【元消防職員・防災士が解説】FFS(Fire Fighter Survival)とは?

消防隊員が“生きて帰るため”のサバイバル技術

火災現場では、住民だけでなく

消防隊員自身が生死の危険にさらされる場面 が多くあります。

そこで重要なのが

FFS(Fire Fighter Survival:消防隊員サバイバル)。

現場で「絶対に死なないために」

身につけておくべき技術と行動を体系化した訓練です。

RIT(救出隊)と深く関連し、

世界の消防では必須の生存スキルとなっています。

■ ① FFS(Fire Fighter Survival)とは?

火災建物内で消防隊員が

迷失・閉じ込め・酸欠・負傷・ホース絡まり

などの危機に陥った際に、

👉 自分の力で生存し、脱出するための技術体系

これが「FFS」。

■ ② FFSで習得する“生存のための中核スキル”

FFSは単なる技術ではなく、

「死を避けるための判断力と行動」を鍛えるもの。

● ① MAYDAY(救助要請)の即時発報

迷った・出口が分からない・空気が残り少ない・負傷した

→ すぐに「MAYDAY」

報告をためらわないことが生存率を上げる。

● ② ホースラインを使った退避技術

・ホースを手でたどって脱出

・ねじれ・絡まりの解除

・ホースを体に固定して迷失防止

● ③ 狭隘部突破(タイトパッサージ)

倒壊物で狭くなった場所を

・肩抜き

・ボンベ横抜き

・横向きスライド

などで突破する技術。

● ④ エアマネジメント(空気管理)

・残圧の確認

・低圧アラーム後の時間把握

・酸素の節約呼吸(コントロールブリージング)

● ⑤ PAR(隊員所在確認)の徹底

自分の位置を常に把握

→「迷失」を防ぐ最重要スキル。

● ⑥ 障害物突破・ガラス破壊・壁破り

・進路塞がりに対応するための強行突破

・工具(ハリガン、バール、斧)による破壊技術

● ⑦ 緊急脱出(ロープ・工具)

ロープやホースを利用した

・窓からの緊急ロワリング(降下)

・二階以上からの脱出テクニック

■ ③ なぜFFSが重要なのか?

消防隊員の死亡事故の多くは

「迷失」「空気切れ」「負傷による動けなくなる事故」。

現場は数秒で状況が変わるため、

助けが来るまで 自力で生存を延ばす力 が必要。

● FFSの目的

・自分の命を守る

・隊全体の損失を防ぐ

・RIT救助までの時間を稼ぐ

・市民救助を継続するための前提作り

■ ④ FFS・RIT・MAYDAYの関係

● FFS

= 自分が生存するための技術・行動

● MAYDAY

= 危険を察知した時点で発する救助要請

● RIT

= MAYDAYを受けて出動し、隊員を救助する専門班

FFS → MAYDAY → RIT救助

という流れで消防隊員の命が守られる。

■ ⑤ FFSで扱う“危険現象”(これを理解するのが必須)

FFS訓練では、火災特有の危険現象も学ぶ。

・フラッシュオーバー

・バックドラフト

・ロールオーバー

・煙層下降

・高温熱気の滞留

・視界ゼロの環境の動き方

これらを知らないと、

突然の状況悪化で致命傷を負う。

■ ⑥ 一般の人が知っておくと得するポイント

✔ 消防隊員も火災現場で命をかけている

✔ 迷失・倒壊・酸欠は本当に一瞬

✔ FFSは消防隊員の命を守る必須訓練

✔ RITとセットで構築されている安全システム

■ ⑦ まとめ|FFSは“消防隊員が生き残るための技術”

覚えておくべきポイントは3つ。

✔ FFS=Fire Fighter Survival

 消防隊員自身の生存スキル

✔ 迷失・閉じ込め・空気切れなどの生死を左右する状況に対応

✔ MAYDAY → RIT救助までの時間を稼ぎ、生還率を高める

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