【防災士が解説】心肺蘇生法(CPR)とは?── “たった数分の行動”が命を救う、誰でもできる最重要スキル

心肺蘇生法(CPR)は、
呼吸や心臓が止まった人に対して行う命をつなぐ最終手段 です。

倒れている人が、
「意識なし」「呼吸なし or 途切れた呼吸(死戦期呼吸)」
の場合、数分以内のCPRで生存率は大きく変わります。

救急車が到着するまでの約8〜10分、
あなたの“手”がその人の命になります。


■ ① 心肺蘇生法(CPR)とは?

心肺蘇生法とは、

胸骨圧迫(心臓マッサージ)
人口呼吸(必要時)
AED(除細動器)の使用

を組み合わせて行う救命行動。

止まった心臓に代わって血液を押し出し、
脳に酸素を送り続けるために行います。


■ ② CPRの目的

● ① 脳に酸素を送り続ける

脳は4〜5分酸素が途絶えると深刻なダメージを受けます。


● ② AEDが効果を発揮するまで命をつなぐ

AEDが使える状態にしておくのがCPRの役割。


● ③ 救急車到着までの“時間稼ぎ”

救急車が来るまでの生命維持そのもの。


■ ③ CPRの基本ステップ(誰でもできる形式で解説)


STEP① 安全確認

● 車の通行、火災、落下物など
危険なら助けには入らない。


STEP② 反応(意識)を確認

● 肩を軽く叩き「大丈夫ですか?」と声かけ
反応なし=緊急事態。


STEP③ 呼吸の確認(10秒以内)

● 胸・腹の上下を見る
● “途切れた呼吸(死戦期呼吸)”は呼吸なしと判断

呼吸がない → すぐ119番。


STEP④ 119番通報 & AEDの手配

● 周りの人に指示
「あなたは119番、あなたはAED持ってきてください!」

あなた一人では全てできないため、声かけが重要。


STEP⑤ 胸骨圧迫(心臓マッサージ)

CPRの最重要パート。

● 手の位置

胸の中心(乳頭と乳頭を結んだ線の真ん中)


● 押す深さ

成人:5cmほど沈む深さ
子ども:胸の厚さの1/3
乳児:胸の厚さの1/3(2本指で)


● 回数

1分間に100〜120回(一定リズム)
※ 「アンパンマンのマーチ」や「Stayin’ Alive」が目安


● 方法

● 腕を真っ直ぐ伸ばす
● 上半身の体重で垂直に押す
● 圧迫と圧迫の間はしっかり胸を戻す
● 中断はできる限り“ゼロ”にする

※ 途中で疲れたら交代(2分ごとが理想)


STEP⑥ 人工呼吸(できる場合のみ)

現在の基準では、
人工呼吸ができない場合は、胸骨圧迫だけでもOK

行う場合は…

● 頭部後屈あご先挙上法で気道確保
● 鼻をつまみ、口を大きく覆って1秒かけて吹き込む
● 胸がふくらめば成功
● 30回圧迫 → 2回人工呼吸 のくり返し


STEP⑦ AEDが到着したらすぐ使用

AEDは救命率を“劇的に”上げる装置。

● 手順

① AEDを開く(電源オン)
② 音声指示に従う
③ パッドを胸に貼る
④ 解析中は触れない
⑤ 電気ショック指示 → 離れる
⑥ 再び胸骨圧迫へ戻る


STEP⑧ 救急隊到着まで続ける

● 救急車が来ても、隊員が交代するまで圧迫は継続
● 呼吸が戻る・動き出すまでは CPR を続ける


■ ④ CPRで“やってはいけないこと”

● 胸の真ん中以外を押す
● 指だけで押す(力不足)
● 中断を多くする
● 押す深さが浅い
● 頭を振る・叩くなどの迷信行為
● 呼吸がある人に人工呼吸をする
● 救急隊到着後すぐに中止する

どれも命を危険に晒します。


■ ⑤ CPRの効果を高めるコツ

● 1分ごとに生存率は7〜10%低下 → とにかく早く始める
● AEDの使用が早いほど生存率UP
● 圧迫の“深さ”と“戻し”が最重要
● 止めない・途切れさせないことが鍵
● 2人以上でローテーションすると質が安定


■ ⑥ CPRは誰でもできる命のスキル

CPRは医療行為ではなく、
すべての市民ができる“市民救命行動” です。

実際に、一般市民のCPRで命が助かった事例は多数。

訓練で学んだあなたは、
いつか誰かの命を救う“ヒーロー”になります。


■ まとめ

心肺蘇生法とは、
心停止した人に胸骨圧迫・人工呼吸・AEDを行う救命行動。

  1. 安全 → 反応 → 呼吸
  2. 119番とAED
  3. 胸骨圧迫は100〜120回/分
  4. 深さ5cm、真ん中を強く押す
  5. AEDは到着次第すぐ使用
  6. 救急隊員に引き継ぐまで絶対に続ける

たった1人の行動が、
「救えた命」を生み出します。

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