被災地支援は、想像以上に厳しい環境です。
元消防職員・防災士として現場に何度も派遣されてきた中で、
「これは本当に困った」と感じたことを10個まとめました。
これから支援に行く人、自治体職員、消防関係者にも役立つ“現場のリアル”です。
■ ① トイレが使えない・激混み・衛生が最悪
被災地で最初に直面するのが「トイレ問題」。
・建物の損壊
・下水の破断
・避難所の混雑
でまともに使えないことが多い。
携帯トイレ・ウェットティッシュ必携。
■ ② 通信が繋がらない(Wi-Fiも圏外)
情報共有ができない、家族へ連絡できない、
報告すら送れないこともある。
特に能登半島地震では顕著だった問題。
モバイルバッテリー+車での充電が命綱。
■ ③ 夜が極端に寒い
体育館や役場の床はとにかく冷える。
冬の派遣(能登)は本当に厳しく、
寝袋・カイロ・防寒着がないと眠れない。
睡眠不足になると翌日の支援に支障が出る。
■ ④ 食事がとれない(食欲がわかない)
支援に集中してしまい、
・時間がない
・栄養バランスが悪い
・食堂が混む
という状況で食べられない日が続く。
ゼリー飲料・羊羹は“命の食べ物”。
■ ⑤ 入浴できない日が続く
1週間以上お風呂に入れないことも珍しくない。
体以上に「心」が疲れる。
ボディーシート・汗ふきシートは絶対に必要。
■ ⑥ 粉じん・砂ぼこりが酷い
倒壊家屋・土砂災害現場は、空気が悪く喉が痛くなる。
鼻水・咳・目のかゆみも出る。
粉じん用マスク・ゴーグルは本当に助かる。
■ ⑦ 住民対応での精神的負荷
被災者は極度のストレス状態。
・怒り
・不安
・涙
・混乱
に寄り添う必要がある。
支援者側もメンタルを削られる。
特に家屋被害調査では、判定結果を伝えるのが本当に辛い。
■ ⑧ 移動が困難(渋滞・道路破損)
道路が寸断され、遠回りや徒歩での移動が増える。
ガソリンスタンドも閉まっていることが多い。
給油ポイントの事前確認が必須。
■ ⑨ 物資が不足している(自分たちの分も)
避難所が満杯で、
支援者側も食料・水を自分で確保しなければならない。
「自活」は鉄則。
水2〜4L、非常食、カップ麺は自分で持参する必要がある。
■ ⑩ 睡眠環境が最悪(光・音・寒さ)
・照明が消えない
・周囲の物音
・人の出入り
・床の硬さ
・寒さ
これらが重なり、3時間睡眠の日が続くこともある。
耳栓・アイマスク・銀マットは必携。
■ 現場で分かったこと:準備の質が支援の質を決める
被災支援は「想像以上のストレスと不便」と戦う活動です。
だからこそ、準備不足は大きな負担になります。
逆に、
● 衛生用品
● 食料
● 防寒
● 充電
● 睡眠環境
これらが充実していると、活動の質は大きく向上します。
支援者が倒れたら意味がない。
まず自分が万全であることが、被災者支援の第一歩です。
■ まとめ:困難があるからこそ“備え”が必要
被災支援の現場で困ることは多い。
しかし、準備さえしていれば乗り越えられるものばかりです。
あなたが万全の体調と装備で現場に立てば、
そのぶん多くの住民の力になれます。
現場のリアルを知り、
“支援者自身の防災”を大切にしていきましょう。

コメント