 毛布
● 耳栓・アイマスク
避難所で寝る場合、
照明・物音・寒気でまともに眠れない夜が続く。
睡眠を確保できるかどうかが、
翌日の行動に大きく影響します。
■ ⑦ 派遣で最も“精神的に効くもの”
現場経験から断言できるものを挙げます。
● 温かい飲み物(粉末スープ・ココア)
● 甘いもの(チョコ、飴など)
● 家族の写真・お守り
長期派遣では心が削られます。
メンタルの支えになるものを一つでも持っていくと全然違う。
■ ⑧ 派遣前に必ず確認しておくべきこと
● 自治体間の業務分担
● 受け入れ先(役場・避難所)の状況
● 物資・生活環境(寝床、食事、水)
● 移動手段・給油ポイント
● 担当する業務(家屋調査・避難所支援・住民対応など)
派遣地によって必要装備が大きく変わるため、
事前情報で9割が決まる と言っても過言ではありません。
■ まとめ:被災地派遣は“自分を守る準備”が最優先
被災地派遣は、被災者を助ける活動であると同時に、
「まず自分が倒れないこと」が絶対条件です。
そのために必要なのが、
● 装備
● 衛生
● 食料
● 睡眠
● メンタルケア
これらをしっかり準備しておくこと。
あなたが万全であるほど、
より多くの人を助けることができます。

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