事故・災害・急病は、
いつ・どこで・誰に起きるかわかりません。
そんな時に必要なのが 応急手当(おうきゅうてあて)。
救急車が到着するまでの数分〜十数分の行動で、
“助かる命”が大きく変わります。
ここでは、防災士の視点で
「応急手当とは何か?」
「何をすればいいのか?」
を分かりやすくまとめます。
■ ① 応急手当とは?
応急手当とは、
けが人や急病者に対して、医療機関につながるまでの間に行う最初の手当て のこと。
命を守り、悪化を防ぎ、苦痛を和らげるための行動です。
■ ② 応急手当の3つの目的
● ① 命を守る(救命)
心停止・窒息・重出血などの対応。
● ② 悪化を防ぐ(保護)
骨折・火傷・ケガの二次被害を防ぐ。
● ③ 回復を助ける(安心・安静)
保温・声かけ・落ち着かせる。
■ ③ 応急手当の基本ステップ(これだけ覚えればOK)
① 安全確認
周囲が危険なら近づかない(火災・交通・感電)。
② 意識の確認
肩を軽く叩き「大丈夫ですか?」と声をかける。
③ 呼吸の確認
胸の上下の動きを10秒以内で見る。
④ 119番通報
あなたが応急手当をしている間に、誰かに通報を依頼。
⑤ AEDの手配
できるだけ早く持ってきてもらう。
⑥ 応急手当(必要な処置を行う)
■ ④ 状況別の応急手当
★① 心停止(呼吸なし)
最優先の命に直結。
● 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
1分間に100〜120回
強く・速く・絶え間なく
胸が5cm沈む深さで押す。
● AEDが来たらすぐ使用
音声指示に従えば誰でも使える。
★② 大出血
大量出血は数分で命を奪う危険。
● 傷口を強く圧迫
● 清潔な布・ハンカチで押さえる
● 結び目は傷口に当てない
● 血が滲んだら重ねて追加(取り替えない)
★③ 気道異物(窒息)
● 咳が出ている → 鼓舞して咳を続けさせる
● 咳が弱い/呼吸困難
→ 背部叩打法(背中を強く5回叩く)
→ 効果なければ腹部突き上げ(成人)
※ 乳児は腹部突き上げはNG(背部叩打法+胸部突き上げ)
★④ 骨折
● 動かさない
● 添え木で固定
● 氷で冷やす(直接当てない)
● 血が出ていれば圧迫止血も併用
★⑤ やけど(熱傷)
● とにかく流水で冷やす(15〜20分)
● 衣服は無理に剥がさない
● 氷・油・歯磨き粉は絶対NG
● 大きい・深い場合は119番
★⑥ 熱中症
● 涼しい場所へ移動
● 水・スポーツドリンクを飲ませる
● 衣服を緩め、体を冷やす
● 意識がなければ即119番
★⑦ 低体温
● 毛布で保温
● 濡れた衣服を脱がせる
● 温かい飲み物(意識ある時のみ)
● 意識なし → 119番
■ ⑤ 応急手当で絶対にやってはいけないこと
● 素手で血液に触れる
● 無理に動かす
● 施術を過信して医療機関に行かせない
● 知識がないままの“民間療法”
● やけどに油・味噌・軟膏
● 喉に指を入れて吐かせる
● 意識がない人に水を飲ませる
すべて命に関わる危険行為です。
■ ⑥ 応急手当の基本は“勇気と行動”
救命の場面で本当に必要なのは…
● 1秒でも早い行動
● ためらわない勇気
● 正しい知識
● 119番とAEDの組み合わせ
心停止の人は、
1分ごとに7〜10% 生存率が低下 すると言われています。
やるか、やらないか。
その違いが命を決めます。
■ まとめ
応急手当とは、
救急車が来るまでの間に命をつなぐ行動のこと。
- 安全確認 → 意識 → 呼吸 → 119通報 → AED
- 心停止・大出血は最優先
- 状況別の正しい知識が重要
- 間違った手当ては危険
- 行動すれば命を救える
家族・職場・地域で誰かの命を守るために、
今日からできる“基本の応急手当”をぜひ覚えておきましょう。

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